目次
まずは、ざっくりと利益剰余金を理解しよう
どこに表示されているの?
利益剰余金は、貸借対照表の純資産の部というグループの中に表示されています。
純資産の部のトップには株主資本という項目が表示されており、この4つの要素から構成されています。
● 資本金
● 資本剰余金
● 利益剰余金
● 自己株式
利益剰余金は株主資本の構成要素の1つということになります😊
利益剰余金の内容とは?
利益剰余金とは、主に、企業が今まで稼いだ利益を積み上げたもののことです。企業が稼いだ利益は、毎年利益剰余金の中に蓄積されていきます。
具体的には、利益剰余金はこちらの3つから成り立っています。
● 法律で積み立てが義務付けられている利益準備金
● 企業が任意に積み立てる任意積立金
● 毎年の利益が積み上げられた繰越利益剰余金
任意積立金と繰越利益剰余金を合わせて、その他利益剰余金と呼びます。
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利益剰余金の求め方とは?増える・減るのはどんな時?
どんな時に増えるの?
利益を稼いだとき
利益剰余金が増える代表的なケースは利益を稼いだときです!
1年間の活動を通して最終的に企業の中に残った利益を当期純利益と言います。この当期純利益が、利益剰余金の中に毎年積み上げられていくんですね。
損益計算書の当期純利益と貸借対照表の利益剰余金は、この関係を通してつながっているのです。詳しくはこちら(↓)で解説しています。
業績が好調で、利益をたくさん稼いでいる企業ほど、利益剰余金もぐんぐん成長していきます😊
マイナス幅を補てんするとき
業績が悪いと、利益剰余金もマイナスの値に食い込むことがあります(詳しくは、後ほど解説)。
そんな時、利益剰余金のマイナス幅を埋めるために、資本金や資本準備金を充当することがあります。具体的には、充当したい金額を資本金等からその他資本剰余金に振り替えた後、その他資本剰余金から利益剰余金の補てんを行います。
これを欠損てん補といいます。純資産内での振替ですので、純資産の金額自体は変わりません。
株主への配当は利益剰余金を元手にして行うため、利益剰余金がマイナスのままでは配当を行うことができません。株主からの信頼を維持するため、いち早い配当を目指してこのような利益剰余金への補てんを行うのです。
どんな時に減るの?
配当したとき
基本的に、株主への配当は利益剰余金を元手にして行います。
そのため、毎年配当の時期に利益剰余金は減らされます。
赤字になったとき
「利益を稼いだときに利益剰余金が増える」の反対バージョンです。
赤字(当期純損失)とは、つまりはマイナスの当期純利益のことです。マイナスの当期純利益を足し込んだ利益剰余金は減ってしまいます。
そのため、業績が悪化し赤字が続いている企業は、利益剰余金が年々減っていってしまうのです😢
利益剰余金の求め方とは?
ここまでご紹介した理由の他、会計基準変更の影響などによっても利益剰余金が増減することがあります。
業績が順調な企業の利益剰余金であれば、当期純利益が出た時に増え、配当した時に減る、というサイクルを毎年繰り返すことになります。
このような企業の場合、期首時点の利益剰余金に当期純利益を足し、さらに配当額を差し引くことで、期末時点の利益剰余金を求めることができます。
このように、各要因による増減額を過去から何度も積み重ねた結果が、貸借対照表に表示されている利益剰余金の金額なのです。
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大幅復活!三菱自動車の実例を見てみよう
ここまでご紹介した利益剰余金の知識をもとに、三菱自動車の実例を見てみましょう!
三菱自動車の1年間の利益剰余金の動き(2013年度)を表したのが、以下の表です。
単位:億円
利益剰余金 (2013年度) | 増減理由 | |
---|---|---|
期首残高 | △6,880 | |
増減額 | +9,241 | 欠損てん補 |
+1,046 | 当期純利益 | |
△0 | その他 | |
期末残高 | 3,407 |
期首時点でマイナスだった利益剰余金を補てんするために、資本剰余金から欠損てん補が行われています。そこに当期純利益が足し込まれ、期末残高が大きく増えていますね。
この年から業績が回復し始めた三菱自動車は、欠損てん補を行うことで利益剰余金のマイナスを一気に解消し、再び配当できる環境を整えたのです。
この年はまだ無配当でしたが、翌期にはようやく配当が復活しました!
ところで、2013年度期首(=2012年度期末)の利益剰余金はマイナスの値でしたね。これは何を意味するのでしょうか?次のパートで解説します!
マイナスになったら債務超過なの?
利益剰余金がマイナスとなってしまうのは、業績が著しく悪化しているケースです。
当期純損失が続いたり、巨額の当期純損失を出してしまうと、そのマイナスの金額を足し込まれた利益剰余金は激減してしまいます。しまいには、利益剰余金がマイナスの領域に食い込んでしまうのです。
かなり財務状態が悪くなっているとはいえ、この段階ではまだ「債務超過に陥った」とは言いません。
債務超過とは、純資産の合計額がマイナスなってしまった状態のことです。利益剰余金のマイナス幅がさらに拡大し、他の純資産の項目すら飲み込んでしまうと、純資産がマイナスの値になるのです。
債務超過については、こちら(↓)で詳しく解説しています。
利益剰余金は何に使う?ポイントは利益剰余金≠現金!
稼いだ利益の結晶である利益剰余金を、企業はどんな風に使っているのでしょうか?
まずは、配当することで株主へ還元する方法があります。この時は、利益剰余金の金額も減りますね。
次に、設備投資を行ったり、日々の事業運営の元手にする方法があります。直接株主にお金が支払われるわけではありませんが、投資の効果で企業の業績が上向けば、結果的に株主が得することになります。
ここでのポイントは、投資に使った金額が利益剰余金から減らされるわけではない、ということです。
利益剰余金を含む純資産や負債は、あくまで企業の資金源を表すものです。他から借りた資金なのか、それとも自ら稼ぎ出した資金なのか、という資金の調達先を示すのです。
たとえば、負債の1つである借金が500万円ある場合、そのお金を投資に回したところで借金が減るわけではありませんよね。利益剰余金もそれと同じ考え方なのです。
そのため、利益剰余金が積み上がっているからといって、その企業が稼いだお金を投資に使っていないわけではないのです。
使ったら減る現預金とは概念が異なることに注意が必要です😊
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まとめ
1.利益剰余金は、貸借対照表の純資産の部の1項目として表示されている。主に、企業が今まで稼いだ利益を積み上げたものから構成されている。
2.利益剰余金は、利益を稼いだときや欠損てん補の際に増え、赤字になったときや配当したときに減る。これらの増減項目の過去からの積み上げによって、現在の利益剰余金の残高は作られている。
3.赤字が続くと、やがて利益剰余金がマイナスになる。債務超過は純資産合計額がマイナスになった状態を指すため、利益剰余金がマイナスになった段階ではまだ債務超過とは呼ばない。
4.稼いだ利益の蓄積である利益剰余金を元手に、企業は株主へ配当を行ったり、投資を行ったりする。ただし、投資を行ったからといってその分の金額が利益剰余金から減らされるわけではないことに注意!