前回は、シダックスの業績が悪化し、カラオケ店の大量閉鎖に踏み切った理由について見てみました。
果たして、大量閉店は効果を発揮したのでしょうか?
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大量閉店の効果はあった?
カラオケ事業の利益率は上がっている?
大量閉店後の2017年4月~12月の利益率を、大量閉店前の2015年4月~12月と比べてみましょう!
不採算店舗を取り除いたことで、収益性の改善が期待できますが…
レストランカラオケ事業の営業利益率
2015年4月~12月 … -6.7%
↓
2017年4月~12月 … -8.3%
(※)第3四半期報告書 セグメント情報より算定。
な、なんと…悪化しています。
そもそも1店舗辺りの売上高を見てみると、
カラオケ店1店舗辺りの売上高(平均)
2015年度上半期 … 55百万円
↓
2017年度上半期 … 49百万円
※決算説明会資料のデータより算定。計算に用いる店舗数は、月末店舗数の平均を使用。
と、またまた減少しています。
もちろん残った店舗の規模の関係から、減少してしまった部分はあると思います。
が、お客さん1人当たりへの販売額も少なくなっていることから、いまだに1店舗辺りの収益が縮み続けていると考えられます。
加えて、昨今の人件費や物流費の高騰がさらに利益を押し込めているのでしょう。
アルバイトが店舗運営を担うシダックスでは、時給の上昇が直接利益に響いてきます。
こうした要因が、利益率の悪化に歯止めをかけられないでいるのです。
採算改善の努力は続く…
シダックスは2017年度に入り、深夜営業の短縮を検討し始めました。人件費が高騰する今、時給の上がる深夜の時間帯はコストがかさみやすいのです。
夜間の収入が減る代わりに、昼間のランチ利用に力を入れ、カラオケボックスの利用率を高めようとしています。
また、本社の間接部門の人材を、注力する事業の営業に回すことで、本社の人件費を減らそうとしています。
これにより、新たに営業部隊を採用するコストも抑えることができます。
カラオケ店の大量閉鎖を実施した後も、このように採算改善への努力は続いているのです。
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それでも2018年3月期に黒字転換を予想する理由とは?
レストランカラオケ事業が不振の尾を引く中、シダックスは2018年3月期に黒字転換との予想を立てています。
その理由は、シダックスが力を入れているトータルアウトソーシング事業が成長していることです。
黒字転換を後押しする要素とは?
トータルアウトソーシング事業は、地方自治体や民間企業から受託する様々な事業を含みます。小中学校の給食、貸切バスの運行、学童保育などの受託を行っていますね。
祖業に通ずる受託業務に力を注いだことで、トータルアウトソーシング事業はすでにレストランカラオケ事業をゆうに超える売上規模にまで成長しています。
地方自治体から民間へ委託する流れに乗り、2017年4月~12月の同事業の利益は8割増(前年比)となるなど、現在のシダックスの成長を牽引しているのです。
これに加えて、2017年、渋谷に持つ土地・建物を売却した利益(27億円)が業績を後押ししていますね。
残り3か月で巻き返せるか?
このようなプラス要因もある中、2018年3月期の4分の3を終えた時点(2017年4月~12月)では、最終損益は9千万円ほどの赤字でした。
やはりレストランカラオケ事業等が低迷から脱しきれないことが足を引っ張り、当初予想を下回っているようです。それでも、2018年3月期の黒字予想は変えていません!
果たして残り3か月でどこまで巻き返せるのか、シダックスの取る施策に期待したいです😊