キャッシュフロー計算書を読むにあたって、このような疑問を抱いている方も少なくないはず😊
今回は、そのナゾを解くためのキーワード「間接法」について解説していきます✨
「営業キャッシュフロー」直接法と間接法の違いとは?
キャッシュフロー計算書は、3つのグループから構成されています。
● 営業活動によるキャッシュフロー
● 投資活動によるキャッシュフロー
● 財務活動によるキャッシュフロー
3つの内容について、詳しくはこちら(↓)
このうち、「商売活動でいくらお金を得られたか?」を表す「営業活動によるキャッシュフロー」には、直接法と間接法という2つの記載様式があります。
直接法と間接法には、「営業活動によるキャッシュフロー」合計額を求めるまでのアプローチ法に大きな違いがあります✨
🔸直接法
商売活動にまつわる収入額・支出額を項目別に記載し、それらを合計することで「営業活動によるキャッシュフロー」を求める。
記載項目の例:「商品の販売による収入」、「給料の支払いによる支出」
🔸間接法
税引前利益の金額をもとに、「営業活動によるキャッシュフロー」合計額に整えていく。
記載項目の例:「減価償却費」、「売上債権の増減額」
読む側からすると、商売活動にまつわる収入額・支出額がそのまま記載されている直接法の方が取っつきやすいです。
しかし、多くの企業は間接法によってキャッシュフロー計算書を作成していますね😊
次のパートから、間接法がどのように「営業活動によるキャッシュフロー」を導き出しているのかを具体的に見ていきましょう!
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すっきり理解!間接法の仕組みを押さえよう
間接法とは、税引前利益(税金等調整前当期純利益)の金額を調整していった結果として、「営業活動によるキャッシュフロー」合計額を求める方法です。
調整が必要な理由は、大きく2つあります。
①「税引前利益=獲得したキャッシュ(キャッシュフロー)」ではないから
②税引前利益には、営業活動以外の損益も含まれているから
間接法では、税引前利益と「営業活動によるキャッシュフロー」の差異を生み出しているこの2点を埋めるようにして、「営業活動によるキャッシュフロー」合計額を求めていきます✨
その仕組みを、上記の理由①・②に対応させて解説していきますね😊
①税引前利益とキャッシュフローの差を埋める
たとえば、2か月後に代金を受け取る契約でお客様に商品を引き渡した場合、売上高はあがりますが、キャッシュはまだ入ってきません💰
なぜなら、売上高は、商品を引渡し、かつ、現金又は現金と同等のモノ(後日代金を受け取る契約を含む)を受け取ったときに計上されるからです(これを実現主義と呼びます)。
また、オフィスの来月分の賃借料を前払いした場合、キャッシュは出ていきますが、費用はまだ計上されません💴
なぜなら、費用は、キャッシュの支払時期に関わらずモノやサービスを使ったとき(この場合は「オフィスの賃借の」というサービスを使ったとき)に生ずるからです(これを発生主義と呼びます)。
このように、利益とキャッシュの足並みはいつも揃っているわけではありません😲
キャッシュの動きとズレているかどうかに関わらず、売上高や費用は要件を満たすと計上され、利益(税引前利益を含む)の計算に織り込まれます。
そのため間接法では、税引前利益に対してキャッシュフローとの間のズレを補正することで、「営業活動によるキャッシュフロー」に整えているのです。
間接法で記されたキャッシュフロー計算書を見ると、税引前利益に対して減価償却費を足しこんだり、売上債権やたな卸資産の増減額を足し引きしたりしています。
この足し算引き算は、税引前利益からキャッシュフローの金額に整えるために行われています😊
この足し算引き算の調整方法について、詳しくはこちら(↓)をご覧ください✨
②税引前利益から営業活動以外の損益を取りのぞく
税引前利益は、法人税等以外のすべての収益・費用を差し引きした結果求められる利益です✨
そのため、税引前利益には営業活動(本業の商売活動)以外から生まれた収益や費用も織り込まれています。
税引前利益から「営業活動によるキャッシュフロー」を導くためには、この営業活動以外の収益や費用を取り除かなくてはなりません!
間接法で記されたキャッシュフロー計算書を見ると、税引前利益から投資有価証券売却益を差し引いたり、固定資産除却損を足しこんだりしています✍
これは、税引前利益から営業活動以外の収益(投資有価証券売却益)を差し引くと同時に、営業活動以外の費用(固定資産除却損)を足し込むことで、営業活動以外で生まれた収益や費用を取り除いているのです😊
(※営業活動から生まれた収益や費用は通常売上高・売上原価・販管費に含まれますが、投資有価証券売却益は特別利益に、固定資産除却損は特別損失に含まれることが多いです)
これで間接法は完璧!簡単な例でおさらいしよう
最後に、簡単な例で間接法のしくみをおさらいしていきましょう😊
1年間の税引前利益が100万円だったパン屋さんを考えてみます。
● 今年度に販売したパンのうち、翌年度に受け取る約束をした販売代金が2万円あります
● 今年度分の店舗の賃借料のうち、翌年度に支払われるものが10万円あります
ここでの条件をもとに、今年度の営業活動によるキャッシュフローを間接法で導いてみましょう✨
今年度の損益計算書では、翌年度受け取る約束をした販売代金2万円は売上高に、翌年度支払う予定の賃借料10万円は販売費及び一般管理費に含まれています✍
つまり、まだキャッシュの出入りがない収益や費用が、今年度の税引前利益に織り込まれているのです。
間接法を採用したキャッシュフロー計算書では、損益計算書で計算された税引前利益の金額に対し、
①キャッシュフローとの間のズレを補整
②営業活動以外の損益を取り除く
という作業を行うことで営業活動によるキャッシュフローを求めます。
このパン屋さんの税引前利益には、キャッシュの出入りのない売上高と販売費及び一般管理費が織り込まれていますね😊
つまり、「①キャッシュフローとの間のズレを補整」しなくてはなりません。
そのため、このパン屋さんの営業活動によるキャッシュフローを求めるためには、
税引前利益100万円に対して…
🔸まだ受け取っていない販売代金2万円を差し引く
🔸まだ支払っていない賃借料10万円を足し戻す
という足し算引き算が必要になります🍞
以上より、今年度の営業活動によるキャッシュフローは
100万円-2万円+10万円=108万円
と計算されます✍
(※実際のキャッシュフロー計算書では、販売代金のズレは売上債権の増減額、賃借料のズレは未払費用の増減額に基づいて調整します。)
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まとめ
1.キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」には、直接法と間接法の2種類の記載方法がある。両者の間には「営業活動によるキャッシュフロー」を求めるためのアプローチ法に違いがある。
2.間接法では、税引前利益(税金等調整前当期純利益)の金額に対し、キャッシュフローとの間のズレを補整し、営業活動以外の損益を取り除くことで「営業活動によるキャッシュフロー」を求めている。