流動負債とは何?日産自動車の具体例で理解しよう!

 

流動負債の意味とは?

流動負債は負債の1つ

貸借対照表の3大要素(資産・負債・純資産)の1つに、負債があります。

負債とは、基本的に「将来、現預金を支払う義務」(※)を表したものです。借金が分かりやすい例ですね😊

(※ 厳密には、現預金を主とした将来の資産の減少を表します。)

負債は、大きく2つのグループに分けて表示されます。その2つが、流動負債固定負債です。

 

流動負債の意味とは?

流動負債とは、以下の2つのうちどちらかに当てはまるもののことです。

1.商売のサイクルの中で生まれた負債

2.決算日から1年以内に支払い・返済が行われる負債

 

商売のサイクルとは、材料を仕入れ、商品を作り、お客様に販売する…といった一連のサイクルのことです。材料の仕入代金を後払いにした場合、この未払いとなった代金(=買掛金)は、「1.商売のサイクルの中で生まれた負債」ということになります。

また、同じ借入金でも決算日(※)から1年以内に返済されるものは流動負債に、それより後に返済されるものは固定負債に含まれます。

(※ 決算日とは、貸借対照表を作成した基準となる日のことです。)

上記の1.と2.のいずれにも該当しない負債は、固定負債のグループに振り分けられます

固定負債の意味とは?一風堂の具体例でわかりやすく解説します!

2018年2月13日

 

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どんな経営指標に使われるの?

「短期間で支払いが行われる」という性格を生かして、流動負債はいくつかの経営指標の計算に用いられます。

流動比率

短期の支払いに対応する力を測る指標です。

流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

 

スルッと理解!「流動比率とは?」計算式・目安・意味をわかりやすく解説【JALの事例付き】

2017年11月4日

 

当座比率

こちらも短期の支払い能力を測定する指標です。流動比率よりも、さらに厳しく判定します。

当座比率(%)= 当座資産 ÷ 流動負債 × 100

 

当座比率をわかりやすく解説!計算方法・意味・流動比率との違いとは?

2018年2月8日

 

 

日産の流動負債を見てみよう

日産自動車の流動負債を見てみましょう!

 

日産自動車 2017年12月末時点の流動負債  単位:億円

 項目名2017年12月31日残高
流動負債支払手形及び買掛金15,414
短期借入金10,416
1年以内返済予定の長期借入金12,245
コマーシャル・ペーパー7,328
1年内償還予定の社債3,538
リース債務283
未払費用10,403
製品保証引当金1,120
その他10,449
流動負債合計71,200

(2017年度第3四半期 決算短信より)

 

半分近くは借金が占めている

もっとも大きな割合を占めているのは、いわゆる借金ですね。2行目の「短期借入金」から5行目の「1年内償還予定の社債」までを含み、流動負債の半分近くを占めています。

販売金融業(自動車ローンなど)も手掛ける日産は、銀行から借り入れた資金をさらにお客様に貸すというスタイルをとっています。そのため、借金が膨らみやすいのです。

これは、他の自動車メーカーにも共通する特徴です。

 

なお、「短期借入金」と「1年以内返済予定の長期借入金」の違いについては、こちら(↓)で解説しています。

知っておきたい!借入金の長期と短期の違いとは?1年以内返済予定長期借入金の意味もわかりやすく解説

2018年1月31日

 

その他、自動車事業にまつわる負債がメイン

1行目の「支払手形及び買掛金」は、仕入代金のうち未払いとなっている金額です。仕入代金の将来の支払い義務を表しています。

流動負債の20%強を占めており、借金の次に大きなパートを担っています。

 

「未払費用」とは、たとえば電気料金や事務所の賃料などのように継続的にサービスを受けている場合で、受けたサービスに対して未払いになっているものをいいます。

「製品保証引当金」は、販売した商品(自動車)のアフターサービスにかかる支出を見込んで計上したものですね。固定負債にも「製品保証引当金」が計上されており、アフターサービスの支出が1年以内に見込まれるかどうかで分類していることが分かります。

以上、主な項目をざっくりと見てみました。どれも他の企業でも見られる項目ばかりですね😊

 

他にはどんな流動負債がある?

日産自動車の決算書に登場した項目以外に、どんなものが流動負債に計上されるのでしょうか?

よく見られる項目としては、以下のようなものがあります。

 

● 未払金 →

● 未払法人税等

● 前受金

● 賞与引当金 →

● 役員賞与引当金

● 資産除去債務 →

● 繰延税金負債

 

「前受金」は、商品を引き渡すより前に顧客から支払われた代金のことです(顧客にとっての前払金)。負債の中ではめずらしく、将来の支払い義務を表すものではありません。その代わり、将来商品を引き渡す義務を表します。

「繰延税金負債」は、簡単に言うと、将来税金を支払う義務のことです。

 

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まとめ

1.「将来資産を減少させる義務」を表す負債は、流動負債固定負債という2つのグループに分けて貸借対照表に表示される。

2.流動負債とは、商売のサイクルの中で生まれた負債、もしくは決算日から1年以内に支払われる負債のことである。

3.流動負債は、流動比率当座比率といった短期の支払い能力を測る指標の計算に用いられる。

 

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