実は、利益が出なくても存続している企業はたくさんあります。
赤字なのに、事業を続けられる秘密はなんでしょうか?
9年連続で赤字を記録しているジーンズメイトを例に、その秘密を解き明かしていきましょう!
「 利益が出続けている=企業存続 」ではない!
企業が生きながらえるかどうか、実はこれを決めるのはお金の有無なのです。
お金がある限りは、どんなに赤字になっても事業を続けていくことができます。裏を返せば、利益が出ていてもお金が底を尽いてしまえば倒産してしまうのです。
とは言っても、企業がお金を得る源は、事業から生み出す利益です。
赤字(=マイナスの利益)が続いている中、お金を捻出する方法とは一体どんなものなのでしょうか?
9年連続赤字(2017年2月期時点)にも関わらず、事業を回し続けているジーンズメイトを例に見てみましょう😊
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ジーンズメイトの経営状況とは?
まずは、ジーンズメイトがどんな経営状況なのか確認しておきましょう。
昭和35年に設立された株式会社ジーンズメイトは、ジーンズを中心としたカジュアルウェアのチェーン店を経営しています。1999年に上場して以降も、黒字経営を続けていました。
しかし、昨今はアパレルブランドの低迷期ともいえる時代。海外勢も含めたファストファッションブランドが広く普及し、アパレルメーカーは苦難の時代を迎えているのです。
ジーンズメイトとて、その状況は同じです。ユニクロやGUなどジーンズを安く購入できるお店が増え、徐々に販売不振に陥っていきました。
一時期は年間200億円を超えていた売上高も、2017年2月期は91億円と半分以下にまで落ち込んでいます。
また利益についても、販売不振が響いて営業赤字(=本業の稼ぎを表す「営業利益」がマイナスの状態)となっている上に、店舗閉鎖による損失や減損損失がのしかかっている状況なのです。
赤字続きのジーンズメイトが存続できるワケ
これだけ赤字が続いているジーンズメイトですが、驚くべきことに、ここまで無借金経営を遂行しているのです。
そんなジーンズメイトがどこから資金を捻出しているのか見てみましょう。
豊富な有価証券
赤字に陥る前のジーンズメイトの貸借対照表を見てみると、ある特徴に気づきます。
それは、有価証券、投資有価証券の割合が高いこと。
ジーンズメイトの有価証券には、社債や外国債券などが含まれています。有価証券を保有していれば利子が入るため、本業の収入を補うことができるのです。
ジーンズメイトは、主に、この有価証券、投資有価証券をお金に換える(売却・償還する)ことで本業の資金不足を補っていました。
豊富な現金
赤字に陥る前までのジーンズメイトは、販売を拡大させ、着実に現預金を積み重ねていきました。
そのため、キャッシュフローがマイナスになってしまった年でも、それに耐えられる潤沢な現預金があったのです。
9年間の赤字がもたらした資産の変化
このように豊富な有価証券と現預金で販売不振を乗り切ってきたジーンズメイトですが、その資産内容には確実に変化が表れていました。
赤字に陥る前の2008年2月期と、9年連続で赤字が続いた2017年2月期を比べてみると…
● 現金及び預金 →64%減少
● 有価証券・投資有価証券 →76%減少
さらには、販売が縮小したことで、在庫や売掛金の金額も格段に少なくなりました。
この結果、9年間を通して資産全体が約3分の1にまで縮んでしまったのです。
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今後も赤字が続けば倒産の危機も…
資産家ジーンズメイトもこのままでは危ない
いくら資金が潤沢にあっても、永遠に赤字に耐えられるわけではありません。
先ほどご紹介したように、9年連続の赤字を経て、ジーンズメイトの現預金や有価証券は格段に減ってしまいました。
資金を捻出するためには、資産を換金するほかに、銀行から借りたり、投資家から出資を募ったりする方法もあります。しかし、経営状況の悪化した企業には銀行も貸したがりませんし、投資家だって敬遠するでしょう。
企業内にある資金が底を尽き、外部からも調達できないとなれば、いよいよ事業を続けることができなくなります。つまりは、倒産です。
2017年、ジーンズメイトに起こった変化とは?
2017年2月期、そんな赤字続きのジーンズメイトに新たな株主から出資がありました。
その新たな株主とはライザップです。現在、アパレル方面にも事業を広げているライザップは親会社として、ジーンズメイトをグループに取り込んだのです。
ライザップ傘下に入った現在のジーンズメイトは、ロゴを変更したり、オリジナル商品を再開発するなどして、今までのブランドイメージを変えていこうとしています。
その成果もあってか、2018年下半期に入り前年よりも売上高が増える月が多くなってきました。2018年2月期は黒字転換を目指しているそうです。
このプラスの要素が好感され、2017年に入ってから徐々に株価が上昇しています(テレビで取り上げられたことも影響しているようです)。
まだまだ気が抜けない経営状態であるものの、ジーンズメイトはまさにその体質を変えようとしているところなのです。
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まとめ
1.倒産を決めるのは、利益ではなくお金があるかどうか。お金がある限りは、どんなに赤字になっても事業を続けていくことができる。
2.赤字企業が資金をねん出する方法としては、手元の現預金を使うほか、資産を換金する、借金する、出資を募るといった方法がある。しかし、あまりに赤字が大きい又は続いてしまうと、やがてどの方法も使えなくなるので、その前には利益が出る体質に転換しなければいけない。
3.ジーンズメイトは現預金が潤沢にあったことに加え、有価証券を換金することで資金を捻出し、9年間の赤字を乗り切ってきた。2017年にはRIZAP傘下に入り、ブランドイメージ刷新に取り組んでいる。