繰延税金資産を理解するために、5ステップに分けて記事をお届けしています🎵
🌷 今回はステップ4です🌷
🔸 ステップ1:繰延税金資産を理解するための「基本の考え方」を身に付ける
【5stepで学ぶ繰延税金資産①】繰延税金資産を理解するための基本の考え方を押さえよう♪ポイントは収益と費用のタイミング!
🔸 ステップ2:繰延税金資産の意味を知る
【5stepで学ぶ繰延税金資産②】繰延税金資産とは?例を見ながらわかりやすく解説します!
🔸 ステップ3:繰延税金資産と法人税等調整額の関係を押さえる
【5stepで学ぶ繰延税金資産③】法人税等調整額と繰延税金資産の関係とは?法人税等調整額が増加・減少する理由やマイナス表示の意味はここにある!
🔸 ステップ4:繰延税金資産を決算書に載せられる条件を学ぼう
【5stepで学ぶ繰延税金資産④】繰延税金資産の回収可能性って何?スケジューリングの意味とは?繰延税金資産に上限がある理由を解説!
🔸 ステップ5:繰延税金資産取り崩しの裏にある意味を知る
さすがくま美さん!頼もしいですね😊
では、問題です。いくらまでなら繰延税金資産を決算書に載せることできるでしょうか?
ということで、今回は繰延税金資産にも上限があるんだよ(ただし、会社の状態による)というお話をしていきます😉
最後のパートは実務よりに踏み込んだ話になっていますので、「概要だけでいいよ~」という方は、2パート目の「繰延税金資産に上限のある黒字企業もある!」までご覧ください🎵
繰延税金資産が力を発揮できないのは、どんな時?
企業によっては、繰延税金資産のパワーが発揮されない!
繰延税金資産は、将来の税金を減らす効果を表した資産ですよね💎✨(このお話の詳しい解説は→★)
実は、
繰延税金資産をいくらまで載せられるか(計上できるか)は、企業によって違うんです!
なぜなら、
企業によっては、繰延税金資産の持っているパワーを発揮しきれないことがあるから
なんですね💦
繰延税金資産がその持てるパワーを発揮できない時って、どんな時なのでしょうか?
赤字予想だと、繰延税金資産はパワーを発揮できない!?
繰延税金資産の持てるパワーとは、「将来支払う税金を減らすこと✨」です。
つまり、このパワーが発揮される前提は、
将来税金を支払う予定があること…ということになりますね😊
税金は、その年に稼いだ金額(所得)をもとに計算されます。
税金 = 稼いだ金額(所得)× 税率
もし、稼いだ金額が0円ならば…
その通りなんです。
もし、稼いだ金額(所得)が0円(もしくは赤字)ならば、その年の税金は0円です。(※厳密には、所得に左右されない税金が多少かかります)
これが繰延税金資産のパワーが発揮される予定の年(※)であるならば、繰延税金資産はその持てるパワー(=税金を減らす)を発揮することができません😢
(※)繰延税金資産のパワーが発揮される予定の年とは?
繰延税金資産は、決算書では認識されていた費用が税金計算からは除かれることをきっかけに生まれます。
繰延税金資産のパワーが発揮される予定の年とは、この時除かれた費用が、時を経て税金計算に織り込まれる予定の年のことです。
税金計算に費用が織り込まれることで、税金計算の元となる所得が減り、結果として税金が減るのです✨
まとめると、
🔸 繰延税金資産のパワーが発揮される予定の年において、
🔸 赤字が見込まれるのであれば(=税金を支払う必要がない)
🔸 繰延税金資産はそのパワーを発揮できない(=支払う税金を減らせない)
↓ ↓
🔸 将来税金を減らすパワーを持っていても、決算書に繰延税金資産を載せることはできない😨
ということになります!
(※分かりやすくするため、今回は将来加算一時差異は考慮していません)
このように繰延税金資産が持てるパワーを発揮できないことを、「繰延税金資産を回収できない」と表現します😉
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繰延税金資産に上限のある黒字企業もある!
繰延税金資産が制限されるのは、赤字が見込まれる企業だけじゃないんです💦
黒字でも、繰延税金資産がパワーを発揮しきれない簡単な例をご紹介しますね😊
2年後に100万円の税金を減らす効果を持つ繰延税金資産があったとします💎✨
しかし!2年後に払われる税金は80万円と予想されています😨
つまり、100万円の税金を減らすパワーを持っているにもかかわらず、2年後に発揮できるのはそのうちの80万円分だけなのです。
当然、決算書に載せる繰延税金資産は、100万円ではなく80万円となります😲
実際、2年後に減らせる税金は80万円ですからね💰
100万円分の繰延税金資産を載せられなかった根本の原因は、100万円の税金が計算されるほどの所得が見込まれていなかったことです。
税金 = 稼いだ金額(所得)× 税率
たとえ黒字でも、一定以上の所得に達しなければ、払う税金は100万円以上にはなりませんからね💦
さらに踏み込んでみよう!スケジューリングの意味って?
繰延税金資産を考えるときに大切なスケジューリングとは?
近年の業績が大変よく、繰延税金資産の持てるパワーがすべて発揮されても、有り余るくらいの税金支払額(つまり、それを計算できるだけの豊富な所得✨)が予定されているのであれば、ここまで述べたような「繰延税金資産のパワーが発揮しきれないかも…😨」ということを心配しなくてもいいです。
しかし、このような優秀な業績を更新している企業ばかりではありませんよね(^^;)
この場合、企業の経理担当者は、繰延税金資産がパワーを発揮できるかどうか(=繰延税金資産の回収可能性)をしっかり検討しなくてはなりません。
具体的には、まず…
🔸 繰延税金資産のパワー(=税金を減らす)が発揮がされる予定の年(繰延税金資産もいくつも項目があるので、それぞれについて)
🔸 翌年、2年後、3年後…といった将来見込まれる所得
これら2点をしっかり確認します😊
もし、翌年に
🔸 繰延税金資産のパワー(=税金を減らす)が発揮されることで、税金計算の元となる所得を50万円分減らせる
🔸 稼ぎ出される所得は50万円以上
と見込まれるのであれば、翌年にパワーが発揮される繰延税金資産(50万円分×税率)については全て決算書に載せることができます🎵
(※今回は、分かりやすくするために将来加算一時差異を考慮していません)
これを2年後、3年後、4年後…と各年ごとにチェックしていくのです!
最終的に、税金を減らす効果を十分に発揮できると認められた繰延税金資産の金額をすべて足し合わせたものが、晴れて決算書に表示されます✨
このように、繰延税金資産のパワーが発揮される時期を予想することをスケジューリングと呼びます😊
繰延税金資産のパワーが発揮される年に制限があることも
繰延税金資産のパワーが発揮されるのが、5年後、10年後…とちょっと先になってしまうケースがあります⌚(例:退職金に関する費用)
超業績優秀な企業なら問題ないですが…
業績がグラグラしている不安定な企業であれば、未来に見込まれる所得の予想が本当に正しいのか、不安な面もありますよね😨
過去の業績から見ても、業績に不安定さが感じ取れる企業については、
繰延税金資産のパワーが発揮される予定の年に制限をつけて(5年後まで、翌年度まで…など)、そこまでに減らすことができる所得をもとに繰延税金資産を計算します📝
(何年分まで見積もれるかは、細かく条件(それまでの業績の状況など)が決まっています)
このパートは、だいぶ経理の実務側に踏み込んだお話となりましたが、スケジューリングのことや、見積もれる年に制限があるケースなどは、こちらの会計基準に定められています。
→「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(リンクは平成30年11月現在の最新のもの)
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まとめ
1.繰延税金資産がそのパワー(=支払う税金を減らす)を発揮する予定の年に赤字(=税金を支払う必要がない)が見込まれる時、繰延税金資産はそのパワーを発揮できない。このような場合、繰延税金資産を決算書に載せることができない。
2.黒字が予想される企業であっても、繰延税金資産がそのパワー(=支払う税金を減らす)発揮しきれるほどの税金がなければ(=それだけの所得を稼げなければ)、決算書に載せられる繰延税金資産の金額は制限される(=実際に税金を減らせると見込まれる分だけしか載せられない)。
3.それまでの業績に不安定さがあるならば、繰延税金資産のパワーが発揮される予定の年に制限をつけて、そこまでに減らせる所得をもとに繰延税金資産が計算される。
最終回となる次回は、繰延税金資産の取り崩しをテーマにお送りします✨