【丸わかり】自社株買いとは?メリット・ROEへの効果も解説!

 

今回のテーマは「自社株買い」

「自社株買い」の意味やメリット、決算書での表記方法など、「自社株買い」にまつわるキホンを解説していきます😊

1000億円にも上った日本郵政の「自社株買い」を事例に、理解を深めていきましょう。

 

さくっと理解!「自社株買い」とは?

企業が発行した株式は、通常、第三者である投資家や経営者が買います。

そんな中、発行した当事者である企業自身が株式を買うこともあるんですね。これを、他と区別して「自社株買い」と呼びます。

「自社株(自社株式)」とは、その名の通り「自分で発行し、かつ、自分で買い付けた株式」を表すのです😊

 

この「自社株買い」は、大企業も含め多くの企業で行われています。

たとえば、日本郵政は2017年9月に1000億円もの自社株を買い付けました💰

日本郵政はすでに民営化の道を歩んでいるとはいえ、いまだ政府が持っている日本郵政株が多くあります。

この時の「自社株買い」は、政府が持っている日本郵政株を日本郵政自身で買い受けるために行われました😊

 

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なぜ貸借対照表でマイナス表示するの?

自社株は決算書のどこに表示される?

企業が「自社株」を持っているかどうかは、貸借対照表(BS)純資産の部を見れば分かります。

「自社株」のことを、会計用語では「自己株式」と表します。純資産の部の内訳に「自己株式」の記載があれば、その企業が「自社株」を保有していると分かります✨

 

日本郵政の貸借対照表を例に見てみましょう!

日本郵政は、2015年11月に初めて「自社株買い」を実施しました。

そこで、「自社株買い」前の2015年9月末「自社株買い」後の2015年12月末の貸借対照表を比べてみると‥

 

このように、「自社株」買いを行った後の2015年12月末の純資産の部には、「自己株式」という欄が増設されているのが分かります。

「自己株式」の数字の頭に△が付いていますが、これはマイナスの意味ですね😊

 

 

自社株がマイナス表示される理由

なぜ「自社株」は、貸借対照表でマイナス表示されるのでしょうか?

 

企業は、株主から出資を受ける代わりに株式を交付します。「自社株買い」は、その交付した株式を株主から買い戻すことです。

つまり、買った「自社株」の分だけ、株主に出資金を払い戻しているのです💴

 

純資産の部の内訳には、株主から受けた出資金額(「資本金」と「資本剰余金」)が表示されています。

しかし「自社株」を保有している企業は、その出資金から「自社株」の金額分だけ払い戻しを行っています。

「自社株」を純資産の部の中でマイナス表記することで、払い戻した出資金を除いた実際の出資金残高を表せるんですね😊

 

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「自社株買い」がROEに与える効果とは?

「自社株買い」のメリットは、ズバリ、ROEの数値を高められることです!

近年注目されているROE。この効果を目当てに、「自社株買い」を進めた企業も多く見られました。

 

ROEとは、「株主からの出資金を効率的に使えているか?」を見る指標です。

数式で表すと、

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本(出資金や利益の蓄積などの合計)× 100

となります。

一見、利益をたくさん稼いでいるように見えても、自己資本が多ければROEは低くなります。こうなると、株主から「自分達が出資したお金を効率的に使えてないのではないか?」という疑問を持たれかねないのです😓

【初心者向け】ROEをわかりやすく解説!意味・計算式・高める方法とは?

2017年11月13日

 

「自社株買い」をすると、

株主からの出資金が減る = 自己資本が小さくなる

という現象を引き起こすことができます。

つまり、ROEの計算式の分母(自己資本)が小さくなるので、利益の額が変わらなくともROEの改善を実現できてしまうのです!

 

 

他にも「自社株買い」のメリットがある!

「自社株買い」はROEを改善する以外にも、1株当たりの価値を高める効果をもたらしてくれます✨

「自社株」を買い取ることで市場に出回る株式数が減るため、結果的に1株当たりの利益が高まるためです🚀

このような「自社株買い」は、株主還元策として行われていますね。「自社株」買いが発表されると、好感されて株価が上昇するのはこのためです。

 

このように、株主目線を気にする企業にとって、「自社株買い」は株主からの評価点を上げるとっておきの方法なんです😊

 

 

ちなみに、2017年9月の日本郵政の「自社株買い」はまた違う意味も持っています。

同9月に政府が日本郵政株を売却、つまり市場に放出しました。その株数があまりに膨大であったため、株式の需給バランスが悪くならないように、その一部を日本郵政自身が買い取ったのです。

 

「自社株買い」は、ROEなどの数値を良くすることができますが、利益自体を増やすわけではないことに注意が必要です🔑

最近は、株主還元を意図して「自社株買い」に資金をつぎ込むより、その分を成長投資に振り向ける企業が増えてきているようですね✨

 

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まとめ

1.「自社株買い」とは、企業が発行した株式をその企業自身が買い付けることを言う。

2.「自社株」を意味する「自己株式」は、貸借対照表純資産の部の内訳にマイナス表記される。

3.「自社株買い」をすることによって、ROEや1株あたりの価値を高める効果を享受できる。

4.「自社株買い」は、ROEなどの数値を改善することはできても、利益自体を増やすわけではないことに注意が必要。

 

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2018年4月3日

 

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