経営戦略と一言で言っても、長期的なものや3~5年の短いスパンのもの、また人材に対する戦略からブランドに対する戦略まで多種多様です。
今回取り上げるのは、数ある戦略の中でも設備投資における戦略を知る方法です✨
なぜ、投資の計画を知った方がいいの?
今後の業績を占う要素の1つ
設備投資をするということは、近い未来に以下のようなことが起きます😊
・店舗が増える →販売量が増える
・新しい工場が建つ
新しい生産設備が導入される →新商品が発売される、生産が効率的になる
・工場が拡張される
生産設備が増える →商品の生産量が増える
・新しい研究開発施設が建つ →研究開発体制が強化される
・新しい物流拠点ができる →裁ける商品数が増える、輸送費が抑えられる
設備投資によって、近い将来にこのようなポジティブな現象が引き起こされる可能性があるのです。これらの現象は、売上高の増加や経費の減少に結び付きますね!
もちろん、投資が失敗する可能性もあります。が、このような積極的な投資は市場で好感され、株価が上昇することも多いのです。
決算書を読み解く際の助けになる
投資の金額が大きければ大きいほど、決算書の数字は平常時とは異なる動きを見せるようになります🌟
たとえば、本業の稼ぎで投資資金をまかないきれないときは、銀行等から借り入れることもあります。この場合、貸借対照表では借入金が増えますね。
一方で、事業が不調で日常的な業務に必要な資金すら足りなくなってきている場合も、借入金は増える傾向にあります。
このように、「借入金が増えた」という同じ現象であっても、その背景によって今後予想される業績は変わってくるでしょう🗝
企業が投資をする際に起こるキャッシュ・フロー計算書の変化については、こちらをご参照ください(↓)オリエンタルランドがディズニーシーを建設した時の事例付きです。
また、大型の設備投資をした際は、その後の減価償却費が大きくなるため利益率が下がりやすくなります。投資の事実を踏まえていれば、単なる業績の悪化ではないことも読み取れると思います。
同じく、オリエンタルランドがディズニーシーを建設した後の利益率の変化について、こちらで解説しています(↓)
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企業の投資計画を知る方法とは?
詳しい情報を一目でつかめるのは有価証券報告書
有価証券報告書といっても、見るのは決算書の部分ではありません。
有価証券報告書の第一部の中に、第3【設備の状況】という項目があります。企業が持っている設備の一覧やその年に実施した設備投資の内容等が記載してあるパートです。
このパートの一番最後の項目、3【設備の新設、除却等の計画】を見ると、今後実施する予定の設備投資計画一覧が載っています。
3【設備の新設、除却等の計画】では、以下のような情報を教えてくれます😊
・投資する設備の内容
・予定されている投資金額
・設備の完成時期
・投資資金の調達方法(借金するのか、自前の資金なのか)
たとえば、森永乳業の2017年3月の有価証券報告書を見てみると…
・茨城県や兵庫県にヨーグルトの製造設備を作ること
・予定では、その設備に総額300億円弱かかるここと。2017年3月末時点では、支払った金額は殆んどないこと。
・自前の資金以外に借入金を活用すること
・設備が完成するのは、平成30年(兵庫)、平成31年(茨城県)
などの情報が分かります。
2017年3月期の森永乳業の最終利益が132億円であったことを考えると、かなり大きい規模の設備投資です。
森永乳業では「パルテノ」をはじめとしたヨーグルトの売上の伸びが著しく、森永乳業の成長のけん引役となっています。今後もヨーグルト市場が成長していくことを見込み、さらなる需要を取り込むべくヨーグルトを増産しようとしているのです。
上記の有価証券報告書の情報を見れば、今後平成31年にかけて、固定資産(完成前は「建設仮勘定」)が増えていくこと、借金が増える可能性があることが予想できます。
また、平成30年、平成31年に設備が完成した後は、ヨーグルトの販売数量増加に伴って売上高が増えること、同時に当面は減価償却費が増えることも予想されます。
注目している企業があるならIRニュース
注目している特定の企業があるなら、その企業のHPのIRニュース(なければニュースリリース)を定期的に見てみましょう💫
それなりの規模の投資であれば、実施する前の段階でIRニュースに設備投資のお知らせが掲載されます。
このお知らせでは、有価証券報告書で得られる情報のほか、以下のような内容を知ることができます。
・投資の目的・背景
・増加する生産量
・新設する工場の面積
・建設地の住所
先ほどご紹介した、森永乳業のヨーグルト増産投資のケースを見てみましょう✨
2016年10月にIRニュースに掲載されたお知らせを見てみると、今回の設備投資によって1年あたり56000㎘ものヨーグルトの増産が可能になることが分かります。また、2020年度には、家庭用ヨーグルトの売上高を2015年度の1.5倍に引き上げる目標を立てていることも記載されていますね。
企業の構想まで知りたいなら決算説明会資料
決算説明会資料(主に後半部分)には、今後企業が目指しているサービスのイメージが表されていることも多いです。
決算説明会資料の入手方法については、こちら(↓)で解説しています。(※「【応用編】決算書プラスアルファの情報が知りたいなら」に記載)
計画している設備投資に企業がどんな期待をしているのか、そこからどんな世界が広がるのかといった情報を視覚的に得ることができます。
ただ、決算説明会資料をHPに掲載していない企業もあり、内容の充実度も企業によってばらつきがあります。HPに掲載していたら見てみる位の気持ちでいるといいですね。
企業を特定せず、概要をつかむなら日経新聞
日経新聞(主に企業面)を日々追っていけば、大きな設備投資を計画している企業をキャッチすることができます。そこから上記の方法(すぐに知るならIRニュース)を使って、詳しい情報を取りに行く方法もありますね。
かなり大規模な投資にならないと新聞にまで掲載されることはありませんが、企業を絞らずとも設備投資情報をつかむことができるというメリットがあります。
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まとめ
1.設備投資計画を把握しておくことは、企業の今後の業績を予想したり、決算書を読み解く際の助けになる。
2.特定の企業の詳しい設備投資計画を知るなら、有価証券報告書やIRニュースのお知らせを見る。