前回は、希望の党がかかげた政策「内部留保課税」についてひも解いてみました。
今回は、自民党側が主張する対抗策が意味するところを見ていきますね^^
内部留保課税に対抗する自民党の案とは?
「内部留保課税」によって、企業が稼いだ利益(ざっくりと稼いだお金のことです)には税金が2度かかることになります。企業側としては、せっかく頑張ってお金を稼いでも今までよりたくさん税金が持っていかれてしまう、というがっかりポイントなのです。
そのため、与党の中では、
という懸念の声があがっています。
設備投資や給料アップと言ったモノや人への投資を(結果的に)促す手段として「内部留保課税」を選んだ希望の党に対し、
自民党側は「設備投資や賃金にお金が回っていくような税制を考えたい」と反論しています。
まず、税金のルールが日本経済にはたす役割とは?
ところで税金のかけ方のルールである税制は、毎年改正されています。私たちの身近なところでは、平成26年度の税制改正で消費税が8%に引き上げられました。
なぜ毎年税制は変わるのでしょうか?
その理由は、政治において税金が担う役割にあるのです。
税金の大きな役割の1つはもちろん財源です。この財源によって福祉サービスを充実させたり、国の借金を返したりします。
もう1つの大きな役割は、税金のかけ方を調節することで、政策に沿うように企業や個人の動きを誘導することです。
たとえば、住宅ローンを使ってマイホームを購入した人には、住宅ローン控除という税制が広く使われています。一定の条件をみたせば、支払った所得税が一部戻ってくるという制度ですね^^
政府としては、「税金が戻ってくる」ことを動機づけに、住宅の購入を促進したいと考えているのです。
このように、政策にとって
「望ましい行動をすれば税金を軽くする。逆に望ましくない行動をすれば税金が重くなる。」
という仕組みを税制の中に作ることで、日本の社会が政策に沿った動きをするように誘導しているんですね。
政策も日本の経済状況に合わせて変化していくので、税制も毎年改正されているのです。
設備投資にお金が回るような税金のかけ方とは?
では、自民党が主張するような「設備投資などの投資にお金が回っていくような税制」とはどのようなものなのでしょうか?
実は、このような税制はすでに存在しているんですね。たとえば、平成29年現在では、要件をみたす設備投資を行った中小企業に対して、税金を軽くする制度があります。
また、研究開発を行っている企業に対しては、研究にかかった金額等に応じて税金を軽くする制度があります。
自民党の主張に沿って税制を変えていくとなれば、このような設備投資の税制を大企業にも広げたり、研究開発の税制を拡充することが考えられますね。