今回のテーマは、一見取っつきづらい会計用語「減価償却」です✨
初心者の方にも分かりやすく&シンプルに、意義、効果、計算方法などの基礎を解説していきます😊
最後にディズニーシーオープン時の事例を見て、減価償却の正体をガチッとおさえちゃいましょう!
目次
減価償却とは?その意味をわかりやすく解説!
まず、減価償却の意味をサクッとおさえよう
まずは、減価償却の意味をざっくりお伝えしちゃいます!ここで理解できなくても大丈夫ですよ😊
減価償却とは、以下の一連の仕組みを指します🎵
🔸 建物や車の使う期間にわたり、その購入代金を少しずつ費用(減価償却費)にしていく。
🔸 同時に、同額だけ建物や車の残高が減る。
実は、建物や車を買った時点では、購入代金を支払っても費用は生じません!建物や車を使う期間にわたって、購入代金を分割した費用が毎年生ずるのです。
こうして生ずる費用のことを、減価償却費と言います✨
減価償却を行う資産は、建物、機械、車、ソフトウェアなど、何年もの間使い続ける固定資産(有形固定資産・無形固定資産)です。
ノートやペンなど安くてすぐに使い切ってしまうものは、購入したと同時に費用になります。
スポンサーリンク
減価償却費はキャッシュフローの動きと一致しない!?
減価償却を分かりにくくさせているのは、お金が出ていくタイミングと費用(減価償却費)が生ずるタイミングがバラバラなことです😲
たとえば、300万円の車を買った場合を考えてみましょう。
👛お金が出ていくのは …車を買ったときに、一度に300万円が出ていく
✍減価償却費が生ずるのは …車を使い始めてから、使用する4年間にわたって分割計上
お金は購入した時点で一度に出ていくのに、減価償却費は使用する何年もの間にわたって生ずることになるのです。
なぜ減価償却が必要なの?そのメリットと効果とは?
なぜ減価償却費は、資産を購入し代金を支払った時点で計上されないのでしょうか?
ここに、減価償却が必要な理由があります✨
まずは、「そもそも費用はどの時点で計上されるのか」という視点から、その答えを探っていきましょう😊
そもそも費用はどんなタイミングで生ずるの?
減価償却を理解するために、費用の基本の考え方「費用はどんなタイミングで計上されるのか?」をご紹介します✨
実は決算書に出てくる費用は、モノやサービスを買った時点で計上しているわけではないんですね。
会計では「費用はモノやサービスを使ったタイミングで発生する」と考え、この時点で費用を計上します。(※この考え方を発生主義と言います)
たとえば💡
エステ4年コースの代金100万円を前払いした場合、この前払いのタイミングで100万円の費用を計上するわけではありません。
費用は実際にサービスを受けたタイミングで発生するのです。そのため、エステの施術を受ける4年にわたって(つまり毎年25万円ずつ)費用になっていくんですね。
減価償却はなぜ必要なの?
このように「費用はモノを使った時に発生する」という考え方に基づくと、建物や機械の購入代金を支払っただけの時点ではまだ費用は発生しないことになります。
代わりに、購入した建物や機械を使ったタイミングで、その購入代金に対応する費用が発生すると考えられますね😉
建物や機械のような固定資産は、使う期間が長期にわたります。
そのため、「使ったタイミングで費用が発生する」を建物や機械に当てはめると…
「購入代金を、建物や機械を使用する期間にわたり分割して費用にしていく」
という減価償却の考え方にたどり着くのです✨
一方、建物や機械を購入したタイミングで支払った代金(現預金)は固定資産に形を変えます。
そのため、貸借対照表の固定資産の欄では、購入後に「建物」や「機械装置」などの金額が増えます✍
この固定資産も、使い続けていくと古くなったり傷んだりして、だんだんとその価値が減っていきます💦
そこで減価償却では、使用によって固定資産の価値が減っていることを表すために、固定資産を使う期間にわたりその残高を減らしていくのです✨
〈まとめ〉減価償却のしくみとは?
このような費用側、資産側の考え方を組み合わせると、減価償却の仕組みは以下のように表すことができます😊
【前提】建物や機械を購入した時に支払った代金(現預金)は、固定資産に形を変える
🔸 固定資産は、使用し価値が減った分だけその残高を減らす
🔸 その減った金額と同じだけ、費用(減価償却費)が発生する
つまり、「使用し価値が減った分」だけ、固定資産が減価償却費に変わるのです!
スポンサーリンク
サクッと理解!減価償却の計算方法を〈超簡単〉に解説
「減価償却費って、どうやって計算するの?😲」という方のために…
ここでは、難しい説明抜きにサラリとその計算方法を解説したいと思います!
減価償却では、固定資産を「使用し価値が減った分」だけ減価償却費を計上します✍
この「使用し価値が減った分」の計算の仕方について、簡単な例をご紹介しますね😊
簡単な例:1000万円で購入した建物/使用期間20年間
使用開始1年目で建物を「使用し価値が減った分」の金額
=1000万円 ÷ 使用期間20年間 = 50万円
このように、あらかじめ設定しておいた固定資産の使用期間(実際は税法の耐用年数を用いることが多いですね)に基づき、購入代金を分割することで計算します✨
上の例では、購入代金を毎年同額ずつ分割していく方法(定額法)をご紹介していますが、この分割方法には他にもいくつか種類があります。
使用期間が経過するにつれて、減価償却費がだんだん小さくなっていく定率法もよく使われていますね😊
【事例】ディズニーシー、大がかりな減価償却と利益の関係とは?
2001年9月に東京ディズニーシー&ホテルミラコスタがオープンしました✨会計的視点で見ると、何千億ものお金がつぎ込まれた建物や機械(有形固定資産)が決算書に登場したのです。
この時の減価償却の様子をちょっとのぞいてみましょう💫
ディズニーシー建設中のお金の動きはどこで分かる?
2001年9月にオープンされるまで、ディズニーシー&ホテルミラコスタの建設は着々と進められ、多くのお金が支払われていきました👛しかし、オリエンタルランドの損益計算書を見てもその様子は分かりません。
なぜなら、先ほどご紹介した通り「費用はモノやサービスを使った時点で発生する」、つまり「建物や機械の購入代金を支払っただけの時点では、費用は発生しない」からなんですね。
ディズニーシー建設の進捗は、貸借対照表の有形固定資産が増えている様子から読み取ることができます✨
たとえば、ディズニーシーがオープンする直前の1年間(2000年4月~2001年3月)では、オリエンタルランドの有形固定資産の総額が1600億円ほど増えています。これは、たった1年間でオリエンタルランドの総資産が3割近くも増えた計算になります😲
※なお、完成までに建物や機械に対して支払われたお金は、有形固定資産の「建設仮勘定」に変わります。そして、完成と同時に、「建設仮勘定」から建物や機械といった具体的な科目に振り替えられるんですね😊詳しくはこちら(↓)
また、お金の動きを表すキャッシュ・フロー計算書を見ることでも、建設による支出を確認することができます。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」の欄を見てみると、「有形固定資産の取得による支出」の金額が他の年度と比べても桁違いに大きいことが分かります!
ディズニーシーによって増えた減価償却費の金額とは?
そして、2001年9月のオープンと同時に東京ディズニーシーとホテルミラコスタの稼働が始まりました(=使用が開始されました!)🌟
いよいよ減価償却の始まりです!
建設にかかったお金は、「建物及び構築物」や「機械装置及び運搬具」という固定資産の科目にに含められています。
オープン後は、使う期間にわたってこれらの固定資産が少しずつ費用(減価償却費)に変わり、その分だけ固定資産の残高も減っていきます。
東京ディズニーシーがオープンする前までは、オリエンタルランドの減価償却費は毎年110億円台で推移していました。しかし、オープン後は一気に毎年400億円台にまで膨れ上がったのです!
減価償却の対象が一度に3000億円も増えたので、「使う期間にわたって少しずつ費用に」しても、毎年のコスト負担はかなり増えます💦
そして、この増えた減価償却費が、その後の利益額をおさえつけていくのです😨
ちなみに、土地は減価償却の対象となりません。使っても使っても価値は減らないと考えられているのです。
減価償却がもたらした営業利益率の変化とは?
東京ディズニーシーの減価償却は、オープン後10年ほどで落ち着きました😊
(※減価償却をする期間は資産によって異なりますので10年後以降も減価償却費は発生していると思われますが、大きな山は越えたものと考えられます。)
オリエンタルランドの営業利益率の推移を見てみると、
東京ディズニーシーオープン前 … 15~20%
↓↓
東京ディズニーシーオープン後 … 9~11%
↓↓
東京ディズニーシーオープンから10年後以降 … 20%~
…と、減価償却のピークである東京ディズニーシーオープン後10年ほどは営業利益率が悪化していることが分かります😲
このように、東京ディズニーシー建設のお金が支払われた後も、減価償却を通して、建設の支出負担が固定資産を使う期間の利益に反映されていたのですね✍
東京ディズニーシーをつくることで、東京ディズニーリゾートは入園者数とともに売上高も一気にレベルアップしました🚀
とはいえ、オリエンタルランドにとって東京ディズニーシー建設の負担がいかに重かったかがうかがえますね💫
スポンサーリンク
まとめ
1.減価償却とは、固定資産を購入した後、使う期間にわたってその購入代金を費用(減価償却費)にしていくこと、同時に同額だけ固定資産の残高が減っていく仕組みのことを言う。
2.費用はモノやサービスを使う時に発生するため、基本的に固定資産の購入代金を支払う時には費用は発生しない。代わりに、減価償却というしくみを通して、固定資産の使用期間にわたって減価償却費が発生する。
3.減価償却費が発生すると同時に、固定資産の価値の減少を表すため、減価償却費と同額だけ固定資産残高も減る。つまり、固定資産の使用を通して価値が減った金額だけ、固定資産が減価償却費に変わる。