建設仮勘定とは?
略して建仮(読み方は「けんかり」)と呼ばれることも多いですね✨まずは、建設仮勘定の概要を見ていきましょう!
表示される場所
建設仮勘定は、貸借対照表において、有形固定資産グループの1項目として表示されます。
有形固定資産グループの中でも、最後の方に登場する項目ですね💡
具体的な意味とは?
建設仮勘定の最大の特徴は、「未完成」であるということです✨
これが、他の有形固定資産との決定的な違いです。
建設仮勘定以外の有形固定資産は、すでに完成した固定資産を表します。
一方、建設仮勘定が対象とするのは、完成する前の有形固定資産です。ここに表示される金額は、完成前の有形固定資産に対して支出された金額なのです。
詳しくは、次のパートでお話しますね😊
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計上されるタイミングは?
建物や機械といった有形固定資産を注文した際、完成を待たずに代金の一部を支払う(前払い)ことがあります👛
このように完成前の段階で有形固定資産に支出された金額が、支出のたびに建設仮勘定の中に計上されていくのです。
いつ振り替えられるの?
工事や製造が完了し、注文した有形固定資産が引き渡されると、建設仮勘定に積み上げていた支出額が該当する有形固定資産の科目に振り替えられます🌟
例:建物を建設している場合
建物が完成する前に建設業者に前払いした2000万円は、建物が完成するまで建設仮勘定に計上されます。
その建物が完成したとき、2000万円を建設仮勘定の残高から減らし、同時に建物及び構築物の残高を2000万円分増やします。
大きなビル、プラント、鉄道のような製造(建設)に時間のかかる有形固定資産の場合、長期間にわたって前払額が建設仮勘定に計上されていることも珍しくありません。
減価償却されるの?
減価償却費は、固定資産を使うことによって発生します。
そのため、まだ未使用の状態である建設仮勘定は減価償却されません💡
減価償却のしくみについて、こちら(↓)で詳しく解説しています。
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減損されるの?
建設仮勘定も、減損の対象になります!
建設が大幅に延期されたり、中止となった場合は、建設仮勘定を減損する必要がないか、注意深く判定する必要があります👓
こちら(↓)では、「減損とは何か?」について解説しています😊
ディズニーシー建設の事例でおさらい!
オリエンタルランドがディズニーシーを建設した際には、たくさんの支出が生じました💰
ディズニーシー開業前の2001年3月末と、開業(2001年9月)した2年後の2003年3月末について、オリエンタルランドの有形固定資産を比較してみましょう!
オリエンタルランドの有形固定資産(2001年3月末・2003年3月末) 単位:億円
2001年3月末 | 2003年3月末 | |
---|---|---|
建物及び構築物 | 1,235 | 3,376 |
機械装置及び運搬具 | 186 | 916 |
土地 | 582 | 706 |
建設仮勘定 | 2,892 | 26 |
その他 | 84 | 291 |
有形固定資産合計 | 4,980 | 5,317 |
この期間で最も目を引く変化は、
🔸 建物及び構築物や機械装置及び運搬具の増加
🔸 建設仮勘定の減少
ですね✨
2001年3月末は、ディズニーシーの建物やアトラクションの建設に向けた支出で建設仮勘定がふくらんでいます。
それらの支出が、ディズニーシーの完成と共に一度に建物や機械に振り替えられた結果、このような大変動を見せているのです。
減価償却費も、ディズニーシーの完成&オープンと共に4倍近くにまで増えました。
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まとめ
1.建設仮勘定とは、有形固定資産の完成前の支出が計上されたものである。
2.建設仮勘定は、支出のたびにその金額が計上される。また、完成し引き渡すと同時に、該当する有形固定資産の科目に振り替えられる。
3.まだ使用前の状態である建設仮勘定は減価償却の対象にはならない。一方で、減損の対象にはなる。