こんな疑問を持っている方、実はけっこう多いと思います😊
同じ決算書でも、教えてくれる情報は全く異なるこの2つ。
貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)
●貸借対照表…企業の財産や借金の残高を表す
●損益計算書…企業の利益、その計算過程を表す
では、もしこの世界に損益計算書しかなかったらどうなるかをちょっと覗いてみましょう。
貸借対照表がないとどうなっちゃうの?
くま美さんは、人気スマホ「くまフォン」を販売するお店を経営しています✨
もし、損益計算書しか決算書を作っていないとすると、くま美さんのお店はどうなってしまうでしょうか?
確かに、くま美さんのお店の損益計算書を見ると、毎期ちゃんと利益が出ています。
…ところがある日、
毎期黒字だったはずなのに、なぜこんな事態が起こってしまったのでしょうか?
くま美さんに聞いたところ、以下の3つが大きな原因だそうです。
① そもそも今月末が借金の返済期限であることを忘れてた
② 後日払ってもらう約束にしていた販売代金がまだ入金されていなかった
③ 先月株を購入したために、手元のお金が少なかった
実はこれら3つの事柄は、損益計算書には一切出てきません!
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貸借対照表でないと分からなこと
損益計算書では重要な○○が分からない!
貸借対照表には、過去や未来のお金の出入りが記録されています。
一方、損益計算書だけを見ても、「もうお金は入ってきているのか」「もうお金は出ていったのか」といったことは分からないのです。
なぜなら、会計のルールでは、
「販売代金が入金されるタイミング=売上高があがるタイミング」
ではないからなんですね。
実際、販売代金を受け取る前であっても、売上高を認識することは多いです。(※ 後日代金を払ってもらう約束をして商品を引渡したとき等に認識する)
売上を認識するタイミングについて、詳しくはこちら(↓)
同じように、費用についても、必ずしもモノやサービスを購入し代金を払ったタイミングで認識されるわけではありません。
そのため、損益計算書に収益や費用が載っていても、それに関するお金が入ったり出たりしているとは限らないのです。
貸借対照表が教えてくれるお金のデータとは?
貸借対照表は、損益計算書だけでは分からないような、お金の流れに関する情報を補完しています。
これらの資産や負債が載っていれば、
「これから150万円の販売代金が入ってくるんだな(売掛金)」とか
「これから80万円の仕入代金を支払わなくちゃいけないんだな(買掛金)」
といった、未来のお金の出入りが分かります😊
反対に、すでにお金が入ったり出たりしているのに、損益計算書に反映されない取引もあります。
たとえば、借金💰
お金を借りた時も、返す時も、損益計算書にその様子は表れません。
代わりに貸借対照表で、負債(借入金)が増えたり減ったりします。
また、土地や有価証券を買ったときも、その支払いの事実は損益計算書に出てきません。
その代わり、貸借対照表で、資産(固定資産)が増えます。
貸借対照表にこれらの資産や負債が載っていれば、
「借金してお金が入ってきたんだな」とか
「本社ビル(建物)を買うのにたくさんお金を使ったんだな」
といった過去のお金の出入りが分かります✨
(借金の場合は返済しなくてはならないので、将来お金が出ていくことも分かります)
キャッシュ・フロー計算書も、お金の流れを記録している決算書ですよね😊
キャッシュ・フロー計算書は、対象とする年度に存在したお金の出入りを表します。
貸借対照表のように、これから入ってくる・出ていくお金や、過去に出ていったお金の存在を知ることはできないのです。
貸借対照表の大切な役割とは?
くま美さんのお店が資金繰りに困ってしまった原因を、もう1度見てみましょう😊
① そもそも今月末が借金の返済期限であることを忘れてた
② 後日払ってもらう約束にしていた販売代金がまだ入金されていなかった
③ 先月株を購入したために、手元のお金が少なかった
実は、これらの事実はちゃんと貸借対照表に表れてきます!
たとえば、
① 流動負債には、1年以内に返済や支払いが迫っている借金や仕入債務が記載されています。
② 入金の遅れている売掛金(流動資産)があれば、(売上高の伸びと比べて)その残高は大きく膨らんでいきます。
→ ご参考:売掛金回転期間✨
③ 株を購入すれば、その金額は「有価証券」として固定資産に記載されます。手元の資金に対し、無理をして固定資産を購入していれば、固定資産と純資産・固定負債等の比率が歪んできます。
→ ご参考:固定比率・固定長期適合率✨
経営者は貸借対照表に載っているデータを使い、お金のめぐりがストップしないように管理しなくてはなりません。
たとえば…
① 支払や返済が迫っている負債に対して、資金を備えられているかチェック。
② ①で資金が足りないのであれば、頑張って資金を用意する。
(借りる・出資を募る・仕入の支払いを遅らせてもらう・投資計画を見直す…などなど)
③ これからお金に変わる予定の資産(売掛金や在庫など)をちゃんとお金に換えられるように工夫・努力する。
(放っておくと、いつまでも販売代金が入金されなかったり、商品が売れないままになったり…ということもあるのです💦)
④ 投資をする際は、借金を期限までに返せるように計画を練っておく。
(資金繰りに無理のある投資をしないのも1つの方法です)
といったことです😊
実は、倒産してしまう企業は、このような基本的な管理ができなくなっているのです(多くは否応なしに)😨
私たちのような第三者も、貸借対照表を見て、分析していくことで、その企業の資金のめぐりが健全かどうか(つまり、財務基盤が強固か)をチェックすることができます。
自己資本比率や流動比率といった安全性に関わる経営分析は、そのために実施するのです✨
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まとめ
1.損益計算書には、「お金が入ってきた」「お金が出ていった」といったお金に関するデータは載っていない。
2.貸借対照表には、過去にお金を使ったモノ(資産)、これからお金が入ってくる予定のモノ(資産)、これからお金が出ていく予定のモノ(負債)などが表されている。
3.経営者は貸借対照表にある資産・負債のデータを使い、会社のお金のめぐりがストップしないように工夫・努力しなければならない。