売上原価と販管費(販売費及び一般管理費)は、ともに営業利益を構成する費用です。
それぞれに含まれる費用は、どのように区分すればいいのでしょうか?
日本昔ばなし「桃太郎」をベースに、2つの違いを学んでいきましょう😊きびだんご代がどんな費用に振り分けられるかに注目です!
2つの意味をさくっとチェック!
まず、売上原価と販管費の意味について簡単にチェックしておきましょう!
売上原価とは…
販売された商品・サービスを生み出すために直接必要となる費用のことです。商品の仕入代や製造費のように、個々の商品・サービスに紐づけることができます。
一方、販管費とは…
商品・サービスの販売活動や会社全体の管理活動に必要な費用のことです。売上原価とは異なり、個々の商品・サービスに紐づけられない費用も含みます。販管費には、広告宣伝費や間接部門の人件費などがあります。
両者の共通点は、「商品・サービスを生み出しお客さんに販売する」という商売のサイクルの中で生ずる費用だということです。
では、桃太郎のお話に沿って、具体的にどんな違いがあるのかを見ていきましょう。
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桃太郎の実家が「きびだんご売り」だったら?
桃太郎の実家とは、川から桃を拾い桃太郎を育て上げたおじいさん、おばあさんのことです。桃太郎のきびだんごはおばあさんの手によって作られたものですね。
このきびだんご、実は食べると十人分の力をつけられるという代物です。秘伝の技を受け継いだおばあさんは、きびだんご界の第一線を行く人物であったと推測できます。
物語の中では、おじいさん、おばあさんは主に芝刈りと洗濯を営んでいるように描かれていますが、きびだんご販売を本業にしていたと仮定して費用の区分を考えてみましょう。
売上高と売上原価は…
このケースでは、売上高に該当するのはもちろん、商品(きびだんご)を販売して得られる対価です。
そうなると、商品を生み出すために直接必要な費用(売上原価)とは、きびだんごの原価、つまりきびだんごを作るのにかかった費用となります。ここには、きびや砂糖といった材料費なども入ってきますね。
販管費には何が含まれる?
次に、販管費について考えてみましょう。
販管費には、きびだんごの販売活動にかかる費用や事業全体の管理費用が含まれます。
きびだんごを日本中に販売して回ったのは、大量のきびだんごを託された桃太郎です。そうなると、きびだんごの売り手である桃太郎への人件費は販管費に含まれます。
鬼退治は、きびだんごの効能を全国に知らせるためのいわば広告宣伝の役割を果たしたわけです(きびだんごを食べてパワーアップしたことで鬼を退治できました)。つまり、鬼退治に要した刀や、犬・サル・キジの出演料などは広告宣伝費として販管費に含まれます。
番外編:特別利益も発生!
この鬼退治によって桃太郎は財宝を獲得することができました。もしかしたら、国からも報奨金の類があったかもしれません。
ここで獲得した収益は、本業であるきびだんご販売から得たものではありませんね。一時的かつ多額の利益であることから特別利益に計上します。
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桃太郎の実家が「鬼退治業」を営んでいたら?
仮定をコロッと変えて、桃太郎の実家が鬼退治業を営んでいたと考えます。
おじいさん、おばあさんは長年の経験と知識をもとに鬼退治の作戦を練り、全国の強者に鬼退治を依頼して、国から報酬を得るのです。
売上高と売上原価は何になる?
このケースの売上高は、本業である鬼退治を完遂した結果得られる報酬です。
そうなると、売上原価は鬼退治完遂のために直接必要かつ個々に紐づけられる費用ということになります。つまり、今回の鬼退治プロジェクトに参加した桃太郎、犬、サル、キジへの外部委託費ということになります。彼らは、今回の鬼退治のために特別に依頼されていますからね。
きびだんごは何の費用?
では、きびだんご製造にかかった費用は、売上原価と販管費のどちらに含まれるでしょうか?
きびだんごでパワーアップしないと鬼に勝てないのであれば、きびだんごは鬼退治プロジェクトをやり遂げるために直接必要な費用であると考えられます。この場合、きびだんごの製造費用は売上原価に含まれますね。
一方、きびだんごは鬼退治のマストアイテムというわけではなく、外部の取引先(ここでは桃太郎達)との取引を円滑にする目的で贈られたものだとしたらどうなるでしょうか?
この場合、きびだんごの製造費用は交際費となり、販管費に含まれます!
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まとめ
このように本業、つまり事業として収益を得る方法を何とするかによって、売上高、売上原価、販管費の内容が変わってきます。
売上原価や販管費に含まれる費用を考える時は、本業に着目してその目的から考えてみることがポイントです😊