粗利率とは何?
まず、粗利とは?
粗利率についてお話しする前に、粗利の意味をチェックしておきましょう!
売上高から売上原価を差し引いて求められる、おおもとの利益のこと。
粗利からその他のコストを引いたり、収益を足したりすることで、営業利益・経常利益・当期純利益などが求められる。
粗利とは、損益計算書で言う売上総利益のことですね。
★売上総利益のもっと詳しい話はこちら(↓)
粗利の計算要素である売上原価とは、商品の製造や仕入れにかかるコストのことです。企業が利益を得るためには、まずは売上高が売上原価を上回っていること(粗利が黒字)が必須条件です。
つまり、販売価格を上げたり、経費を減らすなどによって売上高、売上原価をコントロールし、ある程度の粗利を確保できるようにしなければならないのです。
★売上原価の詳しい解説はこちら(↓)
粗利率とは何を意味するの?
粗利率は、「いかに効率的に粗利を獲得できているか?」を教えてくれます。
計算式を見た方が意味をつかみやすいので、次のパートで計算方法をチェックしてみましょう!
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粗利率の計算方法をチェックしよう
粗利率の計算式
☆ 粗利率 = 売上総利益(粗利)÷ 売上高 × 100
ご覧のように、粗利率は売上高に対する粗利の割合を表します。
同じ金額だけ売上高を稼ぐ会社であっても、粗利率が高い会社の方がよりたくさんの粗利を得ることができるのです。つまり、効率的に粗利を獲得していると言えます。
粗利率は、売上高総利益率と呼ぶこともありますね。
チョコチップクッキーの例で粗利率の意味を確認しよう
たとえば、1枚100円でチョコチップクッキーを販売しているA社とB社を考えてみましょう。それぞれの会社がクッキー1枚を作るのにかかるコストは違うようです。
A社はベルギーから直輸入した高級チョコレートを使っており、1枚80円かかります。
B社は安価なチョコレートを使っているので、1枚50円しかかかりません。
材料は異なっても、販売価格は同じ100円。A社は高級クッキーを気軽に食べられるということで、人気に火がつきました。
売上高はA社が大きく差をつけたが…
この年のクッキーの販売枚数と売上高には大きな差が出ました。
A社:販売枚数10万枚、売上高1000万円(10万枚×100円)
B社:販売枚数4万枚、売上高 400万円(4万枚×100円)
ところが、それぞれの会社の粗利の金額を見てみると…
A社の粗利:200万円(売上高1000万円-売上原価800万円)
B社の粗利:200万円(売上高 400万円-売上原価200万円)
なんと、同じ金額になっています!
粗利を稼ぐ効率性はB社が圧勝
同じ200万円の粗利を稼ぐために、A社はB社の2.5倍もクッキーを売らなくてはならなかったのです。
粗利率を比べてみると、この結果が数字によく表れています。
A社の粗利率:20%(粗利200万円 ÷ 売上高1000万円 × 100)
B社の粗利率:50%(粗利200万円 ÷ 売上高 400万円 × 100)
同じ200万円の粗利を稼ぐにしても、B社の方がより少ない売上高で済むのです。つまり、B社の方がより効率的に粗利を稼いでいると言えます。
A社はより多くの枚数を売らなくてはならないので、B社よりも多くの販売員や店舗が必要となることが考えられます。
そうなると、営業利益(販売活動にかかる経費を除いた後の利益)では、B社の方が上回っているかもしれませんね。
(※低価格商品を売りにしている企業の中には、1つ1つの商品の粗利は小さくても、販売数を稼ぐことで利益全体の金額を大きくしている所もあります。ex.ドン・キホーテ)
次のパートでは、粗利率のことをもっとよく理解するために実際の企業の例を見てみましょう!
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IT企業と飲食店企業の粗利率を比較してみよう!
粗利率の目安とは?
粗利率の水準は業種によって様々です。
粗利率の数値を左右する売上原価には、商品そのもののコストがつまっています。そのため、粗利率にはその企業の商品の特徴がよく表れるんですね。
粗利率を見る際は、注目している企業の粗利率について、過去からの変化を見ることで現在のポジションをつかむことができます。
また、同業他社と比べてみるのもよいですね。
サイゼリヤとクックパッドの粗利率を比べてみよう
ここで、実際の企業の粗利率を見てみましょう!
比べるのは、全国にイタリアンレストランを展開するサイゼリヤと、インターネットを通してレシピサービスを提供するクックパッドです。
サイゼリヤの粗利率 → 65%
クックパッドの粗利率 → 95%
2つの企業で、粗利率に30%もの開きがあります。クックパッドの粗利率は、100%に届かんばかりの勢いです。
この差を生んだのは、2つの企業の商品内容の違いです。
イタリアンレストランを営むサイゼリヤの商品は、食事や飲み物です。
つまり、商品のコストである売上原価には、お客さんに提供される食材や飲み物の仕入れ代、工場で食材を加工する従業員へのお給料、その工場を稼働させるための水道光熱費などが含まれています。
商品価格の値上げ、人件費の上昇、食材費の高騰などが起こると、粗利率も変わってきます。
一方、クックパッドの事業は、運営しているレシピサイトに広告を掲載し、その広告主から料金を得るというものです。サイゼリヤのように、お客さんに商品やサービスを販売し、その対価を得るというビジネスモデルではないんですね。
つまり、商品のコストである売上原価は殆ど生じないのです。
このようにビジネスモデルが全く異なるため、粗利率だけを見てクックパッドの方がいいと必ずしも言えるわけではないのですね。
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まとめ
1.粗利率とは、いかに効率的に利益のおおもとである粗利(売上総利益)を得ているかを見る指標。
2.粗利率を見る際は、過去からの変化を見ることで現在の利益獲得の効率性をつかむことができる。
3.業種やビジネスモデルの異なる企業同士では、粗利率の意味合いも変わってくるので注意!