国内ユニクロの”今”~はたして客足と売上は戻ったのでしょうか?

ファーストリテイリングの”過去最高益”(2017年8月期)の業績が発表されました^^

ファーストリテイリングは、あのユニクロ、GUなどを展開する企業です。

今回の業績発表では、海外でのユニクロの躍進ぶりに注目が集まっていましたね。特にアジアでの成長がめざましかったようです。

…ところで国内のユニクロの調子はどうでしょうか??なんだか海外での華々しい話題に隠れてしまっている印象。

今回は、そんな国内ユニクロの”今”について見てみます。

値上げしたユニクロに客足は戻った?

国内のユニクロといえば、2014年から2015年にわたる値上げ戦略の結果、客足が遠ざかってしまったことが話題になりました。

これについては、ファーストリテイリングの会長兼社長の柳井氏も”戦略ミス”だったことを認めていらっしゃいます。

そこで2015年度の途中から再び低価格戦略に戻したのです。

その名も、「毎日お買い求めしやすい価格」戦略!

以前は平日の値段をちょっと高めに設定する代わり、週末にセールを行うのが当たり前でした。今は、平日も週末も安定して低価格の商品が買えますよ~という方針に切り替えたのです。”安い”ユニクロとしての信頼回復に努めたのですね。

客数の動向を見てみると‥

2014年度から2015年度は多くの月で客数が前年割れをしていたのですが、今回業績が発表された2016年度は12ヵ月中9ヵ月において前年から客数が回復しています。新戦略がお客さんの呼び戻しに効果を発揮しているようです。

また、「毎日お買い求めしやすい価格」にすることで売れ残りが減り、在庫処分セールが抑制されました。大きな値引きを避けられるようになったため、粗利率も回復したのです。

今でも国内のユニクロに勢いはある?

では、新戦略が功を奏したことで、国内のユニクロは勢いを取り戻したのでしょうか?

2017年8月期の業績を見てみると、国内ユニクロの売上高は前年と比べて1.4%の増加、営業利益は6.4%の減少でした。

売上高は少し増加したものの、計画を下回り、値上げ前のような勢いのある伸びはまだ見られません。

営業利益が減少したのは、時給上昇などにより人件費が増えたこと、新しい物流のしくみを立ち上げるための費用が発生したことなど、経費が増えたことが原因です。

そして、2018年8月期の国内ユニクロは”若干の”増収増益との予想が発表されています。

実は、国内のユニクロの店舗数は、2013年8月期をピークに少しずつ減っているのです。国民的ブランドとして日本の隅々にまで浸透し、ユニクロ商品を持たない人の方が探すのが難しくなった今、現在のスタイルで国内に広大なのびしろを見通すことはできなくなっているのかもしれません。

そこで、国内ユニクロが新たに開拓しようとしているのがネット販売なのです。

ユニクロのネット販売は浸透しているようで、まだ国内ユニクロの売上高の6%を占めるのみです。今回営業利益を減らした原因である、新しい物流のしくみを立ち上げる費用は、このネット販売を拡大していくためにも必要な費用だったのです。

人件費が上昇し続ける今、ネット販売の動きがユニクロの成長を大きく左右しそうですね。

ユニクロの視線の先は海外に

国内が足踏みしている中、今回の業績発表では海外の躍進が際立ちました!

海外ユニクロの売上高は、前年から8%増加しています。そして注目すべきは、営業利益が前年から95%も伸びていることです。

中国や東南アジアでの成長が顕著であったことに加え、経費を減らしたり、値下げを抑制する努力が実を結んだんですね^^

海外での健闘がファーストリテイリング全体での最高益につながりました。

そんな海外ユニクロ、3年前(2014年8月期)は国内ユニクロの売上高の半分を超える程度でしたが、今回の業績発表では国内ユニクロの9割近くを占めるようになったことが分かりました。この勢いを保っていけば、売上高で海外ユニクロが国内ユニクロを逆転する日はすぐそこなのかもしれません。

ファーストリテイリングのHPでも、柳井氏は「成長の軸足は海外ユニクロ事業 」とはっきりおっしゃっています。とくに今後数年間は、中国、東南アジアで出店を加速し、そこでの売上がユニクロの成長を引っ張っていく見込みだそうです。

国民的ブランドからグローバルブランドへ。ユニクロの道行く先には、更なる巨大アパレルブランド「H&M」や「ZARA」が立ちはだかっています。しかし、すでにユニクロの視線の先は、それらのブランドを超えた先にあるのです。

 

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