【初心者必見】法人税等調整額とはなに?かみ砕いてわかりやすく解説します!

 

ちょっと、とっつきにくい名前の法人税等調整額。損益計算書には必ず出てきますね^^

この法人税等調整額とはいったい何を表すものなのか、やさしくかみ砕いて解説します。

 

決算書のどこに書いてある?

法人税等調整額の記載場所をチェック!

法人税等調整額は、損益計算書のかなり下の方に書いてあります。

ピジョンの損益計算書で、チェックしてみましょう!

 

ピジョンの2018年1月期 損益計算書(一部抜粋)   単位:百万円

   :
税金等調整前当期純利益20,916
 法人税、住民税及び事業税5,931
 法人税等調整額225
法人税等合計6,157
当期純利益14,759
※ピジョン株式会社 平成30年1月期有価証券報告書より

 

 

このように、税引前当期純利益の下にある「法人税等合計」の内訳として記載されています😊

 

税金に関連する費用は2種類あり、この2つをまとめて「法人税等合計」になります。

 法人税等合計 = 法人税、住民税及び事業税 + 法人税等調整額

この2つの違いについては、後ほど解説しますね。

 

IFRSの場合はどこに書いてある?

ちなみにIFRS(国際会計基準)を適用している企業の場合は、この2つの税金費用を足し合わせた「法人所得税費用」という項目のみ損益計算書に記載されます。

「法人所得税費用」の内訳は、注記にちゃんと書いてあります^^

この内訳のうち、「繰延税金費用」という項目が法人税等調整額に該当します。

 

 

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法人税等調整額は納めるもの?

このように、法人税等調整額は税金費用の1つとして決算書に登場します。

が…実は、税務署に納付するものではありません

 

先ほどのピジョンの損益計算書で確認してみましょう。

 法人税、住民税及び事業税5,931←税金として納める部分
 法人税等調整額225←実際には納めない部分
法人税等合計6,157

実際に税金として納めるのは、法人税、住民税及び事業税の部分です。

 

では、法人税等調整額は何のためにあるのか。

さらっと言ってしまえば、法人税等調整額は法人税、住民税及び事業税の金額を見かけ上調整する役割を担います。

次のパートで税金計算の前提をお話ししつつ、この詳しい意味を解説していきますね。

 

 

税金計算の前提を理解しよう

法人税等調整額の意味を知るためには、税金計算のキホンを理解しておく必要があります😊

税金はどのように計算されるのか、簡単にご説明しますね。

 

税金は調整した利益を使って計算する

税金は、利益をもとに計算します。利益を稼ぐほど、納める税金も多くなるのです。

 税金 = 利益 × 税率

 

実は、この計算で使う利益は決算書に載っている利益とは少し異なります

税金計算に使う利益は、決算書に掲載されている税引前当期純利益調整して求めた利益なのです。

 

どんな調整をするの?

一部の収益や費用については、決算書を作る中で認識する時期税金を計算する上で認識する時期異なります

そこで、決算書の税引前当期純利益に一部の収益や費用を足し引きし、税金計算用に直した上で実際に納付する税金を求めるのです。

 

(↓)たとえば、従業員に賞与を支給する際も、費用を認識する時期にズレが生じます。

従業員に賞与を支給する例

決算書を作る上では、従業員へ支給する賞与は対応する労働サービスを受けたときに費用として計上します。そのため、多くの企業では、賞与を支給するのを待たずに費用(賞与引当金繰入額)として認識するのです。

一方、税金を計算する上では、実際に賞与をを支給したときに費用とします

     ↓

決算書を作る上で、来年度に支給する賞与を費用としているとき、決算書に織り込まれている費用は、税金を計算する上で織り込むべき費用より多くなってしまっています。

つまり、税金を計算する際は、決算書の税引前利益にこの賞与分の費用を足し戻す(賞与分の費用が無かったことにする)という調整をした利益を使わなければならないのです。

 

 

法人税、住民税及び事業税との違いとは?法人税等調整額の役割を知ろう!

決算書上の利益に税率をかけても税金は求められない

このように、決算書に載っている利益と税金の計算に使う利益は異なるため、決算書上の利益(税引前当期純利益)に税率をかけても、法人税、住民税及び事業税の金額には一致しません

でも、決算書を見る人の気持ちを考えたら、そこの整合性は取っておきたいところです…

 

法人税等調整額は決算書を見る人のため!

そこで登場するのが法人税等調整額なんですね!

法人税等調整額が法人税、住民税及び事業税の金額を調整することで、「決算書上の利益 × 税率 = 税金」という式が成り立つようにしているのです。

 

税引前当期純利益 × 税率 法人税、住民税及び事業税

 ↓ そこで…

税引前当期純利益 × 税率 法人税、住民税及び事業税+法人税等調整額

調整する内容によって、法人税等調整額はプラスの金額にもマイナスの金額にもなります。

 

先ほどのピジョンの損益計算書でチェックしてみましょう。

   :
税金等調整前当期純利益20,916
 法人税、住民税及び事業税5,931
 法人税等調整額225
法人税等合計6,157
当期純利益14,759
※ピジョン株式会社 平成30年1月期有価証券報告書より

 

決算書上の利益である税引前当期純利益20,916百万円に税率(法定実効税率)30.8%をかけると、計算される税額は6,442百万円になります。

法人税、住民税及び事業税5,931百万円よりも、それに法人税等調整額を足し合わせた6,157百万円の方が数字は近くなりますね^^

 

実際は、法人税等調整額を足し合わせても、完全に「決算書上の利益 × 税率 = 税金」という式が成り立つわけではありません。

調整しきれない諸々の項目があるんですね(かなりずれてしまうこともあります)。

 

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まとめ

1.法人税等調整額は、損益計算書の「法人税等合計」の内訳として記載されている。

2.税金として納めるのは法人税、住民税及び事業税の金額であり、法人税等調整額自体はその年に納付する税金を表しているわけではない

3.法人税等調整額は、法人税、住民税及び事業税の金額を調整することで「決算書上の利益 × 税率 = 税金」が成り立つようにする役割を持つ。

 

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