ズバリ、有利子負債とは?
まず負債を一言で表すと‥
「将来出ていく金額を表したもの」
と言えます💍
たとえば、「支払手形」が10万円あるとしたら、「将来、取引先に10万円支払わなくてはならない」ということを意味します。
しかし!有利子負債の場合は、表示されている金額以上にお金が出ていきます。
表示されている金額に加え、毎年利子を支払わなくてはならないのです。
有利子負債の代表格である借入金も、資金を借りる代わりに返済するまで利子を支払わなくてはなりません😳
有利子負債とは、その名の通り「利子」が「有る」負債のことなのです。
多くの有利子負債は、お金を借りたり、社債を調達することによって生まれます。
「借りたお金より多い金額を、将来支払わなければならなくなる」という点が、企業にとっての注意ポイントなのです。
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キリンの有利子負債は多い?具体例を見てみよう!
ではここで、近年財務改革に取り組んでいるキリンホールディングスの有利子負債を見てみましょう😊
こちらは2017年6月末時点の貸借対照表から、負債の部分を抜粋・一部要約したものです。
この中で、マーカーをひいている項目が有利子負債です。すべて合わせると5717億円で、負債全体の半分ほどを占めています。
有利子負債の内訳を見てみると、やはり借入金と社債で構成されていますね。
流動負債に記載のある項目が今後1年以内に返済(償還)される負債、固定負債に記載のある項目が1年を超えた先に返済(償還)される負債です。
買掛金(仕入先へ未払いになっている仕入代)や未払法人税等(未払いの税金)は、利子がかからないため有利子負債には含まれません。
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キリンの有利子負債に起こった変化とは?
実はここ数年、キリンは成長に向けた改革の真っただ中にいるのです。
成長に向けて行動するというと、M&Aや設備増設などのように積極的に投資をしていくイメージがあります。しかし、キリンはその前に取り組んだことがありました。
それは、積み上がった有利子負債を減らすことです。
どんなにお金を稼いできても、有利子負債が多いと、利子の支払いの方にお金がどんどん流れていってしまいます。
そこで、キリンは本業で稼いだお金を優先的に有利子負債の返済に回したのです。
その努力の結果…
2012年12月末の有利子負債 … 9636億円
↓
2016年6月末の有利子負債 … 5717億円
と、1兆円近くにまで積み上がっていた有利子負債が、そのボリュームを4割も減らしました。
これによって、毎年支払っていた利子にも大きな変化が見られました。
2012年度の支払利息 … 228億円
↓
2016年度の支払利息 … 132億円
支払利息から減った100億円ほどのお金は、成長への資金にあてることができるようになりますね😊実際に、費用(支払利息)が減ったことで利益率も上がっています!
このように、有利子負債を減らすことによって、収益性が改善し、本業で稼いだお金をスムーズに成長投資に回すことができます。また、財務状況の改善によって格付け上の評価がよくなれば、成長投資に向けた資金調達もしやすくなります。
簡単なことではありませんが、キリンは積極的に成長投資をしたいところをグッとこらえて、まずは有利子負債の削減を優先しました。負債削減作戦は2017年でひとまず目途がつくようで、今後は成長投資に舵をきることになります。
どうやら、新規事業に向かってどんどん手を広げていくというよりは、すでに持っているブランド(「午後の紅茶」など)の再成長や効率化に特に注力していくようですね✨
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まとめ
1.有利子負債は利子の支払いが必要な負債である。そのため、決算書の表示額以上の支出が見込まれているという点で他の負債とは異なる。
2.有利子負債には、借入金や社債などがある。
3.有利子負債が減れば利子の支払いに充てていた資金を成長投資等に回すことができるようになる。また、有利子負債の削減によって財務状況も改善すれば、資金調達もしやすくなる。