マクドナルド、復活途上でも2017年最高益になりそうな3つの理由【数字で検証】

 

オリジナリティのある商品やイベントで注目を集め、人気も売上も復活したと言われているマクドナルド。2017年度には最高益を見込んでいるそうです

マクドナルドは2014年の鶏肉の賞味期限切れ問題が発覚した後、客足が遠のき2年連続で赤字に陥いってました。

なぜ、こんな短期間で復活どころか過去最高益を達成するまでに成長したのか?

実は、その理由は人気復活以外のところに隠されていました🗝今回は、2017年に最高益となりそうな3つの理由を数字の面から迫ってみます✨

 

マクドナルドの人気は復活したの?

2017年は「グラン」シリーズや期間限定のハンバーガーメニューがヒットしたことに加え、東西の愛称対決(マック、マクド)といったイベントも功を奏し、売上も利益も伸ばしています。

では、マクドナルドの人気は本当に復活したのか、売上、利益率の面から見てみましょう💫

 

売上高は復活したか?

2017年度の売上高見込みは2485億円。2017年9月までの実績を見る限り、このままいけば達成できそうです。

問題発覚前の2013年度の売上高は2604億円ですので、まだ一歩及ばないですね。ただ、マクドナルドは2013年度から店舗数を減らしているので、1店舗あたりの売上高を見てみましょう。

🔹2017年度見込み      →8500億円(※2017年9月末時点の店舗数により計算)

🔹2015年度(問題発覚直後) →6400億円

まず、問題発覚直後と比べるとたった2年で急成長しています。次に、問題発覚前の1店舗あたりの売上高と比べてみると‥

🔹2017年度見込み      →8500億円(※2017年9月末時点の店舗数により計算)

🔹2013年度(問題発覚直前) →8200億円

🔹2012年度         →9000億円

と、問題発覚直前の2013年を超えてはいますが、さらに遡った2012年度には及びません。実は、マクドナルドの業績は問題発覚前からすでに下降の一途をたどっていたのです😥

 

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利益率は復活したのか?

売上の規模は復活したとは言えなくても、収益性は戻ったのでしょうか?営業利益率を比べてみましょう。

🔹2017年度見込み      →6.6%

🔹2017年1月~9月実績   →8.1%

🔹2015年度(問題発覚直後) →-12.4%

店舗閉鎖を進めて収益の足を引っ張る原因を取り除いたことや、広告宣伝費、賞与などのコスト削減により、問題発覚直後からは劇的に上昇していますね。2017年度の9ヶ月間の実績8.1%が見込みの6.6%を大きく超えているため、2017年度1年間の実績は、もしかしたら見込みよりも良くなるかもしれません。

次に、問題発覚前の営業利益率と比べてみると‥

🔹2017年1月~9月実績   →8.1%

🔹2013年度(問題発覚直前) →4.4%

🔹2012年度         →8.4%

2017年度9ヶ月間の実績8.1%は問題発覚直前の2013年度4.4%を超えているものの、さらに前の年の2012年度8.4%には届きません。2012年度はすでに業績が悪くなってきていた時期ですので、遡っていけばさらに高い利益率を上げていたことになります。

 

マクドナルドの人気が復活したか否かを判定すると‥

数字の面から見てみると、問題発覚直前の2013年度の水準には戻っていますが、その前の年の水準にはまだ届いていません。これは、売上高も利益率も同じことが言えます。

問題発覚前のレベルには戻ったが、問題が起きる前からマクドナルドの業績が悪化していたことを考えれば完全復活とはまだ言えない」というところだと思います。ましてや過去最高益を達成するほど、営業に力は戻っていないでしょう。

 

 

マクドナルドが2017年最高益になりそうな3つの理由

では、なぜマクドナルドは2017年において最高益(上場以来最高の当期純利益)を見込んでいるのでしょうか?3つの理由をご紹介します😊

①→③に行くにしたがって、利益への貢献度が高くなっていきますよ✨

 

①収益性悪化による特別損失が減るから

賞味期限切れ問題が発覚する前から、マクドナルドの業績は下降線をたどっていました。そのため、問題が起こる前から、店舗の閉鎖による損失や店舗の収益性悪化による減損損失がちょこちょこ出ていたのです。

問題発覚後の経営改革によって、マクドナルドは戦略的に店舗の閉鎖や減損処理を推し進めていきました。その結果、従来と比較すると、2016年度は上記のような収益性の悪化を受けた特別損失が減っているのです。問題発覚前の特別損失は毎年10億円以上ありましたが、2016年度は7億円にまで減少していますね。おそらく2017年度もこの傾向が続くと思われます。

 

②一時的な大きい利益(和解金)があるから

2017年度第3四半期の損益計算書を見てみると、特別利益として「業務協定合意金」というものが25億円あります。

赤字の引き金を引いた2014年の鶏肉賞味期限切れの問題に関して、鶏肉の調達先の親会社から合意金を受け取ったことによる利益です。ここまでの規模の特別利益は、マクドナルドにとってもまれに見る金額です。

特別利益に含められていることからも分かる通り、この利益は2017年特有のものですね。

 

③税金の支払いが少なくなるから

おそらくこの3つ目の理由が、最終利益200億円達成に向けてもっとも貢献度が高いのではないかと思います。

税金も費用の1つです。実はこの税金が結構なくせ者でして…どんなに稼いでも、かなりの割合を税金に持っていかれるんですよね😓(個人も同じですね)

2017年度の売上高見込みは2500億円弱ですが、それに近い2600億円の売上高をあげていた2013年度のケースを見てみると‥

・税金を差し引く前の当期純利益   → 86億円

・税金を差し引いた後の当期純利益  → 51億円

と、利益の4割以上が税金に消えています。

200億円の当期純利益を達成するのであれば、単純に計算しても税金を差し引く前の利益は330億円以上は必要そうです。これは、売上高が3000億円以上あった2011年度よりも遥かに大きい数字😳

いくら和解金が入っても、減損損失が減っても、まだ売上高も利益率も回復途上のマクドナルドには高いハードルです。

そうなると、当期純利益200億円を達成するために取れる方法は「税金を減らす」以外にありません!

実はこれ、2年連続で大きな赤字を出したマクドナルドだからこそ可能な方法なのです🌟

税金はその年に稼いだ利益をもとに計算しますが、その中で「当期の利益から、過去に出した赤字を差し引いて税金を計算できる」というルールがあります。このルールにはいろいろな要件がありますが、この仕組みを使うことで、マクドナルドは税金の計算の元となる利益を引き下げ、税金を大きく減らすことが可能になります。

少し専門的な言葉で言うと、税金を計算する上で過去の赤字は「繰越欠損金」と呼ばれます。マクドナルドの有価証券報告書(注記)を読んでいくと、赤字を出した2年間は突如としてこの「繰越欠損金」が増えていることが分かります。

(※本来、決算書上は繰越欠損金を使ったことによる影響が表れないように「税効果会計」が適用されますが、マクドナルドの場合過去の業績の悪化から繰延欠損金に関する税効果はない、もしくはあっても限定的だと思われます。)

一度利益から差し引いた赤字(繰越欠損金)は、もう翌年は使えません。このルールも赤字を出した後いつまでも使えるものではないので、今だけの特典と言えます✨

 

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まとめ

このようにして見ていくと、2017年度に最高益を達成するためには今の時期特有の要因がかなり効いていることが分かります。税金の支払いが少なくなるのは、大きな赤字を出したマクドナルドへの【期間限定】応援割引のようなものです。純粋な営業活動だけでは、最高益を達成するほど”復活”したとは言い切れませんね。

マクドナルドのサラ社長も、今のマクドナルドについて「まだ完全回復ではない」「伸びしろがある」とおっしゃっています。

とはいえ、マクドナルドが問題発覚後の逆風をくぐり抜け、成長段階に足を踏み入れたのは確か。営業力によって完全回復に至るのも、遠くはないのかもしれません😊

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2017.11.15