ヤマトの利益を引き下げた人手不足以外の原因とは?ヤマト2017上期の業績を読む

 

人手不足、未払い残業代…

私たちに身近な存在でありながら、最近マイナスのイメージがまとわりつくヤマトホールディングス。グループにヤマト運輸を持つ、言わずと知れた宅配業界の国内最大手です✨

圧倒的なシェアを誇るにも関わらず、2016年度から急速に業績が悪化、2017年度上半期(4~9月)はとうとう赤字となってしまいました。

その原因として人手不足が取り沙汰されがちですが、実はそれ以外にも原因が隠されていたのです。

今回は、ヤマトを追い詰めた原因と、人件費が上昇した本質を見ていきたいと思います😊

 

ヤマトの収益性はどのくらい悪化しているのか?

最近は業績の悪化が取り上げられがちなヤマトホールディングス。実際にどのように売上高や利益率が変化しているのか見てみましょう!

10年間の売上高推移

2006年度:1兆1615億円

2011年度:1兆2608億円

2016年度:1兆4668億円

営業収益(売上高)は順調に金額を伸ばしていき、1兆5000億円台も目前です。

宅配便市場が拡大していくと同時に、ヤマトが占めるシェアも増えていき、それが売上高の増加につながりました。

一方、営業利益率を見てみると…

10年間の営業利益率推移

2006年度:5.8%

2011年度:5.3%

2016年度:2.4%

10年前の時点で、すでに営業利益率は下落傾向にありました。2016年度は未払い残業代等を一気に費用としたために、特に悪化しています。しかし、その要因が無くてもこの10年間で最低水準の営業利益率となったことには変わりません。

このように収益性が悪化してしまったことにより、2016年度の営業収益(売上高)は10年前の約1.3倍であるにもかかわらず、営業利益は半減してしまったのです😭

 

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どんどん下がっていた宅配便の単価

実は右肩下がりとなっていた

実は、ヤマトで扱っている宅急便の1個あたり平均単価は、年々下がり続けているのです。

10年前と比べると、1個当たりの単価は13%以上も下がっています。(2006年度:647円→2016年度:559円、ヤマトHD公表資料より)

その大きな原因となったのが、フリマサイトの普及です。ここ最近、メルカリやフリルといったフリマアプリが登場し、誰でも簡単にモノの売り買いができるようになりましたよね。

これにより、個人と個人の間で荷物を送ることが格段に増え、同時に宅配便の利用も増えました。しかし、1つ当たりの荷物が小さいため、結果として単価の低い商品の割合が増えてしまったのです。

たとえ、小さな荷物であっても、1つの荷物を運ぶ手間や人員数まで小さくなるわけではありません。そのため、1つの荷物を運ぶコストは変わらないまま、そこから得る収益は減ってしまったのです😭

 

もし単価が下がっていなかったら2017年3月期の業績は?

2016年度(2017年3月期)は、前年と比べて宅急便とクロネコDMの単価が3~4%下がっていました。

もし、単価が下落していなかったら、2016年度のヤマトの業績はどうなっていたでしょうか?

もともとの2016年度の業績は、前年から営業収益(売上高)が増えたものの、営業利益率が悪化したために営業利益が半減していました。

前年から3%単価が下がったと仮定して、2016年度のデリバリー事業の営業収益(売上高)をその3%分だけ底上げしてみると…355億円が営業収益、そして営業利益に上乗せされます。(もともとの2016年度の営業収益は1兆4668億円)

その場合、営業利益は前年よりも増加し、営業利益率も前年からやや悪化するものの、大きくは変わらない水準となります✨これは、宅配便の数量の増加がそのまま利益に反映されるようになったためですね。

 

2017年度上期の単価下落の影響は?

では、2017年度上期の単価の動きはどうでしょうか?

やはり2016年度と比べると低下していることには変わりませんが、宅配便の単価下落率は-0~1%台と減少幅が縮んできています

それでも、2017年度上期の営業収益(売上高)、営業利益にとっては、この単価下落により数十億円の押し下げ影響があったと考えられます。

2017年度は大口顧客と値上げ交渉を進めており、下期以降(10月~)にその効果が出てくるようです。2017年度下期は単価が上向いてくることになると思います

 

 

増えた人件費が今後のヤマトに与える影響とは?

コストの9割以上を占める人件費

ヤマトの収益性が悪化したもう1つの原因は、やはり人件費の重さですね。

ヤマトホールディングスにかかる営業関連のコストのうち、9割以上は人件費によって占められています(2016年度にいたっては95%です)。

それだけに、賃金の上昇や従業員数の変動が利益に与えるインパクトも大きく、他社以上に人件費のコントロールが重要になってきます。

 

2017年度上期は社員の人件費も増えている

最近の宅配便へのニーズの高まりを受け、ヤマトでは社内の人員だけではまかないきれず、外部に委託する割合が増えていきています。

一般的には外部に作業を委託すると割高になりがちであり、利益を圧迫する原因になります。ヤマトの業績悪化要因としてよく取り上げられているのはこの点です。

 

一方で、ヤマト社員数も伸びているんですね。特に2017年度上期においては、たった半年で急激に(+3.5%)増えています

宅配便ニーズの拡大に備えて体制を整えるため、そして激務が問題となった社内の働き方改革のため、ドライバーを大量に採用したのです。

しかし、一人前のドライバーとして働くためには、研修にも時間を割かなくてはなりません。このように2017年度上期は人員が増えた一方で、1人当たりの稼働時間は抑えられていました。そのため、社員一人あたりが稼ぐ売上高は減ってしまったのです。

これがヤマトの収益性悪化に拍車をかけてしまいました。

 

とはいえ、研修が終わり一人前のドライバーとなれば、体制強化の一端を担えるようになります。2017年度上期の新規採用者分の人件費は、いわば先行投資であったのです。今後、社員一人あたりの売上高も回復し、収益性改善に貢献してくると予想されます。

また、値上げ交渉の中で契約打ち切りとなる顧客も出てきているため、結果として今後のヤマトが扱う荷物の数は減っていきます。そうなれば、外部に委託する割合も縮小してくるでしょう。

 

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まとめ

1.ここ10年間のヤマトホールディングスの売上高は右肩上がりで合ったものの、営業利益率は低下していた。

2.原因の1つは、フリマアプリ普及等による宅配便の単価の下落

3.もう1つの原因である人件費による利益圧迫の理由は、外部委託割合が増えたこと以外に、社員の新規採用数がグッと増したもののまだフル稼働できていないことにある。

4.2017年度下期からは値上げ交渉の成果が出てくると同時に、新規に採用した社員も徐々にフル稼働になってくると考えられる。そのため、収益性は改善してくると思われる

 

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