2018年に入り、紙面を騒がせているスルガ銀行の不適切融資問題⚡
先日(2018年8月)、さらに踏み込んだ内容の報道がなされたことから、スルガ銀行の株価が急落するという事態にまで発展しました😲
では、この問題がスルガ銀行にどんな影響をもたらすのか、会計の観点からみていきましょう!
まずは不適切融資問題の概要をザックリ解説!
スルガ銀行のもっとも大きな収益源はなんでしょうか?
正解は…
お金を貸すことで得られる利息です✨
この利息を得るためには、まずお金を貸さなくてはなりません💰
…といっても、だれかれ構わず、いくらでも貸せばいいというものではありません。
最終的には、貸したお金を返済してもらわないといけないからです。
こうした返済能力を図るために、年収や預金残高といった項目で審査が行われます。
今回問題となったのは、貸出しの際の手続きに不備があったためです。
審査に使う年収や自己資金の確認資料などに改ざんがあり、スルガ銀行の社員もその事実を認識していたのではないかと考えられています。
一言でいってしまえば、スルガ銀行の企業統治の不全が問題となっているのです。
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スルガ銀行の業績にはどんな影響がある?
2018年8月の一部報道によると、このような不適切な手続きによって貸し出された金額は1兆円規模にもなると言われています。
…というわけではありませんよ(^^;)
では、今後のスルガ銀行の業績にどんな影響があるのかを見ていきましょう。
貸出しの手続きに不備があると、どんなリスクがある?
審査のような貸出しの手続きがきちんと行われていないと、
将来返済できないリスクが高い人にもお金を貸してしまうおそれがあります。
(もしくは、融資先にとって返済しきれない金額を貸してしまうおそれがあります。)
もし、返済してもらえなければ…
決算書上、その貸したお金は損失(貸倒損失)に変わってしまいます😨
このような貸倒損失が登場するのは、予兆もなく、融資先が突然返済できない事態に陥った場合です。
実際は、融資先の経営状態が悪くなる等、貸し倒れが懸念されるような何らかの兆候があることが多いです。
事前に「この融資先危ないな~」ということが分かれば、返済されないと推定される金額だけ貸倒引当金を積み増します。
すると、同時に貸倒引当金繰入額という費用も増えます。
貸倒引当金とは
貸付金や売掛金などについて、将来返済(入金)されないと見込まれる分だけ貸倒引当金を計上する。
同時に、同じ金額だけ貸倒引当金繰入額という費用が発生する。
詳しい解説はこちら!(↓)
つまり、
貸出しの手続きに不備があった融資先の中に、実際は返済する能力が低い人がいれば、
スルガ銀行の費用又は損失の増加につながりかねないのです。
すでに業績には影響が出ていた!
今回の不適切融資が発覚した発端は、融資先であった、シェアハウス「かぼちゃの馬車」の所有者が相次いで返済に窮したことです😲
調査の結果、これらの所有者への貸出しの手続きの中で、資料の改ざんなどの不備があったことが分かりました。
実際に返済に行き詰まった例が出てきていることから、この案件および類似の貸出し案件については既に数百億円単位で貸倒引当金を積み増しています(2018年3月期)!
言い換えると、
2018年3月期は、不適切融資によって数百億円単位の費用(貸倒引当金繰入額)が発生したのです。
この費用の登場によって、2018年3月期の利益は大きく押し下げられてしまいました😢(最終利益は前年度比84%減💦)
今後のスルガ銀行の利益には影響はある?
一部報道にもあったように、不適切な手続きによって行われた融資は巨額にのぼる可能性が指摘されています。
もう一度しっかり査定すれば、今後返済できないリスクを抱える融資先があぶりだされてくるかもしれません。
そうなれば、貸倒引当金がさらに積み増され、費用が膨らむことが考えらえます。
(現に、スルガ銀行側も、2018年9月末の自己査定で対象の拡充を検討することと、今後貸倒引当金積み増しの可能性があることを公表していますね)
…とは言え、
たとえ貸出し手続きに不備があっても、融資先に返済する能力があったり、経営が好調であったりすれば費用を認識しなくて済みます。
莫大な金額の不適切融資が懸念される中、そのうちのいくらが費用に変わってしまうのかは、いまだ見当もつきませんね😢
収益が減ってしまったワケとは?
ここまでは、不適切融資によって費用が増えるリスクについて、お話をしてきました。
実は、これまで増加基調にあった経常収益(売上高に該当)が、2018年4~6月は減少してしまったのです。
内訳を見てみると、収益源である貸出金の利息が減ってしまっています。
原因は、貸出金そのものが減ったことです。
今回の不適切融資問題が発覚したことを受け、審査を強化するなどの体制の見直しが図られたことが影響していると考えられます。
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まとめ
1.貸出しの手続きに不備がある(不適切融資)と、将来返済できないリスクが高い人にもお金を貸してしまうおそれがある。
2.返済能力のない人にお金を貸してしまうと、貸したお金が費用(貸倒引当金繰入額)や損失(貸倒損失)に変わってしまうリスクが高まる。
3.不適切融資が行われた金額そのものが損失になるわけではない。問題になるのは、その融資先の中に返済能力のない人が含まれていた場合である。