マクドナルド、その復活は本物?財務の安全性を検証してみる

 

2014年の賞味期限切れ問題発覚によって業績の急降下を体験したマクドナルドは、その後飛躍的な人気回復を見せています✨

マクドナルドの復活が本物か、収益性の面からはこちらの記事で検証してみました(↓)

マクドナルド、復活途上でも2017年最高益になりそうな3つの理由【数字で検証】

2017.11.15

 

今回はマクドナルド復活検証シリーズ第2弾【財務の安全性編】です!

財務の安全性、つまり「突如とした業績の悪化(鶏肉の賞味期限切れ問題発覚時のマクドナルドのように)を耐え抜く資金力があるか?」について、財務分析をしながら見ていきます。

同じように収益が悪化したとしても、財務の安全性があるかどうかで倒産の可能性が大きく変わるんですね。

 

 

「近い将来の支払い能力」は復活したか?

1年以内に迫られる支払いに対応する資金力があるか」について見ていきます。

ここで登場するのは流動比率です。流動比率が高いほど、短期で見た支払い能力が高いと考えられます。

流動比率の詳しい解説はこちら(↓)

スルッと理解!「流動比率とは?」計算式・目安・意味をわかりやすく解説【JALの事例付き】

2017.11.04

 

 流動比率の変化を見てみよう

流動比率の変化( 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 )

🔹2013年12月末(問題発覚前)   →277%

🔹2015年12月末(問題発覚後)   →83%

🔹2017年9月末          →138%

2017年9月末の時点では、問題発覚前の数値にはまだまだ及ばないものの、最低ラインである100%を超えるところまで回復していますね。

 

 流動比率が元に戻っていない理由とは?

問題発覚後に流動比率が下がった原因は、客足が遠のき売上が落ち込んだことで現預金や有価証券が減り流動資産が小さくなったこと、その資金不足を補うために借入金が増え流動負債が大きくなったことです。

その後、借入金の返済は進んでいきましたが、現預金の金額は問題発覚後の2015年12月末からほとんど回復していません。そのため、流動比率が元の水準に戻っていないのです。

この理由は後ほど見ていきますね💫

 

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「長い目で見た支払い能力」は復活したか?

ここでは、「大きな支出を伴う投資を行った後も事業を続けていく資金力があるか?」を測る固定比率を見ていきます。固定比率が低いほど、この力があると考えられます。

固定比率の詳しい解説はこちら(↓)

固定比率と固定長期適合率をわかりやすく解説!目安・計算式・100%以下の意味とは?

2017.11.07

 

 固定比率の変化を見てみよう

固定比率の変化( 固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 )

🔹2013年12月末(問題発覚前)   →78%

🔹2015年12月末(問題発覚後)   →133%

🔹2017年9月末          →114%

問題発覚後の2015年よりは改善していますが、固定比率の目安である100%を切るところまではまだ回復していませんね。

 

 問題発覚後に固定比率が悪化した理由とは?

問題発覚を機に、マクドナルドは改革を進めていきました。その1つが店舗のモダン化のための改装です✨

改装…つまりは投資です。これによって、固定比率の分子である固定資産が増えます。

一方、分母の自己資本は株主からの出資金と企業の今まで利益の蓄積等の合計です。そのため、自己資本は利益が出ている状態では増えていきますが、赤字(マイナスの利益)が出ると減ります。

問題発覚後の売上低迷や改革にかかったコストによって、マクドナルドは2014年、2015年と2年連続で大きな赤字を出しました。そのため、自己資本はこの2年間で4割近くも減ってしまったのです。

このように、問題発覚後は固定資産が増えた一方で、自己資本は減りました。つまり、固定比率を計算する上での分子が増えて分母は減った状態になったのです。そのため、固定比率が悪化したのですね。

 

 固定比率が元に戻っていない理由とは?

そして2017年9月末はというと、固定資産の水準は保ったまま、2016年度から利益を出していることで自己資本が増えています。しかし、固定比率は問題発覚前の2013年度の数値にはまだまだ戻っておらず、目安である100%も切っていません。

自己資本は毎年利益を出していくことで増えますが、まだ過去2年間の赤字を埋めるまでには回復していないのです。

2017年度は過去最高益となる200億円を達成する見込みと発表されています。しかし、その利益をもってしても問題発覚前の2013年度の自己資本レベルには戻らないでしょう。それほどまでに、過去の赤字が自己資本に与えたダメージは大きいのです😰

 

自己資本は、借金とは異なり返済の必要のない資金です。自己資本が潤沢であるほど、借金の返済や利息の支払いに追われず、安定して経営を行うことができるとも言えます。たとえ収益力を回復させたとしても、一度出した大きな赤字は後々の財務の安全性に響いてきてしまうのですね。

 

一方で、もう1つの「長い目で見た支払い能力」を測る指標、固定長期適合率(=固定資産÷(自己資本+固定負債))を見てみると、2017年9月末時点では目安である100%を切るところまで回復してきています。長期の支払い能力については、本当に危ない状態からは脱していることが分かります😊

 

 

過去のダメージはいまだ回復せず

このように見ていくと、売上高や利益水準は問題発覚直前のレベルに戻っていても、財務の安全性はまだまだ回復していないことが分かります。

 

原因の1つは、自己資本が受けた過去の赤字のダメージを埋めるまで、利益を積み重ねられていないこと。これは今後、時間をかけて毎年利益を出していくことで戻っていくでしょう。

もう1つは、投資にお金をかけていたために手元のキャッシュがあまり増えていないことです。

問題発覚後、売上が低迷したことで営業活動から入ってくるキャッシュは少なくなりました。一方で、改革の一環として店舗の改装などにお金をかけていることから、手元に現預金が貯まりにくい状況が続いているのです。

たとえば、問題発覚後に残高が増えた長期借入金(固定負債に含まれます)は、収益が回復した2017年9月末時点においてもあまり減っていません。

投資にお金が持っていかれていることで、借金を返済したり、手元にお金を残しておけるほどの余裕がまだないのだと思われます。

 

しかし、これも店舗改装が落ち着き(2018年度末までに9割以上の店舗のモダン化を計画しているそうです)、その改装の効果が売上高に表れてくれば、現預金の水準も長期借入金の水準も改善してくると思います😊売上高や利益は急速に回復しましたが、財務の安全性はこれから時間をかけて少しずつ回復させていくことになりそうです

マクドナルド、復活途上でも2017年最高益になりそうな3つの理由【数字で検証】

2017.11.15