数ある費用の中の1つ、減価償却費✨
この、イマイチ実態のつかみにくい減価償却費の正体を解き明かしていきましょう!
減価償却費の性質を表すと…
減価償却費とは
🔸 固定資産を買った時に支払ったお金が時間差で費用になったもの
🔸 固定資産の価値の減った分が費用に表れたもの
と、言うことができます😊
この2つの性質と関係性について、これから詳しく解説していきますね!
性質① 固定資産の購入代金が時間差で費用になったもの
建物や車を買う時に、代金を支払いますよね。
実は、このお金、支払ったときに費用になるわけではないのです😲
費用はモノを使ったときに発生する
会計のルールでは、「費用が発生するのはモノやサービスを購入したときではなく、使ったときである」と考えます💡
そして、このモノやサービスを使ったタイミングで費用を計上します(※この考え方を発生主義と呼びます😊)。
建物や車といった固定資産は、何年もの年月をかけて使っていきますよね。つまり、固定資産を使い始めてから何年もかけて費用が発生します。
このように、固定資産の購入代金がその資産を使う期間にわたって費用に変わったもの、これが減価償却費です✨
購入代金を支払ったときにすべて費用にしてしまうと、あたかも「その資産を購入した途端、すべて使い切ってしまった」かのように決算書で表されてしまうのです。
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簡単な例でおさらいしよう!
今のお話を、簡単なたとえを使ってご説明しますね😊
たとえば、お店を開くための建物を1000万円で買ったとします。この建物はこれから20年かけて使っていく予定です。
このケースでは、購入時に支払った1000万円は今後20年かけて、少しずつ減価償却費になっていくのです。
(※たとえば、1年あたり50万円(=1000万円 ÷ 20年)ずつ費用になります)
性質② 固定資産の価値減少分が費用に表れたもの
では、固定資産を使って費用になるまで、購入時に支払ったお金はどのように決算書に表されるのでしょうか?
ここからは、減価償却費のもう1つの捉え方を見ていきたいと思います💫
支払ったお金は資産に変わる
建物や車を買うために支払ったお金は、まず固定資産に形を変えます。
建物であれば「建物及び構築物」、車であれば「機械装置及び運搬具」といった名称で、決算書の固定資産グループの中に登場します。
固定資産は、長い期間を通して使われることで企業にキャッシュをもたらしていきます💰この意味で、資産としての価値を持つのです😊
使うにつれて資産の価値は低下する
その固定資産も年月が経つと、使用や経年による劣化が進み、固定資産としての価値が低下していきます💦
そこで、この価値が減った分だけ、固定資産の残高も減らすことになります。
そして、ここがポイントです!
固定資産の残高を減らしたとき、その減った金額が費用に変わるのです✨
これは、固定資産の価値が減ったこと、固定資産を使ったことを表す費用です。つまり、先ほど登場した減価償却費ですね。
減価償却のしくみをまとめると…
固定資産は使う期間にわたってその残高が減っていき、減った分だけ減価償却費に変わります。
これが減価償却の仕組みです。
この仕組みによって、
🔸 年月の経過や使用による固定資産の価値の低下を決算書に表すことができる
🔸 同時に、固定資産を使うことによる費用(減価償却費)の発生を表すことができる
という、効果を得られるのです😊
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減価償却費は決算書のどこに表示される?
減価償却費は、決算書のどこに書いてあるのでしょうか?
実は、減価償却費は売上原価と販売費及び一般管理費の中に含まれています💡
🔸 売上原価
← 商品の製造に関わる減価償却費(工場の建物や機械装置の減価償却費など)
🔸 販売費及び一般管理費
← 販売活動や管理活動に関わる減価償却費(店舗、本社の建物や備品の減価償却費など)
販売費及び一般管理費に含まれる減価償却費であれば、損益計算書や注記情報に主な内訳が記載されています。
決算書から減価償却費の金額を知る方法は、こちら(↓)で詳しく解説しています。
減価償却費はどのように利益に影響するの?
固定資産を使い始めると、減価償却費が発生します。
すると、売上原価や販売費及び一般管理費といった費用が膨らみ、利益を圧迫する可能性があるのです😲
利益率を悪化させてしまうこともある
ここで、東京ディズニーランド&シーを運営するオリエンタルランドの例をご紹介します😊
オリエンタルランドは、2001年に東京ディズニーシーをオープンさせたことをきっかけに、減価償却費が3~4倍にふくれ上がりました。
東京ディズニーシーのあの世界観を作り上げるには、数多くの建物や機械装置が必要不可欠です。言いかえると、東京ディズニーシーオープンを機に、減価償却すべき固定資産がググっと増えたのです!
オープンと同時にこれらの建物や機械装置が使われ始め、多額の減価償却費を生み出すようになりました。
もちろん、東京ディズニーシーオープンによる増収効果もあります💰
しかし、巨額の固定資産を減価償却したことによる負担は相当なものだったようで、しばらくの間は営業利益率が落ち込んでいたほどでした。
東京ディズニーシーの事例について、詳しくはこちら(↓)の記事(「東京ディズニーシーがオープンしたときの減価償却を見てみよう」のパート)に記載しています。
必ずしも、使い終わるまで減価償却費が発生し続けるわけではない
そのオリエンタルランドも、東京ディズニーシーがオープンしてから10年ほどで営業利益率が上向き始めました✨
この大きな理由の1つは、減価償却費がピークを越えたことです。
基本的に、減価償却は固定資産を使う期間にわたって行います。
しかし実際には、固定資産を使う期間を厳密に見定める代わりに、税法で定められた年数(法定耐用年数)にわたって減価償却を行う企業が多いです(特に日本基準で決算書を作成している企業)。
そのため、減価償却が終わっても(減価償却費が発生しなくなっても)、その固定資産を使い続けているケースは多く見られます。
オリエンタルランドのケースでは、東京ディズニーシーの減価償却が落ち着いた時期になっても、東京ディズニーシーによる増収効果は続いていたために、利益率が改善したのです💫
東京ディズニーシーの例に限らず、大きな固定資産(工場や物流施設など)を購入した企業では、同じ理由で一時的に利益率が悪化することが珍しくありません。
それでも、固定資産による増収効果が引き続き得られているのであれば、再び利益率が復活、もしくは以前に増して上昇する可能性もあるのです😊
(経営側も、一時的な収益性の悪化は計画に織り込み済みだったりします。)
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まとめ
1.減価償却費とは、固定資産を使うことによって、その購入代金が費用に変わったもののことである。
2.固定資産は使用や経年によって価値が低下するため、使う期間にわたって残高を減らしていく。その減った金額が費用に変わったものが減価償却費とも言える。
3.減価償却費は、決算書では売上原価や販売費及び一般管理費に含まれる。