今回のテーマは…✨原価率✨です!
…という原価率初心者の方にもわかりやすいように、1から解説していきますよ~😊
押さえておきたい!原価率の意味と求め方とは?
そもそも原価とは?サクッとおさらい!
原価率の計算に必要な要素は、たったの2つ!
売上高と売上原価です✨
原価率の原価とは、売上原価のことを指します😊
売上原価とは、販売された商品やサービスを生み出すためにかかったコストのことです🔑
小売業であれば商品の仕入代、製造業であれば材料仕入代・商品を加工する方へのお給料・工場の電気代などが売上原価に含められます。
さっそく原価率の計算式を見てみよう
ここでは、原価率の求め方を見ながら、その意味を解説していきます😊
原価率は、売上高原価率の略称です。
この名称からも分かる通り、原価率とは売上高に対する売上原価の割合を求めたものなんですね✨
言いかえると、「商品から生み出された収益に対するその商品にかかったコストの割合」です。
…という辺りをもうちょっと掘り下げてみましょうね😊
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原価率が低くなった時のメリットとは?
原価率が低くなれば、稼いだ売上高が以前と同じ金額だとしても、商品にかかるコストは以前より少ない金額で済みます✨
例:毎年1000万円の売上高をあげているお肉屋さんの場合
売上原価(お肉の仕入代)の金額次第で、原価率はこのように変化します!
🔸 前年:売上原価 …5000万円 → 原価率 …50%
🔸 今年:売上原価 …3000万円 → 原価率 …30%
前年も今年も、稼いだ売上額は同じですが、より原価率の低い今年の方が商品の仕入代にかけるお金が少なくてすみました👛✨
つまり、原価率が低くなると、より少ないコストで効率的に売上高を生み出せるようになるのです🌟
そうすると、どんないいことがあるのでしょうか?
原価率が低くなると、商品から生み出される収益(=売上高)とその商品にかかったコスト(=売上原価)の差が広がります。
つまり…売上高が変わらなくても売上総利益は増えるんです!
売上総利益(粗利)とは?
→ 販売された商品そのものから生まれた利益のこと。
売上総利益 = 売上高 - 売上原価
「利益のおおもと」である売上総利益が増えると、そこからその他の収益・費用全てを足し引きした結果である当期純利益(1年間の活動を通して得た最終的な利益)も増えます🎈
つまり、1年間の事業活動を通して得られる利益が増えるんですね✨
このように、原価率が低くなることは、キャッシュの源泉である利益を効率的に増やすことにつながるのです🔑
原価率が高い時の理由とは?具体例をご紹介します!
企業が活動をしていると、どうしても原価率が高くなってしまう時があります😨
このパートでは、よく見られる原価率が高くなる原因を4つご紹介していきます!
① 売上原価が増える
今ままでと同じ金額の売上高を稼ぐにしても、商品1つ当たりにかかるコスト(=売上原価)が増えれば原価率も高くなります😲
売上原価を増やす要因はいくつもありますが、よく見られるのはこちらの3つです!
🔸 原材料費が高騰する
🔸 人件費が上昇する
🔸 商品の生産が非効率になる
🔸 原材料費が高騰する
たとえば牛丼屋であれば、輸入牛肉価格が上昇するとその影響がてきめんに原価率に表れます!
材料(または商品)を輸入している企業は、円安によっても原材料費(または商品仕入代)が膨らんでしまいますね😨(円安の影響について詳しくはこちら→♥)
🔸 人件費が上昇する
昨今のように人手不足に陥ると、人員確保のためにアルバイトの時給などが上昇していきます。
商品を製造する従業員へのお給料が増えれば、それだけ売上原価も膨らんでしまいますね💦
🔸 商品の生産が非効率になる
たとえば、加工ミスや不良品が多発するような生産工程では、多くの材料費や人件費のムダが出てしまいます。
そうすると、一定の売上高をあげるために必要な売上原価も増えてしまうんですね(一定の商品数を完成させるために必要なコストが多いから)。
反対に、生産の自動化を進めれば人件費を、グループ内会社同士での共同仕入れを増やせば材料費を抑えられます。今まで外注していた作業を内製化することで、原価を低く抑えられるケースもありますね😊
このように、商品が完成するまでの工程で工夫を凝らし、原価率の引き下げに成功した企業も多いです✨
② 販売価格を値下げする
値下げをすると、1つの商品にかかる売上原価は変わらなくても、その商品を販売して得られる売上高は減ってしまいます。それが原価率の悪化を招いてしまうのです💦
よくあるのは、商品の売れ行きが悪く、余った在庫を処分するために行う値引き販売(セール)です(その例はこちら ↓ )。
一方で、購買客のすそ野を広げるために、あえて値下げに踏み切る企業もあります!(例:ドン・キホーテ)
この方法が成功すると、全体の原価率は上がってしまいますが、販売数量が格段にアップするために利益の総額を増やすことができるのです💰
③ 販売数量が減る
売上原価の中には、固定費(生産・販売数量に関係なく一定額発生するコスト)が含まれています。
工場で働く従業員へのお給料(残業代は除く)や、機械の減価償却費などがこれにあたりますね💡
このような固定費は、生産された商品1つ1つに分割して割り振られ、販売されたタイミングで売上原価となります✍
つまり!
販売が不調となり生産量が減ってしまうと、商品1つ1つに割り当てられる固定費が増えてしまうのです!
当然、商品1個当たりの売上原価も増えてしまいますよね💦
また、大量に仕入れをすると、仕入代金を減額してくれることがあります。すると、商品1個当たりの材料仕入代を抑えることができますね😊
販売量ひいては生産量が減ると、この仕入代金の減額分が少なくなってしまう恐れもあるのです。
④ 商品の構成割合が変わる
多くの企業では、複数の商品(又はサービス)を販売しています。その中には、原価率が高いものもあれば低いものもあります。
原価率が高い商品の引き合いが多い年は、その商品の販売割合が増え、全体の原価率も上がってしまいます💦
反対に、たとえば原価率の低いメニューを充実させたりして(例:レストラン)、全体の原価率を下げる工夫をしている企業もあります😊
このように、商品自体の価格や生産の効率性は変わらなくても、販売された商品の構成割合が全体の原価率を左右してしまうのです。
次のパートでは、マクドナルドの事例を見てみましょう🍔✨
ここでご紹介した4つの原因のうちいくつかが、マクドナルドの業績を揺さぶっていきます。
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【事例】原価率100%!?マクドナルドの苦難と復活をたどろう
マクドナルドと言えば…
一時は鶏肉の使用期限切れ問題で業績が大きく低迷しましたが、その後見事にV字復活を果たしましたね✨
そんなマクドナルドの苦難と復活の過程を、原価率を使ってたどっていきます😊
業績低迷期!原価率上昇の原因とは?
まずは、鶏肉の使用期限切れ報道(2014年)から業績が大きく悪化した様子を見てみましょう!
使用期限切れ問題発覚前からマクドナルドの業績は下降気味でしたが、問題が報道されてからは一層落ち込んでいます💦
それを顕著に表しているのが、原価率なのです✍
💫 マクドナルドの原価率(2013~2015年度) 💫
問題発覚前 2013年度 | 問題発覚&赤字転落 2014年度 | 赤字幅拡大 2015年度 |
|
---|---|---|---|
売上高 | 2604億円 | 2223億円 | 1894億円 |
売上原価 | 2222億円 | 2024億円 | 1876億円 |
原価率 | 85.3% | 91.1% | 99.0% |
2015年度には、原価率が99%に達してしまいました!これは、販売された商品から得られる売上高とほぼ同じ金額だけ、その商品にコストがかかってしまっているということです😲
そのため、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益は、売上高のうちのたった1%しか残りませんでした…。
当然、売上総利益からその他の費用(販管費や営業外費用など)や収益を足し引きした結果である当期純利益は、350億円という大赤字を記録してしまっています。
ここまで原価率が悪化してしまった理由は何でしょうか?
前のパートでご紹介した「原価率が高くなる原因」の中に、いくつか当てはまるものがあります💡
🔸 売上高が減った(原価率が高くなった原因:③販売数量が減る ②販売価格を値下げする)
やはり販売量が減少してしまうと、商品1つ1つの原価もふくらみ原価率が引き上げられてしまいます💦
以前より低調に推移していた既存店売上高も、使用期限切れ問題が発覚した2014年度、2015年度においては前年から10%以上減り、一層落ち込んでしまいました😢
収益性の悪い店舗の閉鎖を進めていることも、全体の売上高減少に響いていますね。
また、フランチャイズ店の資金繰り支援のために、フランチャイズ店がマクドナルドへ支払うロイヤルティー(※)を減額したことも原因です(※フランチャイズ店から受け取ったロイヤルティーも売上高に含まれます)。
これは、原価率に対して「販売価格の値下げ」と同様の影響をもたらします😨
🔸 原材料費の高騰(原価率が高くなった原因:①売上原価が増える)
マクドナルドのハンバーガーといえば…バンズにはさんであるパティが決め手ですよね✨
マクドナルドのビーフパティは、100%無添加ビーフで作られているそうです🍔
実は、業績が低迷を極めた2014年、2015年は、牛肉価格が高騰した時期でもありました。加えて、ここに円安が直撃したのです!
輸入牛肉を材料に使うマクドナルドは、これが売上原価を押し上げる大きな原因となりました😨
復活の兆し!原価率が下げたものとは?
販売不振に加えて改革のための費用がかさみ、大きな赤字を記録した2014~2015年度。
しかし早くもその翌年、マクドナルドの業績には復活の兆しが見え始めます✨
💫 マクドナルドの原価率(2015~2016年度) 💫
赤字幅拡大 2015年度 | 業績回復期 2016年度 |
|
---|---|---|
売上高 | 1894億円 | 2266億円 |
売上原価 | 1876億円 | 1952億円 |
原価率 | 99.0% | 86.2% |
99%にまで引き上げられた原価率が、翌年2016年度にはグッと改善されていますね!
もし売上高が2015年度と同額だったとしても、そこからより多くの利益を残せる体質に変わったのです😊✨
この1年間でマクドナルドに何が起きたのでしょうか?
🔸 売上高が増えた(原価率が下がった要因:販売数量が増えた、値上げした(対FC店))
収益性の悪い店舗を閉めたために店舗数自体は減っています。…にも関わらず、売上高が約20%も増えていますね!
これには、店舗に訪れる客数が回復してきたことが大きく貢献しているようです✨
その理由はいろいろあるのですが…
● 期間限定商品がヒットした
● 店舗のモダン化を進める改装の効果が出始めた
● コラボしたポケモンGOの集客効果があった
など、絶え間ないマクドナルドの努力と工夫が実を結び始めたようです😊
こうして商品の販売数量が増えたことで、商品1つ当たりの原価も抑えられるようになったんですね。
また、2016年度途中からは、フランチャイズ店へのロイヤルティー減額支援が打ち切られました。
これが値上げの効果を生んだために、フランチャイズ店への原価率を大きく引き下げることができたのです(2015:96%→2016:76%)。
🔸 原材料費が減った(原価率が下がった要因:売上原価が減った)
2015年度は、牛肉価格が高騰し、為替レートも円安に傾いたことで、輸入牛肉をはじめとしたマクドナルドの原材料費が膨らんでしまいました🎈
しかし2016年度に入ると、原材料費を高騰させたこれらの要因が落ち着いてくるのです✨
この流れの中で、1つ当たりの商品にかかる原価が抑えられ、原価率の引き下げに貢献しました。
🔸 商品の構成割合が変わった(原価率が下がった要因:利益率の高い商品の販売割合が増えた)
先ほどの「🔸 売上高が増えた」理由にも出てきましたが、2016年度は次々と期間限定商品をヒットさせることに成功しました🌟
期間限定商品は、内容やボリュームを充実させた分、価格帯がちょっと高めなのが特徴です。
このような高付加価値商品の割合が増えたことが、全体の原価率を引き下げる効果をもたらしたことも考えられます✨
ここでご紹介した内容以外にも、改装による店舗オペレーションの改善、不採算店舗の閉鎖による1店舗当たりの平均利益率向上といった工夫もなされています。
これらは、原価率だけではなく、売上高販管費率の引き下げにも貢献しているはずです💎
隅々にいきわたるなマクドナルドの努力と工夫が、利益を生みやすい体質への転換を促したんですね😊
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まとめ
1.原価率とは、売上高に対する売上原価の割合を表した指標である。
2.原価率が低くなると、より少ない商品コストで効率的に売上高を生み出せるようになる。つまり、原価率が低くなれば、売上高の金額は変わらなくても売上総利益が増え、結果として当期純利益が増えることにもつながる。
3.よく見られる原価率が高くなる原因としては、商品1つ当たりの売上原価が増える、販売価格が値下げされる、販売数量が減る、商品の構成割合が変わるといったものがある。