高島屋の2018年2月期の決算内容が発表されましたね😊
インバウンド需要をうまく吸収して増収増益を達成し、売上高1兆円まであと1歩という所まで来ました!
その高島屋が、翌期(2019年2月期)は減益となる予想を発表しているのです。まだまだ好調な売上が見込まれる中、利益を押し下げようとしているものとは何でしょうか?
今回は、高島屋の減益が見込まれる理由をひも解いていきます。
目次
2019年2月期にはプラスの要素もある!
「減益」という2文字のインパクトが強いあまり、業績予想発表後の高島屋の株価は大きく下落に転じました。
ですが、2019年2月期にはネガティブな要素だけが詰め込まれているわけではありません。
2018年2月期の好業績の立役者ともなったインバウンド需要の恩恵が引き続き見込まれることに加え、シンガポールや上海といった海外の高島屋で増収が予想されています。
これらのプラス要因によって、2019年2月期の営業収益(売上高に該当)は増収が予想されているんですね。
にもかかわらず、減益見込みが発表されたのは、経費が増えると予想されているからなのです。
次のパートから、その理由を見ていきましょう😊
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理由① 前期にあった大きな収益が当期はない
何らかの理由で、前期にだけあった大きな収益が当期はない。結果、当期の利益が大きく落ち込んでいるように見える。
新聞などでは、これを「反動減」と呼んでいます。消費税増税前の駆け込み需要があった翌年には、頻繁にこの言葉が使われました。
高島屋の利益は、百貨店業と不動産業という2本の柱によって支えられています。不動産業では、主に商業デベロッパーを担っていますね。
2018年2月期の不動産業は、マンション販売によって収入が増えました。一方で、翌年2019年2月期には同様の大きな収入がないために、利益減少が見込まれています。
高島屋の営業減益幅のうち、3分の1ほどがこの理由によって占められています。
2019年2月期の不動産業で減益が見込まれる理由を、高島屋自身が「反動減」という言葉で説明しています。このことから、不動産業自体の収益性が悪化するというよりも、2018年2月期の売上増加が一時的な要因によるものだったという解釈ができます。
理由② 従業員へのお給料が増える
国内百貨店事業では、2019年2月期に人員が減る見込みであるにもかかわらず、人件費は増加するようです。
その理由は、従業員への賞与や賃金が増えるためです。
好調な業績を受けて賃上げをしていることや、昨今の人件費高騰を受けてパート・アルバイトの時給が上がってきていることが考えられます。
理由③ 新たなプロジェクトのための費用が増える
減益の理由として、メディアでも高島屋自身でもこちらの内容を最も強く取り上げていますね。
この内容を一言で表すならば「先行投資」です。
2019年2月期には、まず高島屋日本橋店の東館、新館がオープンします。従来からある日本橋店本館を含め、大規模な商業施設に生まれ変わるのです。
さらに、タイのバンコクでも新店がオープンします。
これらの新たな店舗を開業させ顧客を呼び込むために、宣伝費や庶務費などが数十億円単位で増える見込みなのです。
「新店開業」という2019年2月期特有のイベントが一時的に販管費を膨らませることで、利益が圧迫されてしまうのですね。
さらに、2019年2月期の日本橋店は減収が予想されていることも、減益幅に拍車をかけています(減収の理由は公表資料からは分かりませんが、日本橋店本館のリニューアルが行われることが関係しているのかも(?)しれません)。
また、顧客・商品データ基盤を整備するシステム等を改修する費用も5年間にわたって発生していく予定です(総投資額128億円)。
これらの費用に共通するのは、将来の収益拡大または費用の削減のために投じられているということです。
一方で、その投資効果が十分に発揮される前段階で費用がかかってくるために、ぱっと見ただけではただ費用が増大しているように感じるのですね。
2019年2月期は利益を落ち込ませるほどのコスト増加が見込まれるものの、この先行投資効果がうまく発揮されれば、それ以上の金額が収益(または費用の減少)となって返ってきます。
そのため、高島屋としては2020年2月期以降は投資効果が費用を上回っていき、利益もV字回復すると見込んでいます。
高島屋の実力は2019年2月期だけでは分からない
現状を超えた大きな収益を狙うには、やはり、それに見合った投資コストが必要になってきます。
高島屋の真の実力を知るには、コストが大きくかかる2019年2月期だけではなく、その後に発現する投資効果も合わせて考えなくてはなりませんね。
一方で、2019年2月期には、人件費のように先行投資以外でも増える費用があります。新たな店舗ができることで、減価償却費も増えるでしょう。
2019年2月期に利益が減ってしまうのは、先行投資のような一時的な費用だけではなく、その後も継続して発生する費用も原因の1つであることも頭に入れておかなくてはいけません。
それらすべてを飲み込むような成長路線へ高島屋がアクセルを踏み込めるのか、まずは巨大商業施設へリニューアルされる高島屋日本橋店が消費市場にどう受け止められるか、そして引き続き海外旅行客を引き付けられるのかにも注目していきたいですね😊
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