今回のテーマは流動比率です✨
求め方や読み解く方法などを、1からやさしく解説していきます!
また、JALの経営破綻の例を見ながら、さらに理解を深めていきましょう😊
流動比率で何がわかるの?
本当に経営が危なくなってくると…
明日、明後日の支払いに必要なお金が足りなくなる、ということが起こってきます!
てるみくらぶ(旅行会社)の事例 ※2017年に破産
てるみくらぶは経営状況が悪化し、お金のやりくりに追われている状態でした💦
旅行申込み客の前払い金をできる限りかき集めたのですが、とうとう取引先であるホテルや交通機関への支払いができない状態に陥ってしまったのです。
結局、自己破産を申請しました😢
債務超過になってもただちに倒産するわけではないですが、お金が底をつき、借入先や取引先への支払いができなくなってしまうとたちまち倒産に追い込まれてしまいます。
そんな「今日明日の目先の支払いを行う力があるか?」を測るときに使うのが流動比率なんです✍
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流動比率の計算式と目安をチェック!
流動比率は、貸借対照表があれば計算することができます✍
この計算式に出てくる流動資産とは1年以内にお金に変わる資産を表し、流動負債とは1年以内にお金を支払う義務を表します。
つまり、流動比率が100%を割り込んでしまうと「1年以内にお金に変わる金額< 1年以内に支払う義務のある金額」という状態に陥っていることになるんですね💦
流動比率の目安としては「200%あれば理想的✨」ですが、「100%を割り込むと警戒すべき水準にある⚡」と言えます。
とは言え、100%を下回ったからといって直ちに経営危機に陥るわけではありません💡
次のパートでは、流動比率が100%を割った企業の捉え方について見ていきましょう!
流動比率が低いとどんなリスクがあるの?
流動比率が100%を割ると危険になる場面とは?
「流動比率<100%」でも存続できる企業は多い!
流動資産も流動負債が表すのは、あくまで「決算書を作った時点で、1年以内にお金に変わること又は支払う義務があること分かっているもの」です💡
実際には、決算書を作った時点の流動資産や流動負債に含まれていなくても、その後1年以内に入ってくるお金や出ていくお金はたくさんあります💰
そのため、流動比率が100%を割っていても、安定して事業を続けている企業は多く存在します。
商品やサービスが売れ続け、滞りなく販売代金が入金されているうちは、流動比率が100%を割っていても事業を続けていくことができるのです😊
支払いが切迫する状況は”突然”やってくる
しかし!
突然の不祥事で企業イメージが悪化し商品が売れなくなったら…?突然大口取引先が倒産して販売代金を支払ってもらえなくなったら…?
このように商売のサイクルが回らなくなる事態に突然陥ったとしても、取引先への支払いや銀行への借入金の返済は期日までに行わなくてはなりません💦
特に、目前に迫っている支払い、つまり1年以内に期日が到来する仕入代金や借金の支払い(返済)を乗り切るお金については、優先して工面しなくてはなりません。
危機の中で流動資産が果たす役割とは?
そんな時、「1年以内にお金に変えられる権利」である流動資産の存在が非常に大切になってくるんですね✨
たとえ販売が滞っても流動資産に余裕があるならば、当面はその流動資産をお金に変えていくことで、支払いを済ませることができます。
その間に外部から資金を工面したり、営業体制を立て直すことができれば、事業を続けていくことができます。
「 流動比率<100% 」のリスク
一方、商売のサイクルがうまく回らない中で流動資産が流動負債よりも少ない(=流動比率<100%)と、「すべての流動資産をお金に変えても、1年以内に支払うべきお金をまかなうことができない」という事態に直面するおそれがあります。
こうなると、「倒産」の足音がすぐ後ろにまで聞こえてくる状態になってきますね…こうした思いがけない転機がやってくるのはほんとに突然です😭
流動比率が100%を割っている企業をどう捉える?
突然の事態に弱い「流動比率<100%」企業
「商品に人気があって絶好調!」という時期にある企業は、たとえ流動比率が100%を割っているからといって倒産の危機に直面しているとは言えません。
ですが、商品の欠陥が発覚したり、強力なライバルが表れたり、ブームが去ったり、取引先が倒産したりしたら…?
商売のサイクルが滞るタイミングは突然やってきます。そんなとき、流動比率が100%を割っていると、営業体制を立て直すのを待たずに資金が底をついてしまう可能性があるのです😨
「流動比率<100%」の企業をどう考えるか
流動比率は、「企業に突然の事態が起こった時でも活動を続けていけるか?」という資金面からの体力値を表しているんですね📐
そういう意味で、流動比率が100%を割っている企業は、当面の事業運営に問題は無くても「長い間事業を続けていく」という点では弱いのです。
どんな人気の商品でも、浮き沈みはあります。その沈んだ時期を資金面で乗り切る力が小さいとも言えますね。
また、流動比率が年々悪化しているような場合は、じわりと経営の危機が迫っていることを表していたりするので要注意です。
その例として、次のパートでJALの流動比率をご紹介します💫
【事例:JAL】流動比率に見る、経営破綻の兆候とは?
JALは経営状況が悪化したことで、2010年に経営破たんしました。そこから再生し、再び上場、今に至ります。
そんなJALの軌跡を流動比率を使って追ってみましょう✈
JAL破たんまでの流動比率の変化
さっそく、JALが経営危機に陥る前と破たん直前期の流動比率を比べてみましょう。
🔹破たんの3年前(2007年3月末) → 107%
🔹破たんの直前期(2009年12月末) → 62%
3年もしない間に大きく悪化しています💦
会計的に見ると、流動比率がここまで低下した理由は2つあります。
① 売上高の低迷により売掛金や現預金が減少し、流動資産が減ったこと
② 1年以内に返済期限が迫っている借入金が増加したため、流動負債が増えたこと
流動比率の計算式で言えば、分子が減り、分母が増えたことになりますね✍
破たんの背景を資金的な面から見てみる
世界的な不況に見舞われた
JALの流動比率が100%を割り込んだこの頃は、世界的にもちょうどリーマンショックに見舞われ不況に陥った時期でした。
この状況の中で、JALは国際線のビジネス旅客の減少や国際貨物便の需要減少に直面し、収入の低下を食い止めることができずにいたのです😢
資金繰りが大きく悪化する中、銀行から1000億円もの融資を受け、借入金も膨らみました。
このように経営が悪化した状況下でも、日々の事業活動に必要な支払い、経営が悪化する前に購入契約を結んだ航空機の支払い、期限の到来した借金の返済は変わらずこなさなくてはなりません⚡
JAL破たんの理由とは?
破たん直前期の決算書を見ると、すでに赤字に陥っており今後の収入も期待できるとは言えない状況です💦
その上、その時点で分かっているだけでも1年以内の支払額(流動負債)が1年以内の入金額(流動資産)を大きく上回っている状態でした。
…明らかに資金繰りに窮していたことが分かります。
もちろんリーマンショックの逆風を乗り越えて、生き延びた企業もたくさんあります。
しかし、JALの場合は、経営危機に陥る前の時期ですら、流動比率がやっと100%を超えていた状態。もともと資金的な体力があったとは言えませんでした。
そのため、こうした突然の危機からはい上がる体力がついてなかったのだと言えます。
現在のJALの流動比率は?
2017年9月末のJALの流動比率は167%です✨100%を大きく上回るところまで回復しました!
経営破たん後、再生支援を受けたことで借金を切り捨てることができ、財務状況が大きく改善しました。
この他、公的資金を受けて競争力を強化するための投資を行い、リストラなど社内の痛みを伴う改革も断行したことで、収益を生む企業に変わったのです。
破たん直前期と比べてみると、現預金が増加したことで流動資産が増え、同時に借金の大幅な減少により流動負債が半減しています。
流動比率やそれ以外の指標を見ても、突然の危機を乗り越える資金的な体力がついてきたと言えますね😊
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まとめ
1.流動比率は、「今日明日の目先の支払いを行う力があるか?」という短期的な支払い能力を教えてくれる指標。
2.流動比率が100%を下回っている企業は、突然業績が悪化したときに資金的に耐えられない(=支払いに必要な資金が足りなくなる)リスクが高い。
3.流動比率が年々悪化している企業は、じわりと経営の危機が迫っている可能性があるため要注意!