売上高成長率とは何?計算方法も見てみよう
売上高成長率は、「売上高増加率」「売上高伸び率」とも表現されます😊
企業の規模に照らして、売上高がどの位増えたかを測る指標です。売上高成長率が高ければ、その企業に成長力があり、今後ますます売上高を伸ばしていくことが期待できます。
売上高成長率を計算する方法
売上高成長率 =( 当期売上高 - 前期売上高 )/ 前期売上高
前期の売上高をベースに、どの位の伸びがあったかを計算しています。
「前期売上高」を「5年前の売上高」に変えれば、5年前の売上高をベースにした成長率を測ることができます。ここは、目的に応じてカスタマイズ可能です!
スポンサーリンク
アパレル系の成長企業と老舗企業を比べてみよう
売上高成長率の例として、アパレル業界の成長率を比べてみましょう。
成長真っただ中、スタートトゥデイの成長率とは?
まずは、衣料通販サイト「ZOZOTOWN」を手掛けてるスタートトゥデイ。創業から20年ほど経ち、通販への需要急増の追い風を受けてぐんぐん成長している企業です。
2017年3月期の売上高成長率は、40.4%でした(前期売上高:544億円、当期売上高:763億円)。
売上規模が1ランクレベルアップしましたね!さらに、売上高成長率自体も年々上昇しており、その成長が加速しているのです。
創業100年が視野に入ったオンワードの成長率とは?
一方、こちらは創業から90年ほど経つオンワードホールディングス。洋服の企画・製造から販売までを手掛ける大きなアパレル企業です。
2017年2月期の売上高成長率は、-7.1%(前期売上高:2635億円、当期売上高:2449億円)でした。
百貨店のアパレル不振の波に飲まれ、売上高が減ってしまっています。2年連続の減収です。
成長率の差を生んだものとは?
洋服を作っているかどうかの違いもありますが、両者の成長率の違いを生んだのは販売経路です。
そもそもリアル店舗を持たないスタートトゥデイは、拡大する通販需要をそのまま成長に取り込むことに成功しました。
一方のオンワードホールディングスは、百貨店が顧客をつなぐ主な窓口です。ネット販売も手掛けているものの、その割合はまだ売上高全体の5%程度であり、通販需要をうまく取り入れられているとは言えません。
そのため、オンワードホールディングスは、オンライン限定の商品を増やしたり、サイトをリニューアルしたりしてネット販売を伸ばそうとしているんですね。
ネット販売の強化は、ユニクロなど他のアパレル企業にも共通して見られる取り組みです。
売上高成長率を見るポイント!目安はあるの?
メリットとは?
売上高成長率は、金額ではなく率で表されるところにメリットがあります。
そのため、売上増加額にごまかされずに、企業の成長性を測ることができます。
たとえば、前年から売上高が10億円増えたとしても、そもそもの売上高が1兆円あるならば、売上高成長率はたったの0.1%です。今後の成長性は慎重に検討しなくてはなりません。
また、前のパートでご紹介したように、率で表示されることで規模の違う企業同士で比べることもできるのです。
目安はあるの?オススメの使い方をお伝えします
画一的な目安というものはありません!その企業の特性や市場環境それぞれに合った成長の仕方があるからです。
効果的な使い方として、着目している企業の売上高成長率を時系列で追ってみるのがオススメです😊これによって、成長過程の中のどのポジションにいるかがわかるんです。
売上高成長率が同じプラスの値であっても、時を追うごとにその値が上昇しているか、それとも下降しているかによって、企業の将来予測は変わってきますよね。だんだん売上高成長率が縮んでいるようであれば、その企業の成長力が弱まってきている可能性があります。
また、同業他社と比べることで、「市場全体の勢いと比べてどの位成長できているか?」を知る参考になります。
売上高成長率を見る時の注意ポイント!
利益率もあわせて見る
売上高が成長する一方で、利益率は下がってしまうことがあります。この場合、売上高が増えても、利益は減ってしまう可能性があります。
しまむらがこの例に当てはまります。2014年2月期、2015年2月期は売上高成長率がプラスであったものの、利益は2年連続で減ってしまいました。
円安で仕入れ費用がかさんだ上に、売れ残りの値引き販売をしたことで利益率が悪化してしまったためです。
一方で、不採算の店舗・事業を取りやめ、残りの事業に集中したことで、売上高が減っても利益率は上がったというケースもあります。この場合、売上高成長率はマイナスの値でも利益は増える可能性があります。
このように、売上高の増加は利益の増加に直結しているわけではないので、利益率の推移もあわせて見ておきましょう!
シェアの変化も見てみる
売上高成長率がプラスであっても、それ以上に市場が拡大していることもあります。この場合、その企業の市場シェアが落ちていることを意味します。
市場の伸びを調べてみたり、同業他社の成長率と比較してみるのもよいですね😊
売上が増えた要因を押さえる
売上高が成長している要因が、事業の成長にあるのか、それとも外部からもたらされたものなのかにも着目しておきましょう。
1年間で売上高成長率が急激に上昇した場合、他社を買収している可能性があります。のれん減損のニュースの多さが示すように、買収先の業績が想定以上に悪く、後々大きな損失を被ることは珍しくありません。
その企業の今後の成長性を予測するためには、元々持っている事業が成長しているのかどうかに加えて、買収した事業の将来性にも着目しなくてはなりません。
スポンサーリンク
まとめ
1.売上高成長率とは、企業の規模に照らして売上高がどの位増えたかを測る指標。売上高成長率が高ければ、その企業に成長力があり、今後さらに売上高を伸ばすことが期待できる。
2.売上高成長率は率で表されるので、増加額にごまかされずに企業の成長性を測ることができる。売上高成長率の過去からの変化を見たり、同業他社と比べてみることがオススメ。
3.売上高成長率を使う際には、利益率の推移、シェアの変化、売上高が増えた要因も押さえると、今後の業績予測に役立てることができる。