1人当たり売上高の計算式を見てみよう
1人当たり売上高とは、その名の通り、従業員1人当たりがどれだけの売上をあげているかを測る指標です。
売上高を従業員数で割ることで求めるんですね。
ここでのポイントは、対象とする期間の平均従業員数を使うということです。たとえば、2017年度の1人当たり売上高を求めるのであれば、2017年度1年間の平均従業員数を使います。
従業員数は期中を通して変動します。売上高は1年間通して獲得した金額を使うのに、従業員数だけ一時点の数値を使うと整合しませんよね😊
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従業員数を調べる方法
従業員数が公表されている場所とは?
有価証券報告書には、決算日時点の従業員数が載っています。
具体的には、こちら(↓)に掲載されています!
従業員数の掲載場所
有価証券報告書
→ 第一部 企業情報 → 第1 企業の概況 → 5 従業員の状況
ココを見れば、正社員だけでなく、パート・アルバイトといった臨時従業員の人数も分かります。
計算に使うにはひと手間必要!
1人当たり売上高の計算に用いる時は、この数字にひと手間加える必要があります。有価証券報告書には決算日という一時点の従業員数が載っている一方で、計算には平均従業員数を使うためです。
そこで、前年度の決算日の従業員数と当年度の決算日の従業員数を平均することで、1年間の平均従業員数を求めます。各月の変動を加味した厳密な平均人数を求めることはできませんが、これでおおよその平均人数は分かります。
なお、臨時従業員数についてはもともと期中の平均人数が掲載されていますので、この人数をそのまま使えば大丈夫です!
1人当たり売上高を使った分析方法とは?
過去の数値と比べる
時系列で推移を見てみることで、1人当たり売上高の変化が分かります。
数値が上がっていれば、より有効に従業員を活用できるようになったと言えますね😊同じ金額の売上高を稼ぐにしても、人件費がかかりにくくなっている状態です。
一方で、数値が下がってしまっていたら…
手待ち時間が増えている?サービス提供に手間がかかっている?新入社員の育成に時間をかけている?…などが想像できます。
従業員へのお給料(つまり人件費というコスト)の使い方が非効率になっている可能性も考えられるのです。
同業種の企業で比べる
業種によって収益を稼ぐモデルが違うため、1人当たり売上高の水準も異なってきます。
同業種間の企業と比べてみることで、その企業が人員を効率的に使えているかが浮かび上がってきますね。
大幅改善!リンガーハットの戦略とは?
ジャンプアップした1人当たり売上高
リンガーハットは、「長崎ちゃんぽん」や「とんかつ濱かつ」を展開している企業です。実は、リンガーハットの1人当たり売上高は大きく変化しています。
さっそくですが、2010年代の1人当たり売上高の変遷を見てみましょう!
リンガーハットの1人当たり売上高
2011年2月期:676万円
2014年2月期:722万円
2017年2月期:816万円
6年間で1.2倍以上に数値が引き上げられています。これは、リンガーハットの努力と工夫の積み重ねによって達成した数値なのです。
秘訣はリンガーハットの経営原則にあり
リンガーハットの経営原則は、「売上最大、経費最小、時間最短」です。この原則を忠実に守り、経費削減を徹底している企業なのです。
この原則に基づき、店舗で取り入れた工夫としては、ドライブスルーやセルフサービス方式があります。より少ない従業員で大きな売上高を生み出す仕組みを導入したのです。
また、間接部門では、従業員の能力向上に注力するとともに事務手続きのシステム化を進め、少数精鋭の企業体制を目指しました。上記の6年間で売上高も店舗数も1.3倍以上に拡大しましたが、パート・アルバイトを除いた従業員数は減っていることにもその成果が表れていると言えます。
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まとめ
1.1人当たり売上高とは、従業員1人当たりがどれだけの売上をあげているかを測る指標である。
2.計算に用いる従業員数は、平均人数を使用する。
3.時系列の推移を見たり、同業種の企業と比べることで、従業員を有効に活用できているか、人件費がムダに使われていないかを知るヒントになる。