日産の「利益率の変化」が表していることとは?
日産の業績は何が悪化している?
日産の業績は、2010年代後半に大きく変わっていきます。
まず、売上高がどのように変化しているのかを見てみましょう。
2015年度: 12兆1895億円
↓ ↓
2018年度: 11兆5742億円
…と、3年で5%ほど減っています。
一方、営業利益(商売活動から生まれる利益)は…
2015年度: 7933億円
↓ ↓
2018年度: 3182億円
このように、3年間で6割も金額が減っているのです💦
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日産の「利益率の変化」が表していることとは?
営業利益は、
売上高から商売にかかるコスト(日産の場合は、自動車の製造・販売にかかる費用)を差し引いて計算されます✍
2015年度から2018年度にかけての日産は、
売上高の変化は5%ほどですが、
その売上高から商売にかかるコストを差し引いた営業利益はずいぶんと小さくなってしまったようです。
この「売上高から利益をしぼり出す効率性」を表すのが、利益率です✨
今回は、本業の利益率を表す営業利益率(売上高営業利益率)に着目してみましょう。
2015年度: 6.5%
↓ ↓
2018年度: 2.7%
もし毎年100万円の売上高をあげていたとしたら、
2015年度であれば、そこから6万円以上の営業利益を得られたのに、
2018年度では、2.7万円程度の営業利益しか得られなかったことになります。
本業の利益である営業利益が減ってしまえば、
ゆくゆくは手元に入ってくるお金も少なくなりかねません💰💦
*:日産自動車HP「財務・業績ハイライト」より
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日産の利益率が下がった理由とは?
ということで、
日産の営業利益率を悪化させた原因をいくつかピックアップして見てみましょう😊
設備投資で苦戦
かつて日産は、新興国で小型車の販売を拡大させるため、生産能力を増やしました。
(つまり、大きな設備投資をしたのです)
設備投資した金額は、工場が稼働を始めると、費用として毎年の決算書に表れるようになります!
(これが減価償却費ですね)
しかし!売上高が思うようにあがらなかったために、減価償却費が利益を圧迫する結果となってしまったのです💦
値引き販売へ傾く
実は、当時…この新興国向けの設備投資にお金を使っていたために、
新型車の開発に振り向けられるお金は絞られていたのです。
魅力的な新型車が無くなってくると…
値引き販売をすると、1台の車から得られる利益が減ってしまいます。
…やがて主力の北米市場の伸びが頭打ちとなり、値引きを強化しても販売数が伸びなくなってしまいました。
円高、その他…
日産のようなグローバル企業となると、為替の変動もダイレクトに受けます。
2015年度と比べると2018年度は円高に傾いているため、業績の見え方に不利に働いた面があります(日産の実力に関係なく)。
そのほか、海外の環境規制に対応するコストがかかったり、車の原材料コストが上昇するといった要素もありました。
これらは販売数増加に直接結び付く要素ではないために、利益を圧迫する原因となったのです。
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まとめ
1.2015年度から2018年度にかけての日産自動車は、「売上高から本業の利益をしぼり出す効率性」を表す営業利益率(売上高営業利益率)が低下したことで、営業利益の減少に拍車がかかった。
2.その原因として、新興国向けの設備投資が売上にうまく結び付かなかったこと、値引き販売に傾倒したこと、為替レートが円高に傾いたこと等がある。