新商品発売に向け、お気に入りのソファ&テーブルを売って資金を得たハニー姫。それでもまだまだお金は足りないようで…
ということで、初めての借金に踏み切ったハニー姫💰✨
さて、決算書にはどんな影響があったのでしょうか?
お城に住むハニー姫は、一念発起しお菓子のネット販売会社を立ち上げました🐰✨お付きのウリまるに教えてもらいながら、簿記やビジネスを1から勉強しています✍
商品のブームが去ったことで業績が下降気味でしたが、ここにきて新たな決断をしましたね😊
これでスッキリ!借入金とBS・PLの関係とは?
借入すると収益になる?返済すると費用になる?
そうなんです😊
損益計算書に登場する収益や費用と、実際のお金の出入りは全く概念が異なるものなんですよね✨
大枠の考え方としては…
🔸 収益 = 企業がキャッシュを獲得する要因・その金額
🔸 費用 = 企業が(自ら所有する)キャッシュを支払う原因・その金額
を表します💪
※こうした収益・費用の中には、まだ入金・支払が済んでいない、もしくは、過去に入金・支払が完了しているキャッシュも含まれているのです(cf. 実現主義・発生主義)
収益や費用は、あくまで企業がキャッシュを自らの所有物にしたり・所有物から外したりする根拠を、会計のルール(実現主義など)に沿ったタイミングで示したものです。
「入ってくるお金=収益」「出て行くお金=費用」…ではないのです!
一方、借金して得たお金はあくまで貸手側のもの。いずれ返さなくてはなりません。
また、返済時に支払うお金も、借りたものを返すだけ。元から借手が所有していたお金ではありませんよね。
ということは…
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【図解】借入と返済でBS・PLはどう変化する?
ということで、
まずこちらは、借金をする前の決算書です(単位:百万円)。
(※ 決算の段階では、貸借対照表(ピンク色の線より上)と損益計算書(ピンク色の線より下)が一体となった形(試算表)をしています)
この企業は業績が低迷しており、ここ何年か赤字が続いています。
事業を運営する資金が足りなくなったために、借入れをするようですね💰
↓ ↓ ↓ ここで、500万円の借金をすると…
このように資産と負債のパートに変化がみられました!
両者とも、借り入れた500万円分だけ増えていますね😊
資産には、借金によって増えた現預金500万円が追加されています💰✨
また、負債は、「将来何らかの形でお金を払う義務」を表す科目を集めたパートです。
今回のケースでは、「将来、借りた500万円を返済する」という内容を「借入金 500万円」という負債の勘定科目で表しています。
先ほどの例では、借金を返済する前は500万円の借金をかかえていましたが…
↓ ↓ ↓ この500万円の借金をすべて返済すると…
このように、返済した500万円分だけ資産と負債のパートが縮みます!
現預金500万円を使い借金を返済したことで資産が500万円分減り、同時に「将来、借りた500万円を返済する」義務が無くなったことで負債から借入金500万円が消えました。
損益計算書を構成する収益・費用には、今回も影響はありませんね💡
今年はいくら借りた?キャッシュフロー計算書が教えてくれること
資産や負債のように、貸借対照表が教えてくれる情報はあくまで残高ベースの金額です。
つまり…
そんな時に役に立つのが、キャッシュフロー計算書です✨
キャッシュフロー計算書は…
対象期間において「お金がいくら入ってきたか・出て行ったか」という情報を、企業の活動パターンごとに教えてくれる決算書なのです!
借入れ・返済の情報は、「財務活動によるキャッシュ・フロー」のパートに記載されています😊
このパートに並ぶ項目を見てみると…
🔸「短期借入れによる収入」「長期借入れによる収入」 →その期間に借り入れた金額
🔸「短期借入金の返済による支出」「長期借入金の返済による支出」 →その期間に返済した金額
が分かります✍
(※短期借入金については、「短期借入金の純増減額」等の項目に借入額と返済額を相殺した金額を載せている企業も多いですね)
支払利息ってどんなもの?借入金が損益計算書に影響するワケ
「借入れ・返済自体は収益と費用を動かさない」というお話をしてきましたが…
それが利息です✨
借金をしている期間は、契約で決められた金額・時期に合わせて借入先に利息を支払うことになります。(たとえば、「半年に1回、借入残高の1%を支払う」など)
ここで支払った利息は「支払利息」という勘定科目で表され、損益計算書の費用に含まれるのです✍
この支払利息、実は「借入れ」というサービスを利用するための対価と考えられるんです😊
つまり、一度支払ったらもう戻ってきません!(=支払ったキャッシュが所有物でなくなる)
そのため、会計のルール(※)に則り、「借入れ」サービスを使ったタイミングで支払利息を費用に計上していくんですね。
(※ 費用は、モノやサービスを消費したタイミングで計上する。by 発生主義)
なので、支払利息は、支払ったタイミングではなく、借入期間全体に按分した上で費用に計上していきます。
例:1年間の借入期間後、返済時に12万円の利息を支払うケース
経理処理では…
→ 借入れをした1年間を通して、毎月1万円ずつ支払利息を費用に計上する。
※ご参考:未払費用(↓)
本業からは外れているものの、平常時の活動から生まれる費用だからですね😊
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【事例:ソフトバンク】膨らむ借入金…利益にはどう影響してる?
莫大な有利子負債(※)を抱えることでも有名なソフトバンクグループ📱✨
こちらの企業の事例をちょっとのぞいてみましょう😊
(※ 有利子負債…借入金や社債のように利子の支払いが必要な負債のこと)
ソフトバンクグループの2018年3月期の有利子負債残高を5年前と比較してみましょう!
ソフトバンクグループの有利子負債残高
🔸2013年3月期 … 3兆7078億円
↓
🔸2018年3月期 …17兆421億円
元々、桁違いな規模の有利子負債を持っていましたが、この5年間で5倍近くにまで膨らんでいます😲
この有利子負債のうちの多くを、借入金や社債が占めていますね。
こうした有利子負債の膨張は、支払利息を通じて利益に影響を及ぼします。
今度は、支払利息の金額を5年前と比較してみましょう!
ソフトバンクグループの支払利息
🔸2013年3月期 … 652億円
↓
🔸2018年3月期 …5161億円
なんと、こちらは8倍近くにまで増加しています🎈
確かに、支払利息のような費用の増加は、利益を圧迫する原因になります。果たして、利益は減ってしまっているのでしょうか?
ということで、当期純利益(親会社の所有者に帰属する分)の変化を見てみましょう✨
ソフトバンクグループの親会社の所有者に帰属する純利益
🔸2013年3月期 … 3724億円
↓
🔸2018年3月期 …1兆389億円
通信事業のイメージが強いソフトバンクグループですが、同時にグローバル規模で他社の株式を買い進めており投資会社としての顔を持つことでも有名ですね🌎
3兆円超えの巨額の資金を使ってイギリスの半導体設計会社アームを子会社にしたり(2016年)、テクノロジー企業への投資を行うファンドを立ち上げたり(2017年)したことも話題になりました。
こうした桁違いの規模のM&Aを乗り切るには、莫大な資金が必要です💰✨
この資金をまかなうために、借入金や社債がどんどん膨らんでいるんですね。
子会社化した企業の利益はそのままソフトバンクグループの利益に足されますし、そうでなくても出資割合に応じて投資先の利益を取り込むことができます。
以前買収したスプリント(アメリカの携帯事業会社)が黒字転換したことも、利益の押上げに貢献していますね😊
たとえば、投資先の企業の赤字が続いたりするなど、せっかく借りた資金がうまく利益に結び付かないこともあります。すると、膨らんだ借金は、巨額の支払利息を通して、ただ利益を押し下げる存在となってしまうのです💦
このような事態に陥いると、やがて訪れる多額の借金の返済にも窮するおそれがあります…💦
ソフトバンクグループは、こうしたリスクと隣り合わせの大胆な作戦を選び、利益拡大を図っているんですね。
※ 有利子負債残高、支払費用、純利益の数値は、ソフトバンクグループ株式会社の有価証券報告書より記載。
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まとめ
1.借入れ、返済による資金の出入りは、あくまで貸し手側が所有しているお金を借り、返すものであるため、収益・費用にはならない(損益計算書は影響を受けない)。
2.代わりに、借入れをすることで、借りた金額だけ資産(現金及び預金)と負債(借入金)が増える。反対に、返済する時は、返済額だけ資産(現金及び預金)と負債(借入金)が減る。
3.借入れ・返済自体は収益・費用として扱われないが、借金を利用するために支払う利息は費用(支払利息)となって利益に影響を与える。