【超初心者向け】資産除去債務とは?具体例でわかりやすく解説!

 

「資産除去債務とは何?」について、簡単に(×2)解説していきます😊

決算書で見かけた際に、ざっくりと理解できるようにしていきましょう!

 

資産除去債務は資産?負債?

資産なの?債務なの?なんとも分かりにくいネーミングですが、資産除去債務負債の1つです。

負債の大きな特徴は、「将来の支出を表す」ということです(一部例外あり)。もちろん資産除去債務も、この性質を持っています!

詳しい負債の解説はこちら(↓)

負債にはどんな種類があるの?JR東日本の負債を見てみよう!

2018年1月5日

 

では、資産除去債務はどんな「将来の支出」を表しているのでしょうか?次のパートで見ていきましょう😊

 

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資産除去債務の意味とは?具体例を見てみよう

小売業の資産除去債務とは?

たとえば、お店を開くために土地を借りることがありますよね。

営業するにあたっては、借りた土地に店舗となる建物を設置することになるでしょう。多くの場合、土地の賃借契約では「土地を返すときは、元の状態に戻してください(原状回復義務)」と定められています。

そのため、将来、土地を返す際には、設置した建物等を撤去する支出が生ずるのです。つまり、将来の「資産除去(建物の撤去)」についての支出が発生することが、契約によりあらかじめ分かっているんですね。

これが、資産除去債務が表す「将来の支出」なのです😊

このようにして見込まれている「将来の支出」を現在の価値に直したもの(=割り引いた金額)が、決算書に表示されている資産除去債務の金額です。

 

このように資産除去債務とは、将来における有形固定資産の除去に関して、法律や契約で要求されている義務のことです。有形固定資産の除去が義務付けられておらず、自発的に行う場合は、資産除去債務の対象ではありません。

 

そのほか、資産除去債務にはこんなケースも

その他有名なのは、アスベストに関する資産除去債務ですね。

アスベストは以前の建材に多く使われていた物質で、健康被害が訴えられているのです。そのため、建物を解体する際にアスベストを除去することが、法律で定められています。

企業は、将来のアスベスト除去費用を調査し、資産除去債務として負債に含める必要があるのです。

 

スタバにも資産除去債務が!

スタバはすでに上場廃止しているために今現在の決算書は入手できませんが、最も直近の貸借対照表(スターバックスコーヒージャパン 2014年12月末)を見てみると…

50億円近くの資産除去債務が載っています!

全国に店舗を展開しているスタバは、日本各地に多くの土地を借りています。将来、それらの土地から建物を撤去する費用を積み上げると、なかなかの金額になるのでしょう。

さらに、借金を持たないスタバジャパンは、そもそも負債が小さめの企業です。そのため、負債の18%を占めてしまうほど、資産除去債務が存在感を発揮しているのです

 

ちなみに、スタバの負債で最も大きい割合を占めているのは、スターバックスカードの前受金ですね(※2014年12月末時点)。

 

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利益にはどんな影響があるの?

撤去費用は、何年もかけて少しずつ費用になる

資産除去債務は、将来の支出を表しているものです。つまり、その支出に対応する費用がどこかの時点で発生することになります。

その時点とは、将来支出が行われるタイミングではないのです。

 

実は、将来の有形固定資産の除去にかかる金額(=資産除去債務の金額)は、その有形固定資産を使う期間にわたって少しずつ費用になっていきます。どこかの年にドカッと費用が発生し、利益を大きく減らすわけではないんですね。

 

少し会計的なお話になりますが、この理由を次のパートで簡単にご説明します😊

 

減価償却を通して費用になる

会計のルールでは、資産除去債務を負債に計上すると、同時に同じ金額だけ関連する有形固定資産の金額が増えます。つまり、資産が増えます。

有形固定資産は、減価償却を通して、使用する期間にわたり少しずつ費用に変わっていきますよね。

資産除去債務の計上に伴って増えた有形固定資産も同じく、減価償却を通して、毎年少しずつ費用に変わっていくのです。

このように減価償却という仕組みを通して、将来の撤去費用は何年もかけて費用に変わっていくのです。

 

減価償却の詳しい解説はこちら(↓)

初心者向け「減価償却とは?」のやさしい教科書!意味やメリットをわかりやすく解説

2017年11月12日

 

 

資産除去債務が急増している企業~いきなり!ステーキの例~

スピード感をもって規模を拡大させている企業では、資産除去債務が急増しているケースが見られます。

たとえば、「いきなり!ステーキ」を経営しているペッパーフードサービス。資産除去債務の金額は、「いきなり!ステーキ」や海外「ペッパーランチ」の出店増を反映しています

ペッパーフードサービスは、借りた建物に、内装を仕掛けたり設備を設置することで店舗を作っています。

つまり、建物から退去するときは、これらの設置物の撤去費用が発生しますね。これが、資産除去債務のモトとなっているのです。

 

2014年12月末の「ペッパーランチ」は318店舗、「いきなり!ステーキ」は30店舗でした。

そこから3年弱経った2017年9月末の「ペッパーランチ」は437店舗、「いきなり!ステーキ」は155店舗にまで増えています。

資産除去債務の金額を比べてみると、

★ 2014年12月末:0.7億円

★ 2017年9月末:2.4億円

と、3年弱で3倍以上に膨れ上がっていますね。

 

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まとめ

1.資産除去債務とは、将来における有形固定資産の除去に関して、法律や契約で要求されている義務のことである。賃借した土地や建物から退去する際の原状回復費用などが該当する。

2.資産除去債務を計上すると同時に、同額が有形固定資産に付け加えられ、減価償却を通して毎年費用になっていく

3.出店拡大している企業では、資産除去債務が大きく増える傾向にある。

 

つまり、減損するとどうなるの?キホンの意味と業績への影響を簡単に知ろう

2017年12月13日

 

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