前回は、「値上げによって利益が増える仕組み」をとてもシンプルな例を使って解説していきました😊
ハニー姫も、(深く考えずに)商品の値上げをしたばかりですが…
そう、実際に値上げしてみると会社を取り巻く環境が変化したり、それを受けて内部の方針も転換されたりなど様々な動きが出てきます😲
そのため、値上げという1つの事象を取り上げても、成功する会社と失敗する会社があるのです💦
ビジネスも簿記も初心者のハニー姫🐰✨ある日一念発起し、お菓子のネット販売を手掛ける会社を立ち上げました😊
お付きのウリまるに教えてもらいながら、勉強の日々を送っています✍
値上げ成功事例を見てみよう!~ヤマト運輸編~
値上げによって売上高・利益はどう変化した?
果たして、値上げ前と後では売上高や利益はどのように変化したのでしょうか?
【値上げ前】 2017年度上半期 | 【値上げ後】 2018年上半期 |
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営業収益 | 7298億円 | 7891億円 |
営業利益 | △128億円 | 234億円 |
営業利益率 | -1.8% | 3.0% |
※ こちらの企業の営業収益は、売上高に該当します
値上げ前は赤字だった業績が、値上げ後は見事黒字に転換しています!
ヤマトはAmazonをはじめとした顧客に値上げ交渉を行い、2017年度後半から徐々に値上げを進めていきました💰
表の数字は、値上げ交渉の結果が本格的に出始める前の2017年度上半期(2017/4~9月)と、値上げが開始された後の2018年上半期(2018/4~9月)の業績です✍
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ヤマトが値上げに踏み切ったそのワケとは?
値上げ前のヤマトの業績推移を見てみると、増え続ける売上高とは対照的に、みるみるうちに利益が縮んでいっています💦
この不思議な現象の背景には、ヤマトの人手不足があります。
通信販売が世間に浸透するにつれて、ヤマトの荷物の取扱数量は右肩上がりに増えていきました。
この環境の変化によってヤマトの売上高は拡大していきましたが、同時にそれだけ多くの労働力も必要とされるようになりました。
ヤマトの業績には、荷物の取扱数量が増えるほど、それらを運ぶために必要な人件費や外部委託費が積み上がっていき、利益が圧迫される様子が映し出されるようになったのです😢
こうした苦しさを背景に、ヤマトは値上げに踏み切りました!
値上げを機に売上高も利益も増えていますが、実はその裏で…荷物の取扱数量が減少していたのです😲
値上げをきっかけに他の宅配業者に変えた顧客がいたことや、ヤマト自身もあえて荷受数量を規制するなどしたために、取扱数量が減ったんですね。
販売数量が減っても売上高・利益が増えた理由とは?
売上高は、このように計算されます✍
売上高 = ①1個当たりの販売価格 × ②販売数量
ヤマトの場合は、荷物の取扱数量(②)の減少以上に、値上げによる単価(①)が上昇した効果が大きかったんですね。
2017年度上期と比べると、2018年度上期のヤマトの宅急便取扱数量は6.0%減少したのに対し、宅急便単価は18.6%上昇したことからも伺えます✨(※ 数値は2019年3月期第2四半期 決算説明会資料より)
値上げを実施した2018年上期は、働き方改革のために従業員に支払うお給料を増やしたり、新規採用数を増やしたりなどしたことで、特に人件費が膨らんでいます🎈
それでも、膨らんだコストを補って余りあるほどに、値上げによって売上高が増えたのです!
結果、売上高に対するコストの割合が下がる…つまりは営業利益率の上昇が導かれたのです😊
言いかえると、前年と同じ金額だけ売上高をあげたとしても、そこからより効率的に利益を残すことができるようになったのですね✨
キャッシュの源泉である利益が増えれば、より一層、改革に資金を投じることができます💰
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値上げが成功した企業の共通点とは!?
ヤマトホールディングスのように、値上げによって売上高・利益とも押し上げることができた企業は他にもあります!
チケットの価格改定を行ったオリエンタルランドや、商品の野菜国産化切り替えと同時に値上げをしたリンガーハットなどですね😊
オリエンタルランドは値上げしたチケット代を原資に、アトラクションやエリア拡大への大規模投資を立て続けに行っています。
常に新鮮な魅力を保ち続け、オリジナルの世界観で唯一無二の地位を確立したことで、開園から数十年経った今もディズニーファンを惹きつけ続けていますよね✨
リンガーハットも、値上げと同時に代表商品である長崎ちゃんぽんの野菜を増量したり、すべての野菜を国産のものに切り替えるなどして、安全・健康といったイメージをより強く打ち出しました。
商品のプレミアム化を図ったことが消費者に受け、値上げ後も商品が受け入れられたのです。
このように、商品価格が値上げされても、それに対する商品の価値に納得感があったり、代替できる商品がない(その価格でないと買えない商品)ようなケースは、値上げによっても大きな業績崩れは起きない傾向にあります💫
ヤマトホールディングスについても、
🔸 値上げの理由の1つが「労働環境改善によってサービスの品質を高めること」だったこと
🔸 宅配最大手の地位を築いているだけに、他にはない信頼感やサービスの高さがあったこと
といった要因が、(ある程度の顧客の流出はありながらも)値上げが業績回復を導く道筋を作ることができた理由かもしれませんね😊
そんなヤマトも、2018年10月以降は再び宅急便の取扱数量が増えてきたようです🚀
値上げを機に実施した賃上げによって、自社従業員を確保し荷受け能力が上がったことや、引き続き拡大する通販サイト市場・フリマアプリ市場によって宅急便の必要性が増してきていることが影響しているようです📦
安易に、自社商品の値上げをしてしまったハニー姫。何やら深刻そうな顔つきになってきてしまいましたね😅
そんなハニー姫をさらに深刻にさせてしまいますが、次回は値上げの失敗事例を見ていきます!
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まとめ
1.値上げによって、他社に顧客が流出しかえって販売数量減少を招く可能性もある。値上げによる販売数量減少と商品単価上昇のバランスによって、値上げ後の売上高は増えることも減ることもある。
2.値上げによって利益率を改善できれば、キャッシュの源泉である利益をより効率的に稼ぐことができるようになる。この段階になって初めて、値上げがキャッシュを増やす下地を作ったことになり、値上げによる恩恵をその後の投資などに充てることができる。
3.商品価格が値上げされても、それに対する商品の価値に納得感があったり、代替できる商品がない(その価格でないと買えない商品)ようなケースは、値上げによっても大きな業績崩れは起きにくい。
こちら(↓)では、値上げ前のヤマトの業績悪化理由をさらに詳しく解説しています💡