前回(↓)は、セグメント情報の意味や見方について学んでいきました😊
今回は、このセグメント情報を使って高島屋の経営戦略を見ていきましょう✨
高島屋の事業別の業績を見てみよう
こちらは高島屋(2018年2月期)のセグメント情報です(※ 一部省略)
報告セグメント | その他 | 合計 | 調整額 | 連結財務諸表 計上額 |
||||
百貨店業 | 不動産業 | 金融業 | 建装業 | |||||
営業収益 | 8,356 | 632 | 184 | 296 | 580 | 10,050 | △ 554 | 9,495 |
セグメント利益 | 135 | 113 | 45 | 12 | 33 | 340 | 13 | 353 |
● 株式会社高島屋の有価証券報告書(2018年2月期)より
デパートのイメージが強い高島屋ですが、意外にも多くの事業を手掛けています(「その他」の中にも、通信販売や衣料品加工といった事業が含まれています)。
とは言え、売上高にあたる営業収益を見てみると、やはり百貨店業が全体の8割強を占めていますね✨
…ところが!
営業利益の基礎となるセグメント利益を見てみると、百貨店業の利益は全体の半分にも満たないのです😲
利益面では各事業が存在感を強めていますが、中でも不動産業は全体の3分の1を占め、高島屋の利益を下支えしていることが分かります。
利益率が1%ほどの百貨店業と比べ、事業形態の全く異なる不動産業や金融業は利益率が高い(20%前後)のが特徴です💰
そのため、営業収益(売上高)とセグメント利益では、違った表情が見えてくるのですね😊
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高島屋に起こった変化とは?
高島屋の事業の立ち位置に変化が!?
実は、時が経つにつれて、高島屋の手掛ける事業の関係は変化していくんですね⚡
たとえば、3年前(2015年2月期)と比べると、百貨店業が全体に占める割合は営業収益、セグメント利益ともに下がっているのです!
その一方で、躍進を続けているのが不動産業です🌟
3年前には全体の4%程度であった営業収益が、2018年2月期には6%に、
同じく3年前には全体の3割に満たなかったセグメント利益が、2018年2月期には33%を超えるまでに成長しています。
百貨店業の存在感が薄くなった理由
この背景の1つに、百貨店業の利益率が伸び悩んでいることがあります。
以前のような旺盛な高額品消費が見られなくなり、百貨店業が苦戦を強いられていることは各デパート共通の悩みです💦
しかし、最も大きな要因は…
高島屋が意識的に不動産業に力を入れていることです。
従来と同じ土地に店舗を構え、商品を売る…
高島屋の採った方法は、パッと見た限りは変化がないように見えます。
しかし、その裏では着実に事業形態の転換がはかられていたのです😊
不動産業を拡大させるための戦略とは?
従来のデパートは、売り場ごとの売上高に応じて収入を得ていました。
ところが、昨今のファストファッションやネット通販の台頭とともに、デパートの主力であるアパレルの売上高はみるみるうちに縮んでいったのです😢
つまり、売上高に連動して収入を得る方式を採用したままでは、デパートが得られる収益がどんどん減ってしまうのです。
そこで、高島屋は収益を得る仕組みを変えていきます。
一等地に店舗を構えている高島屋は、ここにテナントを誘致し賃料を得る方式を取り入れていったのです。
これが、不動産業の収益源となっています✨
この方式なら、たとえ売り場の売上高が落ち込んでも、高島屋側の収入が引きずられて減ることはありません💰
新宿や立川の保有ビルにニトリを誘致したのも、この不動産事業を拡大させるためですね😉
2018年9月にオープンした日本橋店新館も、テナントを誘致し賃料収入を得る形にしたため、今後は一層の不動産事業の躍進が見込まれます。
この傾向は、同業のJ・フロントリテイリング(松坂屋など)にも見られますね🌟
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まとめ
1.高島屋のセグメント情報(2018年2月期)を見ると、売上高にあたる営業収益では百貨店業が全体の8割強を占めている一方で、営業利益(セグメント利益)面では不動産業の存在感が強いことが分かる。
2.また、過去と比べると、不動産業の営業収益や利益の割合が高まってきていることが分かる。
3.主力であるアパレルの売上高が不安定になってきたことも踏まえ、高島屋が意識的に不動産業の拡大を図っていることが大きな要因である。