売上高販管費率とは?計算式もチェック!
販売費及び一般管理費(以下、販管費)とは、商品の販売活動や会社全体の管理活動に必要な費用のことです✍広告宣伝費や間接部門の人件費などが含まれます。
今回のテーマである売上高販管費率は、この販管費を使った指標です!商売活動の収益性を測るための1つの手段でもあります😊
計算式を見てみよう
売上高販管費率とは、売上高に対する販売費及び一般管理費の割合を計算したものです。売上高販売管理費率とも呼ばれますね✨
売上高販管費率の計算式
売上高販管費率(%)= 販売費及び一般管理費 ÷ 売上高 × 100
売上高が一定でも販管費を抑えることができれば、売上高販管費率は下がります。
スポンサーリンク
売上高販管費率が教えてくれること
営業利益(商売活動によって得られる利益)は、売上高から売上原価と販管費を差し引くことで計算されます✍
営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販管費
販管費のムダを省き効果的に抑えることができれば、売上高は変わらずとも、営業利益を高められるようになるのです😊
このように販管費を効率的に使っているかどうかが、売上高販管費率に表れます。
たとえ売上高が一定であっても、売上高販管費率が低いほど、得られる営業利益は大きくなるのです💡
言いかえると、売上高販管費率を抑えることは、営業利益率を高めることにつながるのですね。
業種ごとに特徴がある
売上高販管費率の目安の考え方
販管費が果たす役割は、業種によって異なります。
飲食店であれば店舗の賃借料やそこで接客する人件費が、メーカーや製薬会社であれば研究開発費が業績の重要なカギを握りますし、金額も大きくなる傾向にあります。
そのため、売上高販管費率には一定の目安があるわけではありません。
ですが、同じ業種で数値を並べてみれば、その企業の傾向を捉えることができます。
また、その企業自身の過去の数値と比較することで、その企業の動きが分かります。たとえば、売上高販管費率が上がっているなら、その理由を探ることで、どこかムダが出ている箇所はないか、重点投資している分野は何かといったことが想像できるのです。
そういった意味で、同業他社やその企業自身の過去が売上高販管費率の1つの目安になると言えます。
業種ごとの売上高販管費率の特徴~資生堂と旭硝子を例に~
ここで全く事業内容の異なる2社の売上高販管費率を見てみましょう。
取り上げるのは、化粧品の製造・販売を手掛ける資生堂と、ガラス製品を主力とする旭硝子です。
この2社の2017年12月期の売上高販管費率はこちらです。
2017年12月期の売上高販管費率
資生堂 :69.0%
旭硝子 :19.5%
どちらの会社も営業利益率が同じ8%台でありますが、販管費と原価のコストのかけ方に大きな違いがあるために、売上高販管費率に乖離が生じています。
他の化粧品メーカーにも言えることですが、資生堂は広告やCMといったメディアを通す費用や、販促に使う見本品の費用が大きいのが特徴です。
また、接客対応をする数多くの美容部員を抱えるために、人件費も重要な割合を占めています。
このように販売活動に多くの投資をしているため、毎年の販管費は売上原価(化粧品を作るコスト)をはるかに超える金額となっているのです。
一方、旭硝子は金額的に売上原価(製品を作るコスト)に重きが置かれます。
また、販売先が企業であるために、資生堂のように販売活動に大々的な投資がかかっていません。そのため、販管費の中では、研究開発費などが重要な位置を占めています。
このように同じ製造に携わる企業であっても、商品内容が違えば売上高販管費率にも大きな差が出てきます。
お客様との接点を作る販売活動や研究開発費にコストがかかりやすい業種、たとえば飲食業、小売業、サービス業、製薬業などは売上高販管費率が高くなる傾向にあります。
売上高販管費率の分析方法
店舗の水道料金から本社の経理部員の給料まで、販管費には実に様々な種類のコストが含まれています。
売上高販管費率の動きをより詳細に分析したいときは、販管費の費目別に売上高比率を計算してみましょう。
たとえば、売上高人件費率、売上高広告宣伝費率、売上高研究開発費率…などですね。
そういった細かい項目ごとに比べることで、その企業の特徴や、数値が変動した背景がよりクッキリと浮かび上がってくるようになります。
スポンサーリンク
まとめ
1.売上高販管費率とは、売上高に対する販売費及び一般管理費の割合を計算したものである。売上高販管費率を分析することで、販管費を効率的に使えているかどうかが分かる。
2.売上高販管費率を抑える(販管費をより効率的に使う)ことは、営業利益率を高めることにつながる。
3.販管費が果たす役割は業種によって異なるため、同業他社やその企業の過去の数値と比べることで、その企業の特徴や動きが見えてくる。また、販管費の費目別の売上高比率もあわせて分析することで、より深度のある分析ができる。