同じ固定資産に所属する有形固定資産と無形固定資産。
両者の相違点と共通点をまとめました😊
有形固定資産と無形固定資産の概要についてはこちら(↓)
2つの決定的な違いとは?
見た目に雲泥の差!
これが最も分かりやすい違いですね。
建物、機械、土地…といった具体的な形を持つのが有形固定資産です。
特許権やソフトウェアなどに代表される無形固定資産の場合、具体的な形を見ることはできず、つかむこともできません。
特許権に代表されるように、無形固定資産は法律によって与えられた「○○できる」権利を含みます。この他、コンピューターのプログラム(ソフトウェア)、M&Aによって獲得した顧客リストや技術などがあります。
減価償却方法のバリエーションに差
有形固定資産も無形固定資産も、減価償却を行うという点では同じです。
減価償却とは、固定資産の残高を年々減らしていく会計のルールのことです。
実は、この残高の減らし方にも何通りかパターンがあります。たとえば、毎年同じ金額だけ残高を減らしていく方法、使用し初めの頃に大きく残高を減らす方法などがあります。
一般的に無形固定資産の場合、毎年同じ金額だけ残高を減らしていく方法(定額法)がとられます。
これに対し、有形固定資産はその実態にあわせた各種の方法が採用されていますね。
ですが、昨今は有形固定資産も毎年同じ金額だけ残高を減らしていく方法(定額法)に統一されていく動きにあります。
表示方法のバリエーションにも差
決算書(貸借対照表)には、有形固定資産と無形固定資産の残高が表示されます。
残高とは、取得した当初の金額から今まで減価償却した金額を差し引いた残額のことですね。
残高の表示方法には、2種類あります。
1.残高のみ表示する方法
2.A:取得した当初の金額、B:今まで減価償却した累計額(減価償却累計額)、C:AからBを差し引いた残高、これら3つを並べて記載する方法
2の詳しい表示方法については、こちら(↓)
企業によって採用する方法は異なりますが、有形固定資産は1と2のいずれの方法でも表示することができます。
一方、無形固定資産の場合は1の方法一択です。
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意外と多い⁉2つの共通点とは?
やはり固定資産であること
有形固定資産も無形固定資産もその形状はまったく異なるものの、いずれも固定資産であるという絶対的な共通点があります。
ゆえに、固定資産の特徴である「長期間利用すること」「企業の収益向上に役立つこと」という性質は同じです。
目に見えるかどうかに関係なく、将来企業にキャッシュをもたらしてくれる存在なのです。
購入当初の金額の求め方
有形固定資産も無形固定資産も、それらを取得するためにかかった費用(購入費用や自社で作る際にかかった費用)がその固定資産の金額になります。
その後、減価償却や減損処理を通じて金額が減らされていくんですね。
減価償却すること
ここまでにも何度かお話が出ていますが、有形固定資産も無形固定資産も減価償却を行うという共通点があります。
減価償却を行うと、固定資産の価値の低下に応じて年々残高が減らされていき、同時に減った金額だけ減価償却費という費用が発生します。
減価償却のキホンの解説はこちら(↓)
また、一部の資産については減価償却しないことも共通しています。
有形固定資産であれば土地や建設仮勘定、無形固定資産であれば借地権や電話加入権(IFRSを適用していればのれんも)については、年月を経ても価値が減らないなどの理由から減価償却をしません(建設仮勘定は、そもそも使用開始していないため減価償却をしません)。
減損処理される可能性があること
有形固定資産も無形固定資産も、「将来、企業にキャッシュをもたらす」という意味で価値が認められ、資産として金額が付けられています。
しかし、事業の調子が悪くなったなどの理由でその価値が下がったとなれば(つまり、「将来、企業にキャッシュをもたらす」力が弱まったら)、表示する金額も一度に減らさなくてはなりません。
こうして、価値の低下に合わせて固定資産の残高を切り下げることが減損処理です。同時に減損損失が発生します。
減損処理をすると、有形固定資産も無形固定資産も巨額な減損損失を生み出すことがあります。事業が不調なうえ、大きな減損損失を被るために、余計に損益が悪化しやすいのです。
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まとめ
1.有形固定資産と無形固定資産の相違点は、目に見えるかどうか以外に、減価償却方法や決算書での表示方法のバリエーションに差がある。
2.有形固定資産と無形固定資産の共通点は、固定資産としての性質以外に、金額の求め方や、減価償却・減損処理することなどがある。