以前お話しした「損益計算書の簡単な見方✨」に基づき、実際の損益計算書を読んでみましょう!
事例として取り上げるのは、大塚家具 2018年度第1四半期(1~3月)の損益計算書です😊
まずはポイントとなる数字をチェックしよう
損益計算書全体を読んでいく前に、ポイントなる数字だけ眺めてみましょう。
売上高と特に注目すべき3つの利益です。
(営業利益、経常利益と記載しておりますが、この2つは赤字なので実際は営業損失、経常損失と表記されています。)
前年同期と同じく、売上高は減り、営業利益も経常利益も赤字となってしまっています😨
相変わらず、商売の方は苦戦をしいられているようです…💦
それでも、最終的な利益である四半期純利益(当期純利益の四半期バージョン)は黒字になっていますね!
四半期純利益が算出されるまでの間に、いったい何が起こっているのしょうか?<ポイント1>
また、売上高が減っているにもかかわらず、各利益は前年同期より増えているのも気になりますね<ポイント2>
この辺りも気にしながら、損益計算書を読んでいきましょう🎵
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活動グループごとに損益計算書を読んでみよう
損益計算書では、収益と費用は、企業の活動内容に合わせて3つにグループ分けされた上で並べられます。
① 本業の活動
② 本業以外でお金を得る活動(臨時の活動は除く)
③ 突発的な収入や費用(損失)が生じた活動
詳しくはこちら(↓)で解説しています✨
この3つのグループに沿って、損益計算書を上から読んでいきましょう😊
① 本業の活動グループ
こちらは、大塚家具の損益計算書(売上高から営業損失まで)です✨
※ 単位:億円
※ 株式会社大塚家具 2018年度四半期報告書より
売上高から営業利益までは、企業の本業の活動を表しています。
大塚家具の本業の活動は、家具・インテリアを仕入れ、お客様に販売することがメインです。
本業の活動にかかわる収益・費用をざっくり表すと
🌟売上高
→家具・インテリアの販売代金(企業のメインの収益源)
🌟売上原価
→販売した家具・インテリアの仕入代
🌟販売費及び一般管理費
→広告宣伝費、従業員への給与、店舗の賃借料といった、商品の販売活動や事業の管理のための費用
と、言えます。
売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いたものが、本業の採算性を表す営業利益なのです。
大塚家具の損益計算書を見ると、顧客をうまく取り込めなかったことで、昨年に引き続き売上高が減ってしまっていますね。
理由としては、ニトリのような競合が台頭してきたことや、お家騒動でブランドイメージが悪化したこと等が言われています💦
販売量が減れば、当然、商品の仕入代(売上原価)といったコストも減ります。
しかし、売上高以上に販売費及び一般管理費の減少幅が大きいのは、経営側の努力によるものだと思います😊
業績を立て直すために、店舗を再編し面積を縮小した結果、賃借料が減りました。
また、意図的に広告費も抑えました。
間接部門から営業部門へ人員を異動させることにより、採用数を最小限にし人件費を抑制するといった努力もされているようです。
前年同期と比べて営業損失額が改善しているのは、このような販管費及び一般管理費を抑える努力も大きかったのだと思います。
…とは言っても、営業赤字であるのは事実💦
お金を稼ぐための商売活動が、かえってお金を減らす結果を招いてしまっているのです😢
② 本業以外でお金を得る活動グループ(臨時の活動は除く)
つづいて、営業損失から経常損失までのグループを見てみます!
※ 単位:百万円
※ 株式会社大塚家具 2018年度四半期報告書より
金額が細かくなるので、百万円単位で記載しています(紛らわしくて申し訳ございません💦)
このグループは、主に本業以外でお金を得る活動(臨時のものは除く)から生じた収益・費用を表しています。
営業外収益を見ると、株式や保険からの配当金が主な構成要素になっています。
営業外費用は、支払手数料が一番大きいですね。
支払手数料は、振込手数料、仲介手数料、弁護士への報酬などの各種手数料が含まれる科目です。
決算書から大塚家具の支払手数料の中身を推察することはできませんでしたが、ここ最近金額が大きめなので近年の事業環境の変化と関係しているのかも(?)しれません。
また、同じく営業外費用に含まれている固定資産除却損は、本来は特別損失に含まれる性質を持つと考えられています。
ですが、大塚家具の固定資産除却損のように、金額が小さかったり、毎期発生していたりすると、営業外費用に含めることも多いですね😊
本業の活動では赤字になってしまいましたが、
本業以外で収入(主に配当金関係)を得たことで、経常損失は営業損失よりも改善しています⤴
③ 突発的な収益や費用(損失)が生じた活動グループ
最後に、経常損失の下にあるグループ、特別利益・特別損失を見てみましょう😊
※ 単位:百万円
※ 株式会社大塚家具 2018年度四半期報告書より
突発的な収益や費用(損失)を表すのが、特別利益、特別損失です。
毎年行っているような活動からは生じ得ないような臨時、巨額の損益が含まれます。
今回は大きく特別利益が出ていますが、ここには本業の活動でお金を減らしてしまっている苦しさがよ~く表れています…😨
2018年第1四半期において、特別利益としている項目は4つ。そのうち3つは、何かしらを売却して得た利益です。
一番大きい固定資産売却益は、埼玉県にある土地を(不動産流動化に関連して)売った際の利益が主です。
本来は事業などに使う目的で持っていた土地を売るのですから、通常の活動の中では生じえない利益ですよね😲
このように大塚家具が、本業で使うための資産や本業以外の収益源となっている資産を売ったのは、キャッシュを得るためなのです💴✨
営業赤字が続いていることからも見て取れるように、現在の大塚家具は営業をすればするほどキャッシュを減らしてしまっている状態。
とにかくキャッシュが欲しいのです。
これまで借金に頼らずにきたのは、豊富な資産を売却することで足りない資金を補っていたからなんですね💰
2018年第1四半期は固定資産売却益が健闘したおかげで、税引前四半期純利益を黒字にすることができました。
この波に乗り、税金の費用を差し引いた後の四半期純利益も黒字になっています!
つまり、2018年第1四半期のすべて活動の結果としては、利益(=お金のモト)を積み増すことができたのです。
2018年第1四半期の活動の成果をまとめると…
2018年第1四半期の大塚家具の活動を会計的な視点から総括すると…
🌟 本業の活動の結果(営業利益)=赤字
🌟 本業を含む平常時の活動の結果(経常利益)=赤字
🌟 すべての活動の結果(四半期純利益)=黒字
となります。
現状、本業である家具・インテリア販売はキャッシュを増やせる仕組みになっておらず、
また平常時に行われる活動全体で見ても本業の不振を補うことができていません😢
こうして活動すればするほど減ってしまうキャッシュを埋めるために、資産を売り一時しのぎしている状態なのです。
今回は一時的な利益のおかげで最終黒字になりましたが、商売を立て直さない限り今後さらに財政状態が悪化していくことは目に見えています。
そんな中、大塚家具をめぐって今後を占うニュースが飛び交うようになってきましたね。
近いうちに新たな展開があるのかもしれません。
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まとめ
本文中の<ポイント1><ポイント2>の回答をまとめると、こうなります。
<ポイント1>営業赤字、経常赤字となったにも関わらず、最終的な損益である四半期純利益が黒字になったのはなぜ?
→固定資産や投資有価証券といった資産を売却したことで、一時的に大きな特別利益を得ることができたから。
<ポイント2>前年同期と比べると売上高が減っているにもかかわらず、各利益は増えているのはなぜ?
→賃借料、人件費、広告費といった固定費を圧縮する経営努力の結果、販売費及び一般管理費が大きく減ったため。
さらに税引前四半期純利益、四半期純利益に関しては、<ポイント1>に登場した特別利益の存在も大きい。