アイス市場を変える冬アイスの力~進むアイスのプレミアム化

ひんやりした風が舞い、冬がすぐそこまで来ていることを感じられるようになりました。

アイスクリームの季節はすっかり過ぎ去った…かと思いきや、各アイスクリームメーカーはまだまだ気を抜いておらず、むしろここからが力の見せ所と思っているようです。

変化するアイスクリーム市場

アイスクリームの市場規模は年々広がりを見せています。

日本アイスクリーム協会の公表によると、2016年度のアイクリーム販売額は約5000億円。10年前から1.3倍以上も増えています!

その立役者となっているのが冬アイスなんです。

実は、アイスクリームシーズンともいえる夏季の販売額は過去から横ばいなんですね。一方で、それ以外のシーズン、特に冬季の販売額の伸びが著しいです。

近年、テレビなどでも冬アイスの特集を見かけるようになりました。その番組を見た次の日には必ず、買い物かごにアイスを入れてしまうんですよね。

アイスクリームメーカーもお金かけてます

アイスクリームの大手メーカーも、軒並みアイスクリーム事業の売上高を伸ばしています。

たとえば森永乳業の場合、2016年度の会社全体の売上高は前年から落ち込んでしまっていますが、アイスクリームだけで見ると売上を増やすことに成功していますね。「パルム」の売上が大きく伸びたようです。

ふくらむアイスクリーム消費をしっかり取り込むために、各アイスクリームメーカーもお金をかけています。

「明治エッセルスーパーカップ」を看板商品に掲げる明治ホールディングスは、30億円を投じてアイスクリーム生産ラインを増やします。2016年の冬に発売した「明治エッセルスーパーカップSweet’s 苺ショートケーキ」が人気のあまり品切れになってしまったことを受けた投資のようです。

「アイスの実」「ジャイアントコーン」など数々のヒット商品を抱えるグリコは、180億円かけてアイス工場を拡張させました。2017年から稼働したこの工場は、生産量を2割上乗せすることを可能にしました。

アイスクリームの供給量も増え、今後もアイスクリーム市場はどんどんふくらんでいきそうです。

私たちのアイスクリームへの意識の変化

街の中で手軽におしゃれなアイスクリームを楽しめるお店といえば、サーティワンアイスクリームですね。

じつは、サーティワンに絞ってみると、これまでのアイスクリーム市場動向とは異なった動きが見られるのです。

サーティワンの売上高を見てみると、2016年度からは少し復調したものの、ここ5年ほどは下降気味でした。主な理由に近年の天候不順をあげていますが、それは他のアイスクリームメーカーも状況は同じ。サーティワンと他のアイスクリームメーカーの差を生み出したのは、消費者のアイスクリームに対する意識の変化なのかもしれません。

アイスクリームの商品ケースをのぞいてみると、近年ちょっとプレミアム感のある商品が増えてきていますよね。材料にビターなチョコが使われているなど、大人向けの商品も充実してきました。

たとえば、グリコの代表アイス「パピコ」。そのラインナップを見てみると、「大人の生チョコ」「大人のメロン」など、分かりやすく大人をターゲットにした商品が加わっています。ちょっとリッチな素材が使われているところが、いつもの生活の中でも贅沢な気持ちにさせてくれます。

暑さの中ただヒンヤリとした食感を得たいがために食べるだけではなく、たとえば仕事から帰ってきた後のちょっとしたご褒美としてアイスを買うことが増えてきているのだと思います。冬アイス人気はその消費心理の変化を映しているのかもしれません。

家でゆっくり食べたり、冬でも日常的なスイーツとしてアイスが楽しまれるようになった今、外出先が主な楽しみ場所となっているサーティワンにとっては近年のアイス人気をうまく取り込むことが難しかったのかもしれませんね。(※そんなサーティワンも、2016年からは、SNSを意識して広告を強化したり、商品のリニューアルをしたりなどして売上が徐々に戻ってきています。)

高級ラインのアイスは単価が高く、効率的に利益を取り込めるので、アイスメーカーにとっても嬉しい商品なのです。森永乳業やグリコも、このような高付加価値商品の展開に力を入れています。今後、また新しい表情を見せてくれるアイスクリームに次々とお目にかかれるかもしれません。

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