…という方も多いのではないでしょうか?
今回はこの繰延税金資産をテーマに、なるべく分かりやすく!かみくだいて!イメージしやすく!ご説明していきます✨
目次
もう悩まない!「繰延税金資産とは?」をわかりやすく解説
まずは、繰延税金資産の正体を解き明かしていきましょう😊
繰延税金資産は「将来、支出が減ること」を意味する
名前に「資産」が含まれているように、繰延税金資産は資産の1つです✨
他の資産と同様に、貸借対照表上では流動資産・固定資産に区分して表示します。
資産とは?
目に見えるかどうかに関わらず企業の将来のキャッシュ増大に恩恵をもたらしてくれるもののこと。
【例】未収入金(これからキャッシュに換金される)、固定資産(企業の事業活動に貢献することでキャッシュを増やす)
資産の仲間である繰延税金資産がもたらす恩恵とは…
ズバリ「将来の支出を減らすこと」です💰
将来出て行くお金を減らすことで、間接的に企業のキャッシュ増大に貢献しているんですね✨
では、どんな「将来の支出」を、なぜ減らせるのでしょうか?次から見ていきましょう😊
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なぜ将来の支出を減らせるの?
実は、繰延税金資産が減らせる「将来の支出」には、ちゃんと対象が決まっています。
繰延税金資産が減らしてくれる将来の支出…それは将来支払う税金です💰
その疑問を解決するために、まずは税金計算の仕組みについてお話しさせてください😊
「税金の計算のしくみ」をサクッと理解!
法人税などの税金は、企業の1年間の利益に税率をかけることで求めます✍
税金 = 利益 × 税率
実は、上記のような税金計算で使う利益は、損益計算書に載っている利益とは少し異なります😲
なぜなら、損益計算書の基礎となる会計のルールと税金を計算するためのルールとでは…
一部の費用や収益について認識する時期に差があるからなのです。
たとえば、会計のルール(損益計算書上)では当年度の費用となっているのに、税金計算上は5年後や10年後の費用として扱う項目があるんですね。
🔹会計のルールでは…
実際に支給するのが何十年先であっても、従業員の働き(貢献度合い)に応じて、将来支払う退職金を費用に計上する。
🔹税金を計算するためのルールでは…
実際に従業員に支給した年度に、退職金を費用に計上する。
退職金以外にも、売上高、減価償却費、賞与引当金(繰入額)といった数々の収益、費用において、会計のルールと税金計算上のルールの間に認識時期の差があります。
(すべての収益と費用について差があるわけではありません😊)
ここでお話しした「税金の計算のしくみ」について、さらに詳しく解説しています(↓)
このような理由から、税金計算に使う利益は、損益計算書上(会計ルール上)の利益に一部の費用を足し戻したり、一部の収益を差し引いたりして求めます✍
税金は「利益 × 税率」で計算するため、税金計算上のルールで認識される費用が多いほど利益が小さくなり、支払う税金も少なくて済むと言えます✨
「将来支払う税金」を減らせるワケ
会計のルールと税金計算上のルールの間で費用・収益の認識時期に差があるもののうち、
「会計のルールの方が税金計算上のルールよりも認識時期が早い費用」というものがあります✨
たとえば、先ほどご紹介した退職金(退職給付引当金繰入額(一時金))のほか、賞与(賞与引当金繰入額)、減価償却費(一部)などがこれに該当します。
これらの項目は、会計のルール上では費用として計上される年度でも、税金を計算する上ではまだ費用として扱われません。
(=その年度の損益計算書上(会計ルール上)の利益にその費用を足し戻すことで、税金計算に使う利益を求めます)。
その代わり、これら「会計のルールの方が税金計算上のルールよりも認識時期が早い費用」は…
将来の税金計算上の費用になる
= 将来の税金計算に使う利益を減らす
= 将来支払う税金(=将来の利益 × 税率)を減らす
という効果をもたらしてくれます✨
この、「将来支払う税金を減らす効果」を金額で表したものこそ、繰延税金資産なのです😊
ここでお話しした「繰延税金資産の表す効果」を、さらに詳しく解説しています(↓)
繰延税金資産は利益を左右する!
繰延税金資産が増減することで、利益がグッと押し上げられたり、はたまた赤字に転落したりするのは決してめずらしいことではありません😲
なぜなら、繰延税金資産と利益の間には
🔹繰延税金資産が登場すると費用(※)が減る
🔹繰延税金資産が取り崩されると費用(※)が生ずる
という関係があるからなのです。(※ここでの費用とは「法人税等調整額」のことです)
特に業績が落ち込んでいる企業は、繰延税金資産の取り崩しを迫られることも少なくありません。そして繰延税金資産を取り崩した結果、費用が増大し業績悪化に拍車がかかることが多々あるのです😭
ここ数年では、ベネッセ、パナソニック、かっぱ寿司などの企業が繰延税金資産の取り崩しによる(更なる)業績悪化を経験しています。
(最後に、かっぱ寿司が繰延税金資産を取り崩した事例をご紹介します)
ここでお話しした「繰延税金資産と費用の関係」を、さらに詳しく解説しています(↓)
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企業それぞれ!繰延税金資産はいくらまで計上できる?
そうなんです。
先ほどご紹介した「会計のルールの方が税金計算上のルールよりも認識時期が早い費用(退職金(一時金)など)」が登場したら、繰延税金資産も必ず増える
…とは限らないのです🗝
なぜなら、企業によっては「将来支払う税金を減らす」ことができない場合もあるからです😲
たとえば、赤字の企業がこのケースに当てはまります。
赤字とは、利益がマイナスの状態のこと。この場合、そもそも税金を支払う必要がありません👛
そのため、これ以上費用を増やしても税金を減らすことはできないのです。
このように、将来の利益が十分に見込めない場合は、退職金引当金繰入額も減価償却費も将来の税金を減らすことができません💦
そのことを、「将来支払う税金を減らす効果」を表す繰延税金資産の金額にも反映させなくてはならないのです。
たとえば、過去に大きな赤字を出した企業であれば将来も十分な利益を稼ぐ可能性が低いとみなし、繰延税金資産を計上できない、または限定した金額のみ計上することになります。
ここでお話しした「繰延税金資産の回収可能性」を、さらに詳しく解説しています(↓)
繰延税金資産の「取り崩し」が意味するコトとは?
このように初めから将来の利益が見込まれない場合は、そもそも繰延税金資産は計上されません。
その一方で、「当初は将来の利益が見込まれていたのに、後から赤字予想(もしくは低水準の利益)に変わった」ということも現実にあります。
この場合、すでに繰延税金資産が計上されているのであれば取り崩さなくてはなりません😨
「将来支払う税金を減らす効果」が無くなった(もしくは減った)のであれば、将来のキャッシュ増大に貢献するという資産としての価値が無くなってしまう(もしくは減ってしまう)からです。
業績が急降下している企業で、繰延税金資産の取り崩しがよく見られるのはこのためです。
繰延税金資産が取り崩されると、同じ金額だけ費用(法人税等調整額)が生じます。
これが業績悪化に拍車をかける原因です。繰延税金資産が登場したときとは逆ですね。
ここでお話しした「繰延税金資産の取り崩し」を、さらに詳しく解説しています(↓)
次のパートでは、実際に繰延税金資産を取り崩した企業の例をご紹介します!
【事例:かっぱ寿司】繰延税金資産「取り崩し」が導いた大赤字
下がり続ける利益に苦しんでいた
回転寿司チェーン店かっぱ寿司を展開するカッパ・クリエイトも、繰延税金資産を取り崩した企業の1つです。
2017年3月期には、今まで貸借対照表に載せていた繰延税金資産をすべてを取り崩しました😲
客数、売上高ともに右肩下がりとなっていたかっぱ寿司は、ロゴ変更によるイメージアップを図ったものの、利益悪化に歯止めがかからない状態となっていました💦(そのため、2017年3月期までに計上していた繰延税金資産も、金額を限定していました。)
将来の見通しを下方修正へ。その結果…
カッパ・クリエイトの最終損益は、2012年度から頻繁に赤字となっていました。そして2017年3月期には、とうとう営業損失(本業自体が赤字)を出してしまったのです😢
これを機に、将来の利益見込みを下方に見直したのだと思われます。
それが、「将来支払う税金」を減らせなくなった(十分な利益が無いために、更に減らせるほど将来の税金が見込まれなくなった)という判断へ。
そして、すべての繰延税金資産を取り崩すという結果につながりました。
繰延税金資産の取り崩しによって費用が37億円も増えてしまった結果、2017年3月期は-58億円もの当期純損失(最終赤字)となったのです。
このように業績が悪くなってくると、将来の利益予測を下方に修正し、それが繰延税金資産の取り崩し、つまり費用の増大につながることがあります。
ただでさえ利益水準が低くなっている中で、さらに業績の見た目を悪くしてしまうんですね😥
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まとめ
1.繰延税金資産は、「将来の税金を減らす」という点で、間接的に企業のキャッシュ増大に貢献している資産である。
2.業績の低迷している企業は、繰延税金資産を計上できない、または限定した金額でした計上できない場合がある。
3.業績が急降下している企業では繰延税金資産を取り崩すことが多々ある。このとき、費用が発生するのでさらに業績が悪化してしまう。
こちら(↓)では、桃太郎のストーリーにのせて、さらに簡単に「繰延税金資産がなぜ必要なのか?」を解説しています^^