最近、ハニー姫の会社では必要以上に在庫が積み上がっていたようです。そのために、お金の使い方が非効率になっていました💰
このハニー姫の疑問こそが、棚卸資産回転率(在庫回転率)を理解する上での重要なポイントです✨
今回は棚卸資産回転率をテーマに、基礎をバッチリ押さえちゃいましょう!
お城に住むハニー姫は、一念発起しお菓子のネット販売会社を立ち上げました🐰✨お付きのウリまるに教えてもらいながら、簿記やビジネスを1から勉強しています✍
下降の一途をたどる業績を挽回するため、今は新商品の発売に向けて準備中です😊
目次
棚卸資産回転率とは何を教えてくれるもの?
実は、それを教えてくれるのが棚卸資産回転率なんですね✨
たとえば、ハニー姫の会社は300万円ほどの在庫残高を保ち続けていましたが、その中でも…
① 年間2100万円分売れる年
② 年間90万円分売れる年
というように変動があったとしたら…?
①の年であれば、1年間で持っている在庫の7倍分も売れたことになります💰✨この場合、年度の間もちょこちょこ仕入れをして在庫を補充することになりますね。
②の年であれば、1年間で持っている在庫の3分の1も売れなかったことになります💦
この在庫の売れ行き具合を棚卸資産回転率で表すと…
① 年間2100万円分売れる年 → 棚卸資産回転率 7回
② 年間90万円分売れる年 → 棚卸資産回転率 0.3回
となります!
飲食店の場合は、席数を満たすだけのお客さんが何回分入ったかを表します。
同じ1時間でも、この回数が多いほどたくさんのお客さんが来店してくれたことになりますよね😊
棚卸資産回転率の場合は、持っている在庫が何回はけたのか(=売れたのか)を表します✨
持てる在庫量が同じであっても、同じ1年間で区切って見れば、この回数が多いほどたくさんの商品が売れたことになります。
言いかえると…
この「仕入れてから売れるまでのスパン」の長さが、「お金の使い方が効率的かどうか」を測る1つの物差しになります。詳しいお話は後ほど😉🎵
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棚卸資産回転率が高い時・低い時の意味とは?目安はある?
どんな時に高くなる?低くなる?
つまり、棚卸資産回転率が高くなるのは、短期間で持てる在庫が何回もはき出される(=売れる)時です。
生鮮食品は長い時間保有しておくことができないので、仕入れから販売までのサイクルが短くなりますよね😊
一方、棚卸資産回転率が低くなるのは、持てる在庫の売れ行きが悪くなっている時です。
先ほどの「② 年間90万円分売れる年」のように、棚卸資産回転率が0.3回しかないと、年初に持っていた在庫の多くが売れ残ってしまったものと考えられます😢
棚卸資産回転率の目安とは?
もちろん業種によって、棚卸資産回転率が高くなりやすい・低くなりやすいといった傾向はあります。
そのため、どんな企業にも当てはまるような一律の目安というものはありません。
同じ商品を取り扱う企業で比較してみたり、同一企業について過去からの変化を見てみるのがおススメです✨
「棚卸資産回転率が低下=お金の使い方が非効率」のワケ
では、もし1つの企業の棚卸資産回転率が過去と比べて低くなってきたとしたら、どう考えればいいでしょうか?
棚卸資産回転率が低くなってきている状態は、保有する在庫のうちの売れる割合が縮んでいることを示します。
つまり、在庫とは、
🔸 お金が形を変えたものである
と同時に、まだ販売されていないために
🔸さらなるお金の増殖に貢献できていない状態
…とも言えます。
つまり、大事なお金をわざわざ商品(在庫)に交換したのに、その商品が売れないと…
🔸 在庫に変えたお金をさらにお金を増やすことに役立てられていない💦
そのうえ!
🔸 在庫に変えてしまったお金は、他の用途に使うことができない😨
…と、貴重なお金がその役割を発揮できない状況に押し込まれてしまうのです。
ゆえに、棚卸資産回転率が低くなっている状況は、見方を変えると「お金の使い方が非効率になっている」状態とも取れるんですね。
このように、需要に見合った在庫を持っていないと、かえって販売する機会(=お金を獲得する機会)を失ってしまうのです(機会損失)💦
棚卸資産回転率も単純に高ければいい…というものではないのですね。
ちなみに、翌期に大きな販売を控えている時の企業は、来たるべき販売に備えて多額の在庫を用意していたりします。
なので「お金の使い方が非効率」になっているかどうかは、その企業の販売計画や戦略とも照らし合わせて判断する必要がありますね✨
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【図解】計算式の意味を知りたい方へ♪在庫販売時の決算書の変化をおさえよう!
棚卸資産回転率の計算式を理解するためには、「在庫が売れると決算書がどう変化するのか?」を知っておく必要があります😊
ということで早速、決算書を使って、企業が在庫を販売した時の様子を見ていきましょう!
この時、この企業は棚卸資産(在庫)を300万円持っていました。
※分かりやすいように、今回登場する以外の勘定科目は記載していません。
まだ年度が始まったばかりなので、収益と費用は発生していないようです。
ちなみに、この時は現預金を持っていませんでした😅
↓ ↓ ↓ この棚卸資産300万円が販売価格500万円で売れました💰
※ 決算の段階では、貸借対照表(ピンク色の線より上)と損益計算書(ピンク色の線より下)が一体となった形(試算表)をしています(詳しくはこちら→♥)
棚卸資産が販売されたことで、販売代金の500万円分だけ売上高(収益)があがっていますね✨
さらに、受け取った代金500万円分だけ現預金(資産)も増やされています💰
資産に含まれていた棚卸資産300万円が消えていますね😲
これは、お客さんのもとに引き渡されたことで、棚卸資産が無くなったことを表しています。
その代わり、同じ300万円分だけ売上原価(費用)が増えています!
販売前に計上されていた棚卸資産300万円という金額は、その棚卸資産を仕入れたり製造したりするのにかかった金額を表していました。
棚卸資産が販売されたことで、この300万円がようやく収益獲得に貢献したのです✨
そこで、棚卸資産の販売によって売上高(収益)が計上されるタイミングに合わせて、売上高獲得のためにかかった金額である300万円を売上原価(費用)に計上したんですね😊
(★ご参考:費用収益対応の原則)
今ウリまるが言った大切なポイントを念頭において、棚卸資産回転率の計算式を見てみましょう!
棚卸資産回転率の計算式をチェックしよう
先ほどのパートの内容をおさらいすると…
「売上原価とは、販売された商品(棚卸資産)の金額である」と言えますね😊
これを踏まえて、棚卸資産回転率の計算式をチェックしましょう✍
棚卸資産回転率 = 売上原価 ÷ 棚卸資産残高(※)
※ 棚卸資産残高の平均値(期首と期末の平均残高など)を使うことが多いです!
この計算式は、以下のような文章に置き換えることができます😊(1年間を対象にして計算した場合)
「1年の間に販売された商品(=売上原価)は、保有している棚卸資産残高の何倍あったか?」
つまり…
「1年間で、棚卸資産は何回はけたのか?(=売れたか?)」
を算定するための式なのです!
そのため、棚卸資産回転率(棚卸資産が何回はけたか?)が高くなっていれば、仕入れから販売までのスパンが短くなっている(=お金の回転が良く、効率的に使われている)ことが分かります✨
反対に、棚卸資産残高が増えていなくても棚卸資産回転率が低くなっていれば、それだけ企業内に棚卸資産がとどまりやすくなっていると言えます。
これは、棚卸資産がなかなか販売に結び付かないために、せっかく棚卸資産に変えたお金が販売収入に貢献しにくくなっている状況です。
企業の扱う商品や販売規模によって棚卸資産の残高は大きく変わります。
そのため、棚卸資産残高を見ただけでは、その水準が適切かどうかは分かりません。
そこで、棚卸資産残高と実際に販売された商品の金額(=売上原価)とを比較することで、
「需要に照らして棚卸資産残高を持ちすぎていないか(=お金の使い方が非効率になっていないか)」
をチェックすることができるようになるのです✨
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まとめ
1.棚卸資産回転率は、「持っている在庫が何回はけたか?(=売れたか?)」を表す。つまり、「需要に対してどれくらいの在庫を持っているか」が分かる指標である。
2.短期間で持てる在庫が何回もはき出される(=売れる)時は、棚卸資産回転率は高くなる。反対に、持てる在庫の売れ行きが良くない時は、棚卸資産回転率が低くなる。
3.棚卸資産回転率は、同じ商品を扱う企業間で比較したり、過去からの変化を見るなどして分析するのがおススメ。
4.販売されない限り、在庫に変わったお金は、さらにお金を増やすことに役立てられない。そのため、棚卸資産回転率が低くなっている状況は、「お金の使い方が非効率になっている状態」とも取れる。
5.【棚卸資産回転率の計算式】
棚卸資産回転率 = 売上原価 ÷ 棚卸資産残高(※)
※ 棚卸資産残高の平均値(期首と期末の平均残高等)を使うことが多い