設備投資とは?財務諸表における意味をチェック!
設備投資って何?
投資とは、将来の成果を得るためにお金を投じていくことです。
自己投資、株式投資、事業投資などなど…。
このうちの1つである設備投資とは、建物を建設したり、機械を購入したりすることを指します。
より具体的には、以下のようなケースがあります。
・工場や研究所の建設
・生産ラインの増設
・新規出店
・物流センターの建設
企業は、これらの設備を通して事業を拡大し、さらなる利益の増大を目指すのです。
設備投資の場合、1回の投資額が大きくなりがちなのも1つの特徴ですね。
財務諸表における意味とは?
「お金」と「設備」の交換を表す
建物や機械を購入するにあたっては、まずお金を支払う必要があります。そのお金と引き換えに、設備を手に入れることができるのです。
つまり、「お金」という資産が減り、同時に「設備」という資産が増えるのです。
財務諸表上では、この資産の入れ替えを表現する必要があります。
使用開始後、「設備」の価値が落ちることを表す
購入した設備は、使用するにしたがって消耗・劣化し、その価値が落ちてゆきます。
そのため、財務諸表上では、「設備」という資産の価値を減らしていく必要があるのです。
同時に、「設備」を使用することで発生する費用を表さなくてはなりません。
スポンサーリンク
財務諸表3つの役割を簡単におさらい
財務諸表を代表する3つと言えば、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書です。この3つの役割をさらっとおさらいしておきましょう!
まず貸借対照表(BS)は、決算日時点での資産・負債の一覧を表したものです。企業がどんな財産を持ち、どんな支払い義務を抱えているかが分かります。
次に損益計算書(PL)は、1年間の収益・費用を項目ごとに表したものです。収益と費用を足し引きした結果、1年間でどれだけの利益を稼いだかが計算されています。
最後にキャッシュフロー計算書は、1年間の収入・支出の内容を表したものです。それらの結果として、1年間でキャッシュがどれだけ増減したかが分かります。
はじめは、貸借対照表とキャッシュフロー計算書に動きがある
購入した設備は財務諸表のどこに表れる?
設備を購入した時に変化が表れるのは、貸借対照表とキャッシュフロー計算書です。
資産の一覧を示している貸借対照表では、設備の購入に使った現預金が減り、代わりに購入した設備(有形固定資産)が増えます。
(※後払いの場合は、現預金が減る代わりに、負債の1つである未払金が増えます。)
また、キャッシュの出入りを表すキャッシュフロー計算書では、設備の購入にあたって支払われた金額がマイナス表示されます。
具体的には、キャッシュフロー計算書のうち、「投資活動によるキャッシュフロー」のパートの「有形固定資産の取得による支出」という項目でマイナス表示されます。
物流センターを作っているアスクルの例
オフィス用品などの通販で事業を拡大しているアスクルは、2016年11月からアスクル最大の物流センターを関西に建設し始めました。
アスクルの貸借対照表を見てみると、建設当初の2016年11月20日時点では3億円にも届かなかった「建設仮勘定」が、9ヵ月後の2017年8月20日には59億円にまでふくらんでいます。
「建設仮勘定」とは完成前の建物や機械を表し、貸借対照表では有形固定資産の1つの項目として表示されます。
物流センターの建設に伴い、キャッシュが支払われ減っていくと同時に、支払われた金額だけ「建設仮勘定」が増えているのです。
今度は、物流センターの建設期間中にあたる、2017年5月~11月のキャッシュフロー計算書を見てみましょう。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」の「有形固定資産の取得による支出」の金額は、前年同期は̠-14億円であったのに対し、当期は-98億円にまで増えています。
前年は大きな設備投資は無かったために、ここまで金額に差が出たのです。
スポンサーリンク
設備を使い始めると損益計算書にも変化が出る
購入した設備をいよいよ使い始めたとき、財務諸表にはどんな変化が表れるのでしょうか?
貸借対照表では、使用することで設備の価値が減っていく様が表現されます。使用する期間にわたって、対象となる有形固定資産の残高が減っていくのです。
同時に、有形固定資産が減った金額だけ、損益計算書の費用に減価償却費が織り込まれます。
有形固定資産を使った分だけ残高が減り、同時にその分だけ費用が生ずること…これが減価償却です。
減価償却の詳しい仕組みについてはこちら(↓)で解説しています。
スポンサーリンク
まとめ
1.設備を購入する際、貸借対照表上では、支払った金額だけ「現金及び預金」が減る。同時に購入した設備に該当する「有形固定資産」が増える。キャッシュフロー計算書では、支払った金額が「有形固定資産の取得による支出」としてマイナス表示される。
2.購入した設備を使うことで、貸借対照表の「有形固定資産」が減っていく。同時に、減った金額だけ損益計算書の費用に減価償却費として織り込まれる。