引当金の4要件とは?その②~セブン&アイ・ホールディングスの事例を使ってわかりやすく解説!

 

引当金を計上するためには、4つの要件を満たす必要があります。

この4つの要件を理解するために、前回はJR東日本の引当金に4要件を当てはめてみました(↓)

引当金の4要件とは?~JR東日本の事例を使ってわかりやすく解説!

2018.02.20

 

今回は、セブン&アイ・ホールディングスの引当金を事例に取り上げてみます!さらにこの4要件の理解を深めていきましょう😊

 

引当金の4要件って何?

セブン&アイ・ホールディングスの事例を見てみる前に、もう一度、引当金の4要件についておさらいしておきましょう!

1.将来、とある費用又は損失が発生すること

2.その費用又は損失が発生する原因がすでに生じていること

3.その費用又は損失が発生する可能性が高いこと

4.その費用又は損失の金額を合理的に見積もることができること

 

費用や損失が生ずる可能性を見通せても、それらを生じさせる原因がない段階では、引当金を計上することはできません。たとえば、多くの企業が計上している賞与引当金は、賞与支給額に対応する勤務期間を経ていなければその分の賞与引当金は計上されません(要件2)。

また、費用や損失が生ずるかどうかが不透明な場合や、収集できる情報が足りずに金額を見積もることができない場合も、引当金を計上することはできません(要件3、4)。

反対に、この4つの要件を満たしている場合は引当金を計上しなくてはなりません

 

これらを踏まえて、セブン&アイ・ホールディングスの引当金を見てみましょう!

 

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セブン&アイ・ホールディングスの引当金に4要件を当てはめてみよう!

セブン&アイ・ホールディングスにはどんな引当金がある?

2017年11月末セブン&アイ・ホールディングスの決算書を見てみると、このような引当金が載っています。

セブン&アイ・ホールディングス 2017年11月30日時点の引当金

流動負債

 販売促進引当金      … 233億円 

 賞与引当金        …  39億円

 役員賞与引当金      …   1億円

 商品券回収損引当金    …  15億円

 返品調整引当金      …  0.9億円

固定負債

 役員退職慰労引当金    …   9億円

 退職給付に係る負債    …  87億円

 

(2018年度2月期第3四半期 四半期報告書より)

 

賞与引当金や退職給付に係る負債といった、他の企業でもよく見られる引当金に加えて、小売業ならではの引当金も見られますね。

今回は、この中でも1番金額が大きい販売促進引当金を見てみましょう!

 

販売促進引当金とは?

セブン&アイ・ホールディングスが運営するセブンイレブンやイトーヨーカドーでは、ポイント制度が敷かれています。CMでもおなじみ、「nanaco」カードを使って商品を購入すれば、ポイントが貯まっていく仕組みです。

セブン&アイ・ホールディングス側からすると、顧客にこのポイントを使われることによって、値引きした価格で商品を提供しなくてはなりません。その時に発生する費用を見積もって、販売促進引当金に計上しているんですね。

こうしたポイント制度を設けることで、顧客に、セブン&アイ・ホールディングス系列店舗の利用頻度を高めてもらえるため、「販売促進引当金」という名称にしているのだと思います。

 

先ほどの4つの要件にセブン&アイ・ホールディングスの販売促進引当金を当てはめると、このようになります。

1.将来、とある費用又は損失が発生すること

→将来、ポイントを利用された際に、無償もしくは値引き価格にて商品を提供することになるため費用が発生します。

 

2.その費用又は損失が発生する原因がすでに生じていること

→商品を販売しポイントを付与した時点で、将来ポイントを利用される原因が生じています。

 

3.その費用又は損失が発生する可能性が高いこと

→付与したポイントのうち、将来利用されると考えられる分だけ引当金に織り込んでいます。一般的には、過去の利用実績などに基づいて計算します。

 

4.その費用又は損失の金額を合理的に見積もることができること

→ポイントの利用単価は決まっているので、将来利用されると考えられるポイント数(3つ目の条件で導いたもの)とあわせて、費用の金額を導くことができます。

 

このように、ちゃんと引当金の4要件に当てはまっていますね😊

セブン&アイ・ホールディングスの販売促進引当金は、一般的にはポイント引当金と呼ばれるものです。国際会計基準(IFRS)に移行すると、ポイント制度に対する考え方が変わるため(付与したポイントは収益の繰延、と考えられます)、ポイント引当金を計上しなくなる企業も増えてくると思います。

 

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まとめ

会計的に見ると、ポイントを付与することは、企業にとっての将来の費用につながると捉えられるんですね。

ポイント引当金のように、過去の実績から金額を見積もる引当金は他にもあります(返品調整引当金など)。これは過去の実績率が、将来の合理的な予測に役立つと考えられているためですね😊

将来費用が発生することが予測できても、その費用の見積もりが難しい場合や費用の発生確率が高いと考えられない場合は引当金は計上できないところがポイントです。

 

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