流動比率が100%を切るとどうなるの?破綻前のスカイマークから学ぼう!

 

流動比率とは?

会社を存続させるためには、売上を成長させ、利益を獲得していくことが大切です。そして、それと同じくらい大切なのが「日々の支払に対応すること」です!

請求される支払いや返済に応えられなくなれば、それは即ち倒産を意味するからです。

 

流動比率を使えば、短期的な視点に特化し「今日明日の目先の支払いを行う力」を測ることができます。

流動比率の計算式

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債

 

この計算式を簡単に書き換えると…

 流動比率

=(現時点で判明している1年以内の収入+現預金)÷(現時点で判明している1年以内の支出)

となります。

 

流動比率が100%以上であれば、「現時点で判明している1年以内の支出」をカバーするだけの収入や現預金があると考えられるのです。つまり、短期的な支払いには対応できるであろうと判断できます。(※ただし、流動資産には前払金等のように換金されない資産も含まれます。そのため、流動比率の理想値は200%とされます。)

ただし、あくまで「現時点で判明している」資産・負債を基準にしているため、流動比率が100%を切っていても問題なく事業を続けられるケースもあります。逆に100%をやっと超えている位のレベルだと、突然の大きな支払いには対応できないこともあります。

 

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スカイマークに見る、流動比率が100%を切ることのリスク

経営破綻直前の流動比率は…?

スカイマークは2015年に経営破綻した航空会社です。

経営破綻に陥る直前の2014年12月末、スカイマークの流動比率は75%でした。やはり100%を切っていたのです。

 

もちろん流動比率が100%を切っていても、継続的な収入があれば何とか事業を続けることができます。

しかしこの年のスカイマークは、非常にシビアな状況に置かれていました。縮小する売上高をよそに、航空機の増加によって支出がふくらみ続け、事業から得られるキャッシュがマイナスになっていたのです。

迫りくる支払いの請求に追い詰められ、資金繰りに窮したことは想像に難くありません。

結局、流動比率が100%を切ってから1年も待たずに、スカイマークは経営破綻という選択をしました。

 

流動比率が100%を切る前から予兆はあった

実は、経営破綻から3か月ほど前の2014年9月期(2014年度第2四半期)までは流動比率は100%を超えていました。

つまり、流動比率が100%を下回ったのは、経営破綻の本当に直前だったのです。

もしスカイマークの株主だったら、もっと前に異変に気付きたいところですよね。もう少し前の流動比率から、経営破綻の兆候に気づく方法はないのでしょうか?

 

時系列で見ると流動比率に変化が…!

そこで見て頂きたいのは、時系列で見た流動比率の変化です!

こちらは、スカイマークが破綻する前、約3年間の流動比率です。

 2012年3月末 → 262%

 2013年3月末 → 225%

 2014年3月末 → 139%

 2014年12月末 →  75%

スカイマークの流動比率は、実は毎年数値を下げていたのです。特に2013年3月末以降は、加速度的に悪化しています。

 

流動比率が悪化した理由とは!?

流動比率が下降した最も大きな要因は、現預金が減ってしまったことです。つまり、流動比率の分子である流動資産が少なくなったのです。

この頃のスカイマークは、LCCとの運賃競争の激化に苦しんでいました。さらに、円安で燃料費が膨らんだ上、より多くの顧客を乗せるために導入した航空機が費用を増大させたのです。こうして、スカイマークの収益性はみるみるまに悪化し、事業から得られるキャッシュも縮んでいきました。

苦しむスカイマークに更にのしかかったのが、大型航空機エアバスの支払いです。新たな顧客の獲得を狙ってエアバスを発注したのは、まだ業績が悪化する前の2011年でした。さらなる成長のエンジンをかけてくれるはずだった大型機が、経営が悪化した時期に巨額の支払い請求となって押し寄せてきたのです。

 

とうとう自前の資金ではやり過ごすことが厳しくなり、経営破綻前の3か月ほどの間にスカイマークは資金の借入れをしました。短期借入金の登場によってポンっと流動負債が膨らんだことで、流動比率は100%を切ったのです。

 

流動比率の変化にも注目しよう!

「流動比率が100%を切っているかどうか」という視点だけだと、経営破綻の直前までスカイマークの異変に気づくことができません。しかし、流動比率は、その急激な数値の下降ぶりによって、スカイマークに起きている良からぬ事態を教えてくれていたのです。

流動比率を見る時には、100%という目安に基づくだけでなく、過去から数値が悪化していないかにも着目してみましょう!もし、数値が悪化しているようであれば、その理由を探ることで、経営に苦しいポイントが無いかが見えてくるはずです。

 

 

100%を切った流動比率と固定長期適合率との関係

実は、流動比率と固定長期適合率は表裏一体の関係です。

流動比率が100%を切っているということは、同時に固定長期適合率が100%を超えていることを表しています。これは、投資にかかったお金(固定資産)を1年以内に流出する資金(流動負債)によってまかなっている状態を示します。

先ほどのスカイマークの例で言うと、購入した航空機(固定資産)の支払いを、1年以内に返済すべき短期借入金など(流動負債)によってまかなっている状態です。航空機(固定資産)は長期的にリターンを得ていくものなので、航空機から十分な収益を得る前に、短期借入金の返済に必要な資金が底を尽いてしまうおそれがあります。

 

固定長期適合率については、こちら(↓)で詳しく解説しています。

固定比率と固定長期適合率をわかりやすく解説!目安・計算式・100%以下の意味とは?

2017.11.07

 

 

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まとめ

1.流動比率は、短期的な支払いを行う力を測る指標である。「流動資産÷流動負債」によって求められる。

2.流動比率が100%以上であれば、「現時点で判明している1年以内の支出」をカバーするだけの収入や現預金があると考えられる。理想値は200%以上である。

3.流動比率を見る際は、100%という目安に基づくだけではなく、過去から数値が悪化していないかという点に着目することで経営状態の異変が見えてくることがある。

4.流動比率が100%を切っている状態は、同時に固定長期適合率が100%を超えている状態を表す。投資から十分な収益を得る前に、手元の資金が尽きてしまうリスクを示唆する。

 

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