支えてきたクイーンズ伊勢丹を三越伊勢丹が売却するワケとは?

 

2018年3月末に、三越伊勢丹に売却されてしまうことが発表されたクイーンズ伊勢丹。

成城石井と並んで、首都圏にお店を構える高級スーパーです😊💍

HPを見てみても…

”ハイクオリティーな生鮮食品・惣菜・ベーカリー”

”高品質な食品専門のスーパーマーケット”

”ヨーロッパを中心とした有名チーズ”

といった高級感溢れる文言が並んでいます。ここ1~2年の低価格志向の中、「安さ」を前面にアピールする他のスーパーとは一線を画す雰囲気。もちろん、こうした商品を買い求める層ががあるのも事実です😀

売上高としては、三越伊勢丹ホールディングスの数%を占めるほどなので、三越伊勢丹の業績ニュースにもその名が出てくることもありませんでした。

では、クイーンズ伊勢丹はなぜ売られてしまうのか?この理由に迫ってみます。

 

苦しかったクイーンズ伊勢丹の道のり

実は、クイーンズ伊勢丹はここ5年間はずっと赤字でした😥

過去には積極的な出店を繰り出したのち、ライバルとの競争に巻き込まれ、収益が悪化してしまったのです。リモデル等の投資をするものの、その努力もむなしく赤字は拡大し続け、「自力での再建は難しい」と判断するに至りました。

特にここ1~2年は、商品の低価格性が多くの顧客を引き付ける傾向にあります。たとえば、激安を売りにするドン・キホーテはスーパーの領域を開拓し、見事成功をおさめています。

外食業界でも、お手頃価格でイタリアンを食べられるサイゼリヤが過去最高益を記録しそうな勢いで売上高を伸ばしているのです。

価格に厳しい視線が向けられている環境の中、高級路線をひた走るスーパーが利益を確保するのは簡単なことではなかったと思います。

三越伊勢丹にとってのクイーンズ伊勢丹の存在感とは?

前社長の頃は、本業の百貨店業以外にも多様な事業を手掛けるという方針のもと、事業拡大を目指していました。クイーンズ伊勢丹も、三越伊勢丹ホールディングスの多角化の一角を担っていたのです。

では、業績上はクイーンズ伊勢丹はどの位の存在感を放っていたのでしょうか?

クイーンズ伊勢丹を主とする小売・専門店業セグメントの売上高(2017年3月期)を見てみると‥

三越伊勢丹ホールディングス全体の売上高     1兆2534億円

クイーンズ伊勢丹を含む小売・専門店業の売上高      428億円

…クイーンズ伊勢丹は全体の3%程度と、それほど大きな割合を占めていないことが分かります。

そして、営業利益を見てみると、

三越伊勢丹ホールディングス全体の営業利益         239億円

クイーンズ伊勢丹を含む小売・専門店業の営業損失     △11億円(赤字)

ダメージがない、とは言えませんが一見するとまだまだ吸収できるレベル。

それでは、クイーンズ伊勢丹の売却を決めさせた原因は一体何なのでしょうか?

 

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売却の決断を生んだ三越伊勢丹の苦しさとは?

まず、クイーンズ伊勢丹を運営する三越伊勢丹フードサービスの決算書(あくまで参考値)を見てみると、100億円近くの借入金を抱えていることが分かります。「関係会社短期借入金」という名称で掲載されていることから、親会社など三越伊勢丹グループ内から借りたお金であると考えられます。

なかなか業績が改善しないクイーンズ伊勢丹を維持するために、三越伊勢丹側も多額の資金を負担していることが分かります。

しかし、三越伊勢丹の本業である百貨店業自体も、決して順風満帆とは言えない状況です😰

ファストファッションが台頭していく中、アパレルが稼ぎ頭の百貨店業の利益は落ち込む一方なのです。2017年度はさらに大きく利益が減ることも予想されています。そんな中、赤字が改善する見込みのないクイーンズ伊勢丹を支えていくのは、とても苦しいことだと思います。

そして、2017年に社長が交代して以降、三越伊勢丹ホールディングスで特に強調されているキーワードが”再構築”と”選択と集中”です。

もう一度、本業である百貨店業に注力するとともに、成長事業に絞り込みをかける。

苦しい中で稼ぎ出された貴重な資金は、本業と成長事業に重点的に振り分けられることになったのです。

このような改革の流れの中で、クイーンズ伊勢丹は別の道を言い渡されたのでした。

売却とは言っても、三越伊勢丹ホールディングスが株式を完全に手放すわけではないため、もしかしたら何らかの関与はあるのかもしれません。もし、復活を遂げたら、また三越伊勢丹側に戻る可能性も否定できませんね😊

 

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