有形固定資産とは、目に見える資産であり、かつ、長期にわたって保有するもののことです。
その有形固定資産にはどのような種類があるのでしょうか?どんな企業の決算書でも見られる定番項目からちょっと変わった項目までご紹介します😊
有形固定資産の概要についてはこちら(↓)
頻出!代表的な有形固定資産
ここでご紹介するのは、「有形固定資産と言えばこれ!」というほど業種を問わずあらゆる企業で登場する項目です。
● 建物及び構築物 ★★★
● 機械装置及び運搬具 ★★★
● 工具、器具及び備品 ★★
● 土地 ★★★
● リース資産 ★★
● 建設仮勘定 ★★★
(※)★★★ …ほとんどの企業の決算書に登場する項目
★★ …ほとんどの企業とまでは言わないが、決算書でよく見られる項目
建物及び構築物
建物は事務所、本社ビル、店舗、工場などの建物を、構築物は建物以外の建造物や土木設備などを表わします。
工場をいくつも持っていたり、自前の店舗を全国に展開していると、この項目の金額が大きくなります。
機械装置及び運搬具
機械装置は製品を作る機械のほか、自動改札装置や遊園地の設備といったものも含まれます。
車両運搬具は自動車、自転車、フォークリフトなど、人やモノを運ぶ車両のことを指します。
やはり製造業を営む企業では、この項目の金額が大きくなる傾向にありますね。
工具、器具及び備品
工具とは、測定工具や検査工具、切削工具といった加工や工事に用いる道具のことです。
器具及び備品は、机や冷蔵庫といった家具・電気製品、コピー機やパソコン等の事務機器などを表します。
土地
本社ビル、店舗、工場、研究所などが建つ土地を表します。
リース資産
平たく言えば、リース資産とは借りている有形固定資産のことです。
コピー機、パソコン、自動車などにリースを利用している企業は多いですね😊
「リース契約の解約が不能である」、「購入するのと変わらない位のコストを負担している」等の条件を満たしていると、借りている資産であっても実質的にはその資産を所有しているのと同じとみなし、有形固定資産に計上します。
建設仮勘定
簡潔に言うと、未完成の有形固定資産のことです。
有形固定資産の工事や製造が完了する前に支払った代金(前払い金)は、この科目に積み上げられていきます。
大きな施設を建設している企業では、建設仮勘定の残高が大きくなる傾向にあります。
建設仮勘定の詳しい解説はこちら(↓)
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ちょっと変わった有形固定資産
決算書の定番項目ではありませんが、ちょっと変わった有形固定資産をご紹介します。
どの項目もその企業の業種の特性が良く出ていますよ😊
船舶・航空機
有形固定資産の中に「船舶」や「航空機」が表示されているのは、日本郵船です。
貨物輸送を行う日本郵船にとって、船や航空機は事業に欠かせない存在です。船に関連する事業がメインであることから、有形固定資産全体の7割ほどが船舶で占められています。
車両運搬具
通常、社用車などは「機械装置及び運搬具」に含めている企業が多いですが、ヤマトホールディングスではその重要性から「車両運搬具」として独立して表示しています。
宅急便の配達を行うヤマトホールディングスでは、配達に用いる車両が相当数に上ると考えられます。そのため、このように「車両運搬具」という項目が登場しているのですね。
ただし同じ自動車でも、トヨタやホンダのような自動車メーカーが販売用に保有している自動車は棚卸資産(流動資産)に含められます。
養殖設備
TASAKIは2017年に上場廃止してしまったため今現在の決算書を見ることはできませんが、公開されていたころの決算書には有形固定資産の項目の1つに「養殖設備」がありました。
TASAKIは真珠をあしらったジュエリーの販売で有名ですが、実は真珠の養殖・加工といった工程も手掛けています。
そのため、真珠の養殖に用いる設備を「養殖設備」として、有形固定資産に表記しているのです。
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まとめ
1.有形固定資産の中でも、業種を問わずどんな企業にも登場するのが、建物及び構築物、機械装置及び運搬具、土地、建設仮勘定である。これらは、事務所や工場の建物や土地、社用車などを表す。
2.その他、業種の特性に合わせて、船舶や航空機といった有形固定資産が独立表記されることがある。