なぜ?円安が輸出企業に有利に影響する理由①トヨタに学ぶ円高円安のカラクリ

 

新聞を眺めていると、こんな言葉を見かけませんか?

円安を追い風に大きく増益」

「予想よりも円安に動いたため、計画から利益が上振れ」

 

なぜ円安になると、輸出企業の利益が増えるのでしょうか?

為替の影響を受けやすい企業代表ともいえるトヨタ自動車を例に、円安が決算書にどんな影響を与えるかを4回に分けて見ていきます😊

 

 

絶対に押さえたい!円安が業績を左右する大前提とは?

「円安がなぜ利益を増やすのか?」を解き明かしていく前に、為替レートが業績に影響を与える大前提をお話しますね^^

 

円安が日本企業の業績に影響を与える大前提、それは‥

決算書は日本円で表示される

ということです。

 

円安が「業績の見え方」を変える

一見当たり前のように思える「決算書は日本円で表示される」という前提。

しかし、企業の海外取引が活発になっている現代においては、「業績の見え方」を左右する重要な要素なのです!

 

【たとえば】トヨタ自動車のように北米での売上高が900億ドルレベルの企業の場合

1ドルあたり100円(2013年ごろ)か、1ドルあたり120円か(2015年ごろ)によって、日本円で表示したときの売上高が2兆円近くも異なります。

これは、決算書を外貨建てのまま表示していたら生じえないことなのです。

 

「円安が業績に有利に働く」のは、外貨を日本円に表示し直すがゆえに起こるマジックとも言えるのです✨

 

現代の企業は外貨での取引がいっぱい!

グローバル化が進んだ企業であれば、輸出・輸入に限らず、海外子会社での売上や経費なども全て外貨で取引され、通貨もドルだけでは収まらなくなります🌎

決算書を作る際は、外貨建ての取引1つ1つについて、それぞれの通貨・それぞれの取引時点に合った為替レートで日本円に表示し直さなくてはなりません。また、外貨建ての資産や負債も、日本円に表示し直す必要があります。

それゆえ、外貨での取引が増えれば増えるほど、為替レートが動いた時の日本円で表示される利益の振れ幅が大きくなりやすいのです😮

 

 

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必ずしも「円安=利益増える」ではない

「円安がなぜ利益を増やすのか?」を掘り下げていく前に、もう1つ念頭においていただきたい前提があります^^

 

それは、「すべての企業が円安でトクをするわけではない」ということ。

 「円安 → 業績アップ!」

…というニュースが多いのでついつい見落としがちですが、円安によって全ての企業が恩恵を受けるわけでありません

 

一般的には、

● 輸出が多い企業             → 円安で利益が増えやすい

● 輸入が多く、国内向けの販売が多い企業  → 円安で利益が減りやすい

という傾向があります。

 

日本にも多くの輸出企業がありますが、その中でも代表的なものが自動車企業ですね。

今回取り上げるトヨタ自動車も、為替レートに絡んだ業績ニュースが多いです。

「輸入企業は円安時にどうなるのか?」についても、後ほどご紹介しますね😊

 

 

トヨタに見る!円安は決算書のどこに影響するのか?

ではいよいよ、円安がどのように利益を動かしているのか、具体的にトヨタ自動車の決算書を使って見ていきましょう!

 

トヨタ自動車 損益計算書(2017年4月~6月/一部要約)   単位:億円

 2017年4月~6月理由
 売上高70,476①・③
 売上原価及び販管費64,733
 営業利益5,742①・③
 その他の収益・費用1,050
       :
     為替差益227
       :
 税引前利益6,793①・②・③
       :
※トヨタ自動車株式会社 2017年6月期 四半期報告書より

 

円安が輸出企業の利益を増やす理由は主に3つあります。

さらに、その理由ごとに決算書の中で影響を与える場所が違うのです。

 

損益計算書の右側にふってある①~③は、それぞれの勘定科目に影響する理由を表しています。

  •  理由① 円表示にすると売上高・仕入高が増える! →売上高売上原価などを増やす
  •  理由② 円表示にすると資産・負債が増える!   →営業外の収益や費用を増やす
  •  理由③ 円安になると商品魅力度がUPする       →売上高を押し上げる

どの理由かによって、「為替レートの動きによる影響額」を把握できるかどうかも異なります。

 

この3つの理由がどんな意味を持つのか、詳しい解説はこちらの記事(↓)に続きます😊

 理由① → 

 理由② → 

 理由③ → 

 

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円安と輸入企業の関係とは?

ところで、輸入企業に対しては、円安はどのように作用するのでしょうか?

その影響を受けやすい企業の代表例として、大王製紙の例を見てみましょう。

 

大王製紙は、材料の木材チップなどの仕入れを輸入に頼っている一方、販売先は日本国内向けがほとんどです。

つまり円安になると‥

 ● 輸入により仕入れた材料費は膨れ上がりやすい

 ● 販売は外貨で行われないため円安の恩恵を受けられない

という現象が起こります。

 

これが顕著に表れたのが、大王製紙の2017年4月~6月の業績です。

前年の4月~6月と比べて、売上高は10%増えた一方で、営業利益は80%以上も減ってしまったのです

 

大きな原因の1つは原材料である古紙価格が上がったこと。そして、もう1つは前年の4月~6月よりも円安であったことです。

古紙価格が上昇したことに加え、円安の影響で木材チップの輸入額が膨らんだために、原価が大きく増えました。

一方、円貨で行われる国内向けの販売は、円安の影響を受けません。

結果、「売上高が増えたのに、そこから原価や経費を差し引いた営業利益は減少する」という現象が起こったのです。

 

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まとめ

1.円安が日本企業の業績に影響を与える前提とは、決算書が日本円で表示されることである。

2.円安は全ての日本企業に有利に働くわけではない。一般的に、輸出が多い企業は円安によって利益が増えやすい。

3.円安が輸出企業の利益を増やす理由は大きく分けて3つある。その理由ごとに、決算書の中で影響する場所が異なる

 

なぜ?円安が輸出企業に有利に影響する理由②トヨタに学ぶ売上高へのメリット

2017.11.01

トヨタの2017年上期の業績を読む~売上と最終損益が増えて、営業利益が減っているワケ

2017.11.09

 

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