【初心者必見】「経常利益とは?」を簡単に解説!営業利益との違い・計算方法とは?

 

損益計算書の5つの利益の1つ、経常利益

「経常利益の意味や計算方法とは?」「他の利益との違いとは?」

JALの事例で理解を深めながら、わかりやすく解説していきます😊

 

経常利益とは?まずは基本の意味をおさえよう!

損益計算書には5つの利益があります。一番上の行に記載された売上高を起点として、下に向かって収益や費用を足し引きしながら以下の5つの利益が計算されていきます。

① 売上総利益

② 営業利益

③ 経常利益

④ 税引前当期純利益

⑤ 当期純利益

上から3番目に出てくるのが経常利益ですね✨

 

経常利益とは…

商売に関係するかどうかに関わらず、企業の平常時の活動によって生まれた利益のこと。

株式の配当金のように、商売に直接関係ない収益も経常利益に含まれます

一方で、災害や事業再編といった平常時にはないイベントで生じた収益・費用は含まれません

 

なお、赤字(マイナスの数値)となった経常利益を、経常損失と呼びます。

 

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計算方法でチェック!営業利益・税引前当期純利益との違いは?

営業利益との違いは?

営業利益とは、損益計算書で経常利益の1つ前に出てくる利益であり、商品の仕入れ、製造から販売に至るまで、商売の一連のサイクルによって生まれた利益です。

営業利益については、こちらで詳しく解説しています(↓)

【はじめて学ぶ】「営業利益とは?」をわかりやすく解説!決算書初心者もスッキリ理解!

2018年8月2日

 

ということは、経常利益と営業利益との違いは…

「平常時の活動から生まれるが、商売のサイクルから外れている収益や費用」が含まれているかどうかですね😊

 

営業利益と経常利益の違い

🔸営業利益

→商売のサイクルから生まれる収益・費用に焦点をしぼって測定した利益

🔸経常利益

→商売のサイクルから外れている収益・費用も含め、平常時の活動全体から生まれる利益

 

2つの利益の違いを生み出す収益・費用を、決算書ではこのように記載しています。

🔹平常時の活動から生まれるが、商売のサイクルから外れている収益 → 営業外収益

🔹平常時の活動から生まれるが、商売のサイクルから外れている費用 → 営業外費用

具体的にどんな内容なのかは、後ほどお話します!

 

経常利益を、営業利益との関係で表すと

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益営業外費用

となります✨

 

 

税引前当期純利益との違いは?

損益計算書で経常利益の次に出てくる利益は、税引前当期純利益(税金等調整前当期純利益)です。

税引前当期純利益とは、売上高にその他の収益をすべて足し合わせ、かつ、税金を除くすべての費用を差し引いた後の利益です🌟

税引前利益については、こちらで詳しく解説しています(↓)

おさえておきたい!税引前当期純利益が分かる5つのポイント

2017年11月24日

 

経常利益と税引前利益の関係を表すとこうなります✍

税引前利益 = 経常利益 + 特別利益特別損失

 

特別利益特別損失は、以下のように平常時とは異なる活動によって生じた利益や損失のことです。

🔸固定資産の売却による利益

🔸火災による工場損壊

🔸リストラによって支払う退職金

 

特別利益・特別損失の企業の事例(マクドナルド・キリンなど)はこちらでご紹介しています(↓)

【一挙ご紹介!】特別利益と特別損失とは?具体例3選<リストラ・資産売却・災害>で理解しよう

2017年12月16日

 

特別利益や特別損失はその年にたまたま生ずる損益であり、企業の実力ベースの収益力を示すものではありません

つまり、両利益の違いとは、企業の経常的な収益力を測っているか(経常利益)、その年に稼ぎ出した利益を測っているか(税引前当期純利益)なのです。

経常利益と税引前当期純利益の違い

🔸経常利益  →平常時の活動に焦点をしぼって測定した利益

🔸税引前利益 →その年の企業の全活動から生じた利益(税金を除く)

 

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営業外収益・営業外費用にはどんな項目がある?

営業利益と経常利益の違いを生み出す営業外収益営業外費用について、具体的によく登場するものをご紹介しますね😊

 

まず、営業外収益です。

🔹受取配当金→保有している株式から受け取る配当金

🔹受取利息 →貸付や預金などから受け取る利息

🔹為替差益 →為替レートの変動によって、円貨換算後の外貨建て資産(負債)が増える(減る)利益

🔹持分法による投資利益 →関連会社への投資によって得る利益

うまく投資をしていけば、本業の収益を下支えすることができます。また、ここで得た資金を、本業の投資に回すことができますね😊

 

次に営業外費用では、こんな項目がよく登場します。

🔹支払利息 →借金によって支払う利息

🔹為替差損 →為替レートの変動で、円貨に直した外貨建て資産(負債)が減る(増える)損失

たとえば、業績が悪化し借金が膨らむと、支払利息も増えていきます。本業による費用ではないとはいえ、ますます企業の資金繰りを圧迫する要因にもなりえるのです😨

 

為替差益・為替差損の詳しい説明は、こちらをご覧くださいね(↓)

なぜ?円安が輸出企業に有利に影響する理由③トヨタに学ぶ資産が増えるナゾ

2017年11月1日

 

営業外収益・営業外費用のより詳しい説明や企業の実例はこちら(↓)

【具体例つき!】営業外収益と営業外費用とは?特別損益との違いとは?

2017年12月14日

 

 

【事例】JAL、経常利益マイナスから復活への道のりとは!?

一度は経営破綻したものの、見事再生し黒字企業となったJAL✈

経営破綻直前(2009年3月期)と、再生後の現在(2017年3月期)とで、経常利益にどのような違いがあるのか見てみましょう😊

 

経営破綻前の経常利益

まず、経営破綻直前の業績を見てみましょう。

経営破綻直前/2009年3月期

🔸 売上高:1兆9511億円

🔸 営業損失:△508億円

🔸 経常損失:△821億円

営業利益の時点ですでに赤字となっていますが、営業損失から経常損失にかけてさらに313億円も減っています

 

この時のJALは、経営状況の悪化により借金が大きく膨らんでいました。そのため、支払う利息も巨額になっていたのです😲

さらに当時の円高の影響を受け、200億円近くの為替差損も出してしまいました。

 

確かに、この年は受取利息や受取配当金といった営業外収益もありました。

しかし、支払利息や為替差損を含む営業外費用が大きいあまり、営業外収益と営業外費用が足し込まれた経常損失は、営業損失よりも更に313億円も赤字になってしまったのです。

 

営業外費用は本業による費用ではありませんが、毎年これだけの利息を支払っていることは事実。ますます手元にお金が残りにくい体質になってしまっています😢

 

 

経営再建後の経常利益

一方、経営再建後のJALの業績を見てみると…

経営再建後/2017年3月期

🔸 売上高:1兆2889億円

🔸 営業利益:1703億円

🔸 経常利益:1650億円

不採算路線を減らしたことで売上高は減っていますが、採算が改善し営業利益は大きく増えました✨

さらに、経常利益は、営業利益から53億円の減少にとどまっています

これは、借金の大幅な削減により支払利息が経営破綻直前の20分の1程度になったこと、円安に進んだことで為替差損が出ていないことによるものですね😊

 

 

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まとめ

1.経常利益とは、商売に関係すること関係しないことも含め、企業の平常時の活動によって生まれた利益のこと。

2.営業利益と経常利益の違いは、「商売のサイクルから外れているが、平常時の活動から生まれる収益や費用(営業外収益・営業外費用)が含まれているかどうか」である。

3.経常利益と税引前当期純利益の違いは、企業の経常的な収益力を測っているか(経常利益)、その年に稼ぎ出した利益を測っているか(税引前利益)である。

 

【初心者向け】ベネッセの「5つの利益」を読む!損益計算書の見方を学ぼう!

2017年12月22日

 

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