
前回記事「すっきり理解!なぜキャッシュフロー計算書に減価償却費をプラスするの?」に引き続き、今回は「なぜ、売上債権が増加するとキャッシュフロー計算書でマイナスするの?」という疑問にお答えしていきます!✨
売上債権がマイナスされるのは…○○するタイミング
キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」(商売活動で得たキャッシュを計算するパート)には、直接法と間接法という2種類の記載方法があります。
このうち、売上債権が登場するのは間接法を採用しているケースです✍
間接法で記されたキャッシュフロー計算書では、税引前利益の金額について調整をかけていくことで「営業活動によるキャッシュフロー」を求めます。
その調整の一環として、売上債権がプラスされたりマイナスされたりするんですね😊
具体的には…
🔸前年度末から売上債権が増加すると… →増加額だけマイナスされる
🔸前年度末から売上債権が減少すると… →減少額だけプラスされる
となっています。
なぜ、このような調整をするのでしょうか?これから、その仕組みを解き明かしていきましょう😊
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答えのヒント!「営業活動によるキャッシュフロー」のルールを押さえよう
「なぜ売上債権が増加するとキャッシュフロー計算書でマイナスされるの?」
この疑問を解決するために、まずは「間接法ではどのように営業活動によるキャッシュフローが計算されているのか?」を知らなくてはなりません✨
このパートでは、その法則をサクッと押さえていきましょう😊
まずはこれ!間接法のキホンを知っておこう
間接法は、多くの企業が「営業活動によるキャッシュフロー」の記載に用いている方法です。
間接法のしくみについては、こちら(↓)をご覧ください😊
このように間接法では、
税引前利益についてキャッシュフローとの間のズレを補整することで、キャッシュフローの金額に整えていきます✍
【超重要】入金=売上計上…ではない!
会計のルールでは、商品を引渡し、かつ、現金又は現金と同等のモノ(後日、代金を受け取る契約も含む)を受け取ったときに、売上高が計上されます。
(これを実現主義といいます。)
このように、後日代金を受け取る契約を結んだ場合であっても売上高は計上されてしまうため、売上高が計上されるタイミングと入金されるタイミングが必ずしも一致するとは限らないのです😲
たとえ入金が無くても、計上された売上高は税引前利益に織り込まれます。
そのため、間接法で「営業活動によるキャッシュフロー」を求めるには、税引前利益に対し売上額と入金額の間のズレを補整しなくてはなりません💰
たとえば、
● 商品の引き渡し …今年度
● 販売代金の受け取り …翌年度(引き渡し時に約束)
であったとき、入金はなくとも商品の引き渡し時点で売上高は計上され、今年度の税引前利益に織り込まれます。
この場合は、税引前利益からその分の売上高を差し引く(まだ入金されていないため)ことで、今年度のキャッシュフローを求めます。
反対に、
● 商品の引き渡し …前年度
● 販売代金の受け取り …今年度
であったとき、今年度のキャッシュフローはどのように求めたらいいでしょうか?
売上高は商品が引き渡された前年度に計上されているため、今年度の税引前利益には織り込まれていませんよね。
この場合は、税引前利益に入金額を足しこむことで今年度のキャッシュフローを求めます。
売上債権がキャッシュフロー計算書に登場するワケ
このように間接法で「営業活動によるキャッシュフロー」を求める際は、以下のような売上高と入金のズレを知る必要があります。
🔸 今年度売上にあがったが、まだ入金されていない金額
🔸 前年度以前に売上にあがったが、今年度入金された金額
これらの情報を教えてくれるのが、売上債権なのです!
売上債権とは、売掛金や受取手形といった未収の販売代金のことです。販売が完了しているため、販売代金を受け取る権利と言うこともできます💰
販売代金を後払いにする契約を結んでいる場合、売上があがると同時に売上債権が計上されます。また、その販売代金が入金されたときは、入金額だけ売上債権が減らされます。
売掛金については、こちら(↓)で詳しく解説しています。
まとめると、売上債権の増減はこのような状況を意味します。
🔸売上債権が増える →まだ入金はされていないが、売上高が計上された
🔸売上債権が減る →入金されたが、該当する売上高は過去に計上されている
この売上債権の増減が、売上高と入金のズレを教えてくれる貴重な情報源となるのです😊その理由を、次のパートで詳しく見ていきましょう🎵
これで解決!売上債権が増えるとキャッシュフローでマイナスされる理由とは?
先ほどの売上債権の増減を、利益とキャッシュの動きとからめるとこのように表すことができます✨
🔸売上債権が増える
=売上高が計上されたが、まだ入金はされていない
=利益は増えるがキャッシュは増えない
🔸売上債権が減る
=売上高は過去に計上済みだが、入金された
=利益は増えないがキャッシュは増える
このように、売上債権は利益とキャッシュのズレを教えてくれるんですね😊
売上債権が増える時は、税引前利益は増えるけれどもキャッシュは入ってきていない状態です。
そのため、税引前利益から売上債権の増加額をマイナスすることで実際のキャッシュフローを求めているのです。
一方で、売上債権が減る時は、税引前利益には影響しないけれどもキャッシュが入ってきている状態です。
そこで、税引前利益に売上債権の減少額をプラスすることで、実際のキャッシュフローを求めます。
このような理由から、間接法による「営業活動によるキャッシュフロー」では、売上債権が増えていれば増加額をマイナスし、減っていれば減少額をプラスするのです✨
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まとめ
1.間接法を採用した「営業活動によるキャッシュフロー」では、前年度末から売上債権が増加すると増加額だけマイナスし、売上債権が減少すると減少額だけプラスする。
2.会計のルールでは、売上計上のタイミング(つまり税引前利益に織り込まれるタイミング)と入金のタイミングは必ずしも一致するわけではない。このズレた金額を教えてくれるのが、売上債権である。
3.売上債権が増えるときは、利益は増えるがキャッシュは増えない。一方で、売上債権が減るときは、キャッシュは増えるが利益は増えない。そのため、間接法では、税引前利益に売上債権の増減額をマイナス・プラスすることで、営業活動によるキャッシュフローを求める。